エピソード01
ぬり絵が、日常を連れ戻してくれた日
リハビリを拒否するほどの強い痛み。
叫んでしまったり、
点滴を外してしまったり。
あのときの私は、
とにかく病院が合わなかった。
転倒による腰の骨折。
病院のベッドの上で、
「このままずっと痛いままなのかな」と、
不安と孤独に、
押しつぶされそうでした。
だけど──
病院から
「施設に戻れるかも」と聞いたとき、
その気持ちは、
一気に晴れていきました。
「私を迎え入れてくれる場所がある」
不安も少しはあったけど、
いつもの笑顔で
「おかえりなさい」と迎えてくれた
あの人たちが、
やさしく私を支えてくれました。
リハビリも、
朝の薬も、
食事も、
入浴も。
全部、
「無理しなくていいですよ」と、
私のペースで。
無理やりじゃなく、
ちょっとずつ、
ちょっとずつ。
ある日、ふと、
ぬり絵をしてみようと思いました。
ずっと手をつけていなかったけれど、
色鉛筆を手に取ると、
スッと気持ちが落ち着いて、
気がついたら、
夢中になって色を重ねていました。
「できた」
その瞬間、
自分の中で何かが
動いた気がしました。
ああ、私、
前みたいに暮らせるかもしれない。
本を読んで、
動画でふるさとを眺めて、
ぬり絵をして。
ちょっとずつ、
日常が戻ってくる。
支えてくれる人がいる。
見守ってくれる人がいる。
だから私は、
また歩き出せました。
私にとってここは、
「帰ってこられてよかった」と
思える場所です。




