エピソード13

「もう一度、自分らしく歩く」母がくれた奇跡の時間

母が施設に入居したのは、
11月のことでした。

入居前の面談で会ったとき、
母はほぼ寝たきりの状態で、
食事もゼリー食がやっと。

声もか細く、力がなく、
「本当にここで生活できるのだろうか」と
私たち家族も不安を抱えていました。

それでも、母はぽつりと

「ここはちょっと、寂しいね」

とつぶやきました。

だからこそ、私たちは願っていたんです。

──温かい介護のもとで、
少しでも穏やかに暮らしてほしい。

そうして、施設での生活が始まりました。

入居後の母は、
すべてに介助が必要でした。

食事、排泄、移動……
そして、孤独からナースコールを
何度も押してしまう日々。

正直、職員の皆さんに
申し訳ない思いでいっぱいでした。

でも、そんな母が、
ある日を境に変わっていきました。

2ヶ月もしないうちに、
刻み食を自分で食べられるように。

トイレでの排泄もできるようになり、
歩行器を使った歩行訓練にも
前向きに取り組みはじめました。

さらに、ネイルやヘアカットなどの
オシャレも楽しむように。

その変化に、
私たちは思わず声を上げました。

「アメージング!」

──まさに、
生まれ変わったようでした。

この変化の背景には、
職員の皆さんの“気づき”がありました。

母の利き手ではない手が
意外と器用に動くこと、

下肢に筋力がまだ残っていることに着目し、

その「できる可能性」を信じて、
少しずつ介助方法を
変えてくださったのです。

母の寂しさにも
丁寧に寄り添い、

こまめに声をかけてくれたり、
生活の中で「楽しみ」を
見つけられるよう工夫してくれたり。

そうした温かな関わりの積み重ねが、

母の「自分でやりたい」という気持ちを
引き出してくれました。

今、母には新しい目標があります。

それは、歩行器を使って、
家族の家まで歩いていくこと。

そして、
大好きな愛犬・風花に会うことです。

この目標に向かって、
母は毎日、前を向いて進んでいます。

母の姿を見て、
私は改めて実感しました。

このエピソードに立ち会った人
アルファリビング西宮北口

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