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お役立ちコラム
2025年10月1日
親を介護施設に入れるタイミングは?手順や入居を嫌がる場合の対処法を紹介

親の介護を考えるとき、いつ介護施設に入れるべきか悩む方は多いでしょう。特に同居している高齢の親を介護している家庭では、日々の生活と仕事の両立が難しくなり、不安を感じることもあるかもしれません。
本記事では、親を介護施設に入れるタイミングや流れ、親が入居を嫌がる場合の対処法を紹介します。
目次
【介護される側の状況】介護施設に入れるタイミング

介護施設への入居を検討するタイミングは、介護される側と介護する側の状況によって異なります。ここでは、まず介護される側の状況から見ていきましょう。
介護施設へ入れるタイミングとしては、高齢の親が日常生活を自立して送れなくなってきた場合や、身体状況が現在の住環境に適応できなくなった場合などが挙げられます。また、認知症の症状が現れ始めた場合も、専門的なケアが必要となるため、施設への移行を視野に入れる時期といえるでしょう。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
自立した日常生活が送れなくなってきている場合
介護される側が自立した日常生活を送るのが難しくなってきた場合、介護施設への入居を検討するタイミングかもしれません。この場合、日常生活の基本動作を示すADL(Activities of Daily Living)を確認することが重要です。
ADLには、起居動作、移乗、移動、食事、更衣、排せつ、入浴、整容といった動作が含まれます。これらの動作が自力で行えなくなり、援助が必要となってきた場合は、自宅での生活が困難になる兆候といえます。
身体状況が住環境に適応できなくなってきた場合
介護される側の身体状況が住環境に適応できなくなってきたときも、介護施設への入居を検討すべきタイミングです。例えば、自宅のバリアフリー対応が不十分であったり、トイレや浴室が狭く使いにくかったりする場合などが考えられます。
また、近隣に医療機関や生活支援サービスがない場合や、緊急時に駆けつけられる親族が近くにいないと、安心して生活することが難しくなるでしょう。
大規模なバリアフリーリフォームも検討できますが、その費用を介護施設の入居費用と比較することも大切です。何か事故が起きる前に、安全で充実したサポートが受けられる介護施設への入居を検討しましょう。
認知症の症状が見られる場合
介護される側に認知症の症状が見られる場合は、介護施設への入居を早めに検討したいタイミングです。同じ話を何度もする、お金の管理ができない、道に迷うなど認知症の初期症状が現れると、日常生活に支障を来すだけでなく、詐欺被害や事故などのリスクも高まります。また、家族の介護負担が増加することも問題です。
さらに、認知症が進行してから施設を探すと、希望条件に合う施設が見つからなかったり、高額な施設しか選択肢がなかったりする可能性があります。
【介護者の状況】介護施設に入れるタイミング

次は、介護者の状況から見た、親を介護施設へ入れるタイミングについて解説します。考えられるタイミングは、介護者自身の健康状態や精神状態に影響がある場合と、介護の専門的な知識が必要になった場合の2つです。
それぞれのタイミングについて見ていきましょう。
介護者の健康状態や精神状態に影響がある場合
親の介護が限界に達し、介護者の健康や精神状態に影響を及ぼしている場合は、介護施設への入居を検討するタイミングです。無理を続けると、双方が共倒れしてしまう可能性があります。
介護負担が限界に近づいている可能性が高い状況としては、仕事や家事との両立が難しい場合、慢性的な睡眠不足に陥っている場合、自分の健康管理ができず、イライラや怒りをコントロールできない場合などが挙げられます。
介護についての専門知識が必要になった場合
介護を続ける中で、専門知識や専門家のサポートが必要になった場合は、介護施設への入居を検討するタイミングといえます。例えば、24時間の見守りが必要になったり、医療的なケアが必要になったりする場合などです。
また、家族で介護を分担している場合、人手が足りなくなり、日常生活に支障をきたすこともあるでしょう。こうした状況では、専門知識を持った介護スタッフが常駐する施設のサポートを受けることで家族の負担軽減につながります。
介護施設に入れるメリット

介護施設に入れることには、次の2つのメリットがあります。
- 介護のプロから手厚いサポートを受けられる
- 介護者の負担を減らせる
介護施設に入れるメリットについて、詳しく解説します。
介護のプロから手厚いサポートを受けられる
介護施設に入居するメリットとして、医療や介護のプロフェッショナルから手厚いサポートを受けられる点が挙げられます。施設には看護師や介護福祉士など、さまざまな職種の医療従事者や介護職員が常駐しているため、適切な処置を受けられるのが魅力です。それにより、本人も安心して生活を送れるようになるでしょう。
介護者の負担を減らせる
介護施設に入れることで、介護者の身体的・精神的な負担を軽減することが可能です。介護者がプライベートな時間を確保できるようになれば、介護負担に伴う体調不良の改善が期待できるだけでなく、仕事への集中力も向上します。
介護施設へ入居する流れ

介護施設への入居を考える際、まずはスムーズな手続きを進めるための流れを把握しておくことが大切です。主な流れは、次の通りです。
- 本人や家族で話し合う
- 施設に関する情報を集める
- 施設を選ぶ
- 施設の見学や体験入居をする
- 契約する
ここでは、具体的な流れを解説します。
1.本人や家族で話し合う
まずは、本人を含めた家族全員でしっかりと話し合うことが大切です。検討事項としては、次のようなものがあります。
<検討事項>
- 月額費用の上限
- 希望するエリア
- 部屋の種類:個室か相部屋か
- 入居期間(短期・長期)
- 求めるケアのレベル
- 重視するサービス(医療連携、レクリエーション、食事など)
これらの希望を明確にしておくと、あとの選択がスムーズになります。
2.施設に関する情報を集める
希望が出そろったら、施設に関する情報を集めましょう。施設の情報を集める方法としては、次のようなものがあります。
<情報収集の方法>
- Webでの検索
- 市区町村の高齢者福祉課への相談
- 地域包括支援センターへの相談
- ケアマネジャーからの紹介
- 介護施設紹介センターの利用
- 施設への資料請求
気になる施設が見つかったら、施設の公式ホームページや電話などを通して資料請求をしましょう。施設から送られる資料で、設備や料金プラン、サービスなどを確認できます。
3.施設を選ぶ
情報が集まったら、施設選びに進みます。その際、希望条件をすべて満たす施設は多くないため、希望条件に優先順位を付けることが大切です。
条件に合致する施設を3〜5か所程度リストアップし、その中から施設見学や体験入居をすることをおすすめします。
4.施設の見学や体験入居をする
入居候補となる介護施設が決まったら、施設見学の予約をしましょう。見学の日時を申し込んで施設を訪れれば、スタッフの案内のもと共有スペースや居室を見学できます。
Webサイトやパンフレットで得た印象と実際の状況が異なることもあるため、必ず見学を行い、スタッフや他の利用者の雰囲気を確認しましょう。気になることがあれば、遠慮せずに質問することが大切です。
見学の際にチェックしたいポイントは、次の通りです。
- 施設の清潔さや雰囲気:臭いがないか、清掃が行き届いているか、施設内の雰囲気が明るいか
- スタッフの対応:入居者への接し方はどうか、スタッフに笑顔があるか
- 入居者の様子:表情が明るいか、活気があるか
- 居室の広さや設備:プライバシーは確保されているか、使いやすそうか
- 食事内容と選択肢:試食可能であれば試食をする
- 余暇活動の種類と頻度:どのような余暇活動があるか
- 医療連携体制:協力医療機関や看護師の配置状況がどうなっているか
- 面会や外出のルール:家族との交流はどの程度可能か
多くの施設では体験入居のサービスを提供しています。希望する施設があれば、実際に過ごしてホームの環境や食事内容が本人にとって快適かどうかを体感する機会を設けましょう。
5.契約する
施設が決まったら、契約に向けて必要書類を準備しましょう。その後、施設のスタッフとの面談や入居審査が行われ、審査に通った場合、正式に入居が決定します。
一般的に申し込みの際に求められる書類は、次のようなものです。
- 住民票
- 介護保険被保険者証
- 介護認定通知書
- 健康診断書
- 年金証書(収入証明)
- 身元引受人の情報
入居が決まったら、以下のような入居準備を行う必要があります。
- 持ち込み品や荷物の整理
- 衣類への記名
- 住所変更手続き(市区町村、郵便局、各種サービス)
- 介護保険の住所変更
- 医療情報の整理(かかりつけ医や服薬情報など)
介護施設への入居を嫌がる場合の対処法

介護施設への入居を家族として検討している際に、本人が入居を嫌がることは少なくありません。このような場合の対処法について解説します。
主な対処法は、次の5つです。
- 入居を嫌がる理由を確認する
- 本人の希望を聞く
- 施設での生活について理解してもらう
- ショートステイの利用から始める
- 第三者に相談する
入居を嫌がる際の参考にしてください。
入居を嫌がる理由を確認する
入居を嫌がる理由は、表面的なものだけでなく、心理的に深い要因が関わっていることが多いです。最初にしっかりと話し合いを重ね、なぜ拒否するのか、その本当の理由を確認することが大切です。
例えば、「家を離れたくない」という理由には、住み慣れた家への愛着や、見知らぬ環境への不安が関係しています。また、「自分ひとりで生活できる」という主張は、自立心を失いたくない気持ちや、他人に依存することへの抵抗感を表しているかもしれません。さらに、「お金がもったいない」と感じる場合は、経済的な不安や、子どもに金銭的な負担をかけたくないという思いが隠れていることもあります。
これらの本音を聞き出せれば、その理由に対して具体的な解決策や安心材料を提示することが可能になります。話し合いを通じて、本人が安心して生活できるようなサポートを検討することが重要です。
本人の希望を聞く
親を介護施設に入れる際には、本人の希望をしっかりと聞くことが重要です。どのような立地や生活環境を望んでいるのか、具体的な意見を確認しましょう。本人の意向を尊重する姿勢を示すことで、「自分の意見は無視されている」という不満や不安を軽減できます。
また、希望する生活スタイルを理解することで、本人が納得しやすい施設を探す手助けにもなります。家族としても、本人が安心して新しい環境に移行できるよう、共に話し合いを重ねることが重要です。
施設での生活について理解してもらう
介護施設への入居を嫌がる場合、施設での生活に対してネガティブなイメージを持っている可能性があります。事前に、施設のパンフレットやWebサイトを参考に介護施設での生活を理解しておくことが大切です。
施設によっては、ジムやプール、囲碁将棋、カラオケ、麻雀などの設備が整っており、他の入居者との交流を図るスペースがあることもあります。施設のイベントや日常生活の様子を事前に調べ、入居をポジティブに捉えてもらうための情報提供を心がけましょう。
ショートステイの利用から始める
人間は、新しい環境に対して恐怖を感じやすいものです。そんなときには、まず短期間の宿泊を伴うサービス「短期入所生活介護(ショートステイ)」を利用してみましょう。
ショートステイの利用によって介護施設の実際の雰囲気を知ることができ、入居への抵抗感を和らげられるかもしれません。
第三者に相談する
家族だけで話し合っても意見がまとまらない場合は、第三者を交えて介護施設での介護の必要性について話し合いましょう。第三者としては、親戚や主治医、ケアマネジャーなどが挙げられますが、本人の親しい友人でもかまいません。
これらの方から介護施設への入居をすすめてもらうことで、入居を受け入れてくれる場合もあります。本人を無理に説得するのではなく、第三者へ頼りながら話を進めていくことが大事です。
介護施設への入居でかかる費用

介護施設への入居にかかる費用は、主に入居一時金と月額利用料の2つです。入居一時金とは、一定期間の月額利用料を前払いするもので、施設によっては初期費用が0円のところもあります。月額利用料には家賃や食費、管理費、水道光熱費、介護費用が含まれます。
介護施設には公的施設と民間施設があり、それぞれでかかる費用の目安は次の通りです。
<公的施設>
| 施設のタイプ | 初期費用(入居一時金) | 月額費用 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 0円 | 5万~15万円 |
| 介護老人保健施設 | 0円 | 8万~14万円 |
| ケアハウス(自立型) | 0~30万円 | 6万〜15万円 |
| ケアハウス(介護型) | 0~数百万円 | 7万~20万円 |
<民間施設>
| 施設のタイプ | 初期費用(入居一時金) | 月額費用 |
|---|---|---|
| グループホーム | 0~100万円 | 15万~30万円 |
| 住宅型有料老人ホーム | 0~数千万円 | 10万~30万円 |
| 〈自立型〉住宅型有料老人ホーム | 0~数億円 | 8万〜30万円 |
| 〈介護型〉住宅型有料老人ホーム | 0~数億円 | 10万〜30万円 |
| 〈自立型〉介護付き有料老人ホーム | 0~数億円 | 15万〜35万円 |
| 〈介護型〉介護付き有料老人ホーム | 0~数億円 | 15万~40万円 |
| 〈自立型〉サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 0~数千万円 | 10万~40万円 |
| 〈介護型〉サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) | 0~数百万円 | 15万~30万円 |
介護施設の費用負担を軽減する方法

介護施設への入居は、家族にとって大きな決断ですが、費用面での負担が心配な方も多いのではないでしょうか。ここでは、介護施設の費用を軽減する方法を2つ紹介します。
医療費控除を利用する
介護施設の費用負担を軽減する方法として、医療費控除の利用があります。特別養護老人ホームや介護老人保健施設の施設サービス費(居住費や介護費、食費など)は、医療費控除の対象です。それにより、所得税や住民税が軽減され、家計の負担軽減につながります。
なお、申請には領収書が必要になるため、費用の支払時には領収書を必ず保管しておくようにしましょう。
安い施設を探す
安い施設を探すのも、介護施設の費用負担を減らす方法のひとつです。介護施設の費用は、施設の種類や地域、立地条件によって異なります。公的施設は比較的費用が抑えられるものの、入居待ちが多く、条件が厳しいことがあります。そのため、民間の施設も含めて選択肢を広げ、できる限り安い施設を探すことが重要です。
民間の介護施設の中から安い介護施設を見つけるためには、次のポイントに着目して探しましょう。
- 地価が安い郊外や地方にある施設を選ぶ
- 駅やバス停から遠い場所にある施設を選ぶ
- 築年数が古い施設を選ぶ
- 複数の施設を運営し効率化を図っている施設を選ぶ
ただし、一見費用が安く見えても、オプション代が追加されて結果的に高額になる場合もあります。事前に総額でいくらかかるのか、しっかり確認しておくことが大切です。
親を介護施設へ入居させたあとに家族ができること

親を介護施設に入居させたあとも、家族にできることは多くあります。定期的に面会に訪れることや普段から親の身体状況を確認し、施設スタッフとのコミュニケーションを図ることも重要です。具体的にどういったことをすればいいのかについて、解説します。
定期的に面会に訪れる
親を介護施設に入居させたあとも、定期的に面会に訪れるようにしましょう。実際に顔を見て話すことで親との心のつながりを維持できるほか、親自身も安心して施設での生活を送れるようになります。
可能であれば月に1回以上の面会をおすすめします。最近ではオンラインで面会できる施設も増えているため、遠方に住んでいる場合や忙しい時でも活用するとよいでしょう。
ただし、面会時には、以下の注意点を守るようにしてください。
- 事前に面会日時を電話で施設のスタッフに伝えておく
- お土産を持ち込む場合も事前にスタッフに伝えておく
面会をスムーズに行うためにも、これらの配慮を忘れずに行いましょう。
普段から身体状況を確認しておく
親が介護施設に入居している場合でも、定期的に身体状況を確認することが重要です。加齢や病気により、高齢者は心身の状態が変化しやすいため、要介護度の見直しが必要になることがあります。要介護度が変わると、介護保険の支給限度額や利用できる介護サービスの内容が変わることが多いため、適切なケアを受けるうえでも普段から注意深く見守るようにしてください。
親を介護施設に入れる際の悩みや疑問

高齢の親を介護施設に入れることに対して、多くの方がさまざまな悩みや疑問を抱くものです。ここでは、親を介護施設に入れる際によくある悩みや疑問にお答えします。
Q.施設に入れることに罪悪感を覚えたらどうしたらよい?
親の介護を他人に任せることに対して罪悪感を抱く方は少なくありません。しかし、介護施設への入居は本人と家族双方の生活をより良くするための選択です。この選択が必ずしも親への愛情の欠如を示すものではなく、むしろ親の安全と健康を考えた結果であることを理解することが大切です。
入居後も定期的に面会に訪れたり、コミュニケーションを続けたりすることで、家族としての関わりを維持できます。また、必要であればケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、不安を共有することも心の負担を軽減する助けになります。家族としてできることを考え、罪悪感を少しずつ和らげていきましょう。
Q.施設に入ると認知症が悪化する?
施設入居が認知症を悪化させるという結論はありません。本人と施設との相性が大きく影響しており、周辺環境や生活スタイルの変化によって本人が不安や戸惑いを感じることで、認知症が進行するといわれることもあります。
一方で、施設に入居することで生活リズムが安定し、栄養面でも管理されるため、入居前と比べて症状が穏やかになる場合も多くあります。さらに、施設では専門的なケアを24時間体制で受けられるため、適切な対応が可能です。
本人が安心して暮らすためにも、事前にしっかり話し合ったうえで入居先を選ぶことが重要です。入居後も面会に出かけたり、体調を確認したりするなどして、安心感を共有できるようにしましょう。
本人の意思を尊重しつつ適切な入居タイミングを見極めよう

介護施設への入居を検討する際、最も重要なのは本人の意思を尊重することです。しかし、家族としては適切なタイミングを見極める責任があります。仕事や生活との両立が難しくなってきたと感じたら、まずは家族で話し合いを持ちましょう。本人の希望をしっかりと聞き、理解と納得を得ることが大切です。
また、専門家の意見を求めることもひとつの方法です。施設の見学や体験入居を通じて、本人が新しい環境に対する不安を軽減できるよう支援しましょう。
あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長
