お役立ちコラム
親の介護費用はいくら?誰が負担する?平均費用や払えない場合の対処法を紹介
目次
親の介護が必要になったとき、どのくらいの費用がかかるのか、またその負担を誰がどのように分担するのかは、多くの人が直面する重要な問題です。本記事では、親の介護にかかる平均費用や、費用を払えない場合の対処法について詳しく紹介します。
親の介護費用は平均でいくらかかる?
介護費用は、介護の内容や期間によって大きく異なりますが、平均的な数字を知っておくことは、将来の計画を立てる上で役立ちます。ここでは、一時的な介護費用や月々の介護費用、また介護期間の平均から見る費用総額について詳しく解説します。
一時的な介護費用
親の介護を始める際には、一時的な介護費用が発生することがあります。具体的には、介護用ベッドや車いすの購入、住宅の改造費用などです。 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、過去3年間に介護経験がある人の一時的な費用の平均は約47万円でした。 参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
月々の介護費用
月々の介護費用は、継続的に家計に影響を与える重要な要素です。生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、平均的な介護費用は9.0万円となっています。 2024(令和6)年度の調査結果における費用負担額ごとの割合は、次のようになっています。
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費用 |
割合 |
|---|---|
|
支払った費用はない |
0.0% |
|
1万円未満 |
5.9% |
|
1万~2万5000円未満 |
15.1% |
|
2万5000円~5万円未満 |
13.3% |
|
5万円~7万5000円未満 |
9.9% |
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7万5000円~10万円未満 |
4.4% |
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10万円~12万5000円未満 |
10.4% |
|
12万5000円~15万円未満 |
5.5% |
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15万円以上 |
19.3% |
|
不明 |
16.1% |
分布を見ると、「15万円以上」が19.3%で最も多くなっています。 続いて、3年前の2021(令和3)年度に実施された際の割合についても見てみましょう。費用負担ごとの割合は、次のようになっています。
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費用 |
割合 |
|---|---|
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支払った費用はない |
0.0% |
|
1万円未満 |
4.3% |
|
1万~2万5000円未満 |
15.3% |
|
2万5000円~5万円未満 |
12.3% |
|
5万円~7万5000円未満 |
11.5% |
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7万5000円~10万円未満 |
4.9% |
|
10万円~12万5000円未満 |
11.2% |
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12万5000円~15万円未満 |
4.1% |
|
15万円以上 |
16.3% |
|
不明 |
20.2% |
2021年も2024年同様に、15万円以上が最多の割合を占めています。しかし、15万円以上の割合は2021年度と比較して2024年のほうが増加しており(16.3%→19.3%)、介護費用が上昇傾向にあることがうかがえます。 このように、多くの家庭では、月々数万円から十数万円の介護費用を負担しているため、事前に費用を見越して準備することが大切です。 参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
介護期間の平均から見る費用総額
生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、介護を始めてからの平均期間は55.0か月、約4年7か月となっています。仮にこの期間介護を行った場合の介護費用総額は、次のとおりです。
-
月々の介護費用:9.0万円 × 55.0か月 = 495万円
-
一時的な費用:47万円
-
合計:542万円
ただし、実際の費用は個々の状況によって異なるため、あくまで目安として理解しておくことが重要です。 参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
【在宅・施設別】介護費用の平均月額
親の介護費用は在宅介護か施設介護かによっても大きく異なります。生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によれば、在宅介護を選ぶ家庭は58.3%、施設介護は40.3%でした。 ここでは、在宅・施設ごとにどれくらいの費用がかかるのかについて解説します。 参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
在宅介護の場合
生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、在宅介護の平均月額費用は約5.2万円でした。この費用には、介護サービスの利用料や日用品、食材の購入費などが含まれます。 費用負担額ごとの割合は、次のようになっています。
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費用 |
割合 |
|---|---|
|
支払った費用はない |
0.0% |
|
1万円未満 |
8.6% |
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1万~2万5000円未満 |
22.8% |
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2万5000円~5万円未満 |
18.4% |
|
5万円~7万5000円未満 |
13.0% |
|
7万5000円~10万円未満 |
4.0% |
|
10万円~12万5000円未満 |
6.3% |
|
12万5000円~15万円未満 |
1.2% |
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15万円以上 |
6.9% |
|
不明 |
18.7% |
費用負担の割合としては、1万~2万5000円未満が22.8%で最も多く、次いで2万5000円~5万円未満が18.4%、5万円~7万5000円未満が13.0%という結果になっています。 参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
施設介護の場合
生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、施設介護の場合にかかる月々の費用は、平均で約13.8万円でした。施設介護では施設入居費用やサービス利用料が加算されるため、在宅介護と比べて費用が増える傾向にあります。 費用負担額ごとの割合は、次のようになっています。
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費用 |
割合 |
|---|---|
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支払った費用はない |
0.0% |
|
1万円未満 |
2.1% |
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1万~2万5000円未満 |
4.6% |
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2万5000円~5万円未満 |
6.3% |
|
5万円~7万5000円未満 |
5.8% |
|
7万5000円~10万円未満 |
4.6% |
|
10万円~12万5000円未満 |
16.7% |
|
12万5000円~15万円未満 |
12.1% |
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15万円以上 |
37.5% |
|
不明 |
10.4% |
具体的な費用負担を見ると、月15万円以上かかるケースが37.5%で最も多く、10万円~12万5000円未満が16.7%、12万5000円~15万円未満が12.1%と続いています。 参考:公益財団法人 生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」
親の介護費用は誰が負担する?
親の介護費用を誰が負担するのかという問題は、多くの家庭で直面する課題です。基本的には、親自身の年金や貯蓄から捻出することが望ましいとされています。しかし、現役時代に十分な貯蓄を作れなかった場合、年金だけでは賄えないこともあるでしょう。 そのような場合は、家族間で話し合いを行い、子どもが一部を負担することも考えられます。また、公的機関や民間の制度を活用して、介護費用を軽減するのもひとつの手です。 仮に子どもが負担する場合でも、自分たちの生活もあるため、老後資金を切り崩してまで介護費用に充てるのは望ましくありません。
親の介護費用に備えるためのポイント
親の介護費用に備えるためには、事前の準備が重要です。まずは、親の介護に対する希望をしっかりと確認することから始めましょう。 次に、親の経済状況を把握し、介護に必要な費用を見積もることが大切です。さらに、不足する費用については、家族で分担方法を話し合い、合意を得ておくことが安心につながります。 事前にこれらのポイントを押さえておくことで、いざという時にスムーズに対応できるでしょう。
親の介護希望を確認する
親がどのような介護を希望しているのかを確認することは、介護費用の見通しを立てるうえで非常に重要です。在宅での介護を希望する場合、住宅のバリアフリー化や福祉用具の購入といったリフォーム費用が必要になることがあります。 一方で、施設への入居を希望する場合は、入居時の初期費用としてまとまった金額が必要です。資金計画を立てるうえでも、あらかじめ親と介護について具体的に話し合い、希望をしっかりと確認しておくようにしましょう。
親の経済状況を把握する
介護が始まる前に、親の経済状況をしっかりと把握しておくことは大切です。親自身が介護費用を負担する場合であっても、その経済状況によっては支払いが困難になることも考えられます。また、子どもが介護費用を負担する可能性もあるため、親の経済状況や保険の加入状況をあらかじめ確認しておくようにしましょう。 具体的には、次のようなものを把握することが重要です。
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保有している銀行口座
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年金収入の状況
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株式などの有価証券の有無
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生命保険の契約有無
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所有不動産などの資産有無
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負債の有無
また、万が一の事態に備えて銀行の暗証番号、預金通帳、登録印鑑の場所などもわかるようにしておくと安心です。事前に親の預貯金や借入金の額を把握できれば、不足分の有無や差額の負担方法について、より明確な見通しを立てられます。
不足する費用の分担を決める
親の介護費用が親自身の資産だけでは賄えない場合、不足する費用の分担を家族で協議して決める必要があります。それぞれの家庭の経済状況を主張するだけでは、解決にはつながりません。以下のような方法を参考に、負担割合を決めるとよいでしょう。
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完全に均等に分担する
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遠方に住んでいる家族がいる場合は、介護に直接関われないため、多く負担する
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子育て中の家族がいる場合は、子育ての状況に応じて負担を調整する。子育てが一段落するまでは少額負担にし、その後は負担割合を見直す
具体例として、親が施設に入居する場合を考えてみましょう(子ども:3人兄弟で均等に金額を分担する)。月々30万円の費用がかかる場合、親の年金から15万円を充当し、残りの15万円を3人兄弟で5万円ずつ分担する形も一案です。このように、家族の状況や能力に応じて柔軟に対応することが重要です。
介護費用を払えない場合の対処法
親の介護費用を払えない場合でも、いくつかの対処法があります。主な対処法は、次の5つです。
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介護の悩みに対応できる専門家や公的機関に相談する
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介護費用負担を軽減できる制度を利用する
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生活福祉資金貸付制度を利用する
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特定入所者介護サービス費を利用する
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自治体の助成制度を利用する
それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。
介護の悩みに対応できる専門家や公的機関に相談する
介護費用を払えないと感じた場合には、まず専門家や公的機関に相談することが重要です。相談先としては、地域包括支援センターやケアマネジャー、医療機関のケースワーカー、地域の社会福祉協議会、自治体などが挙げられます。 特に、地域包括支援センターは市区町村が設置している機関で、保健師や社会福祉士、主任ケアマネジャーなどの専門家が在籍しています。これらの専門家は地域の介護サービスに精通しており、限られた予算内で対応可能な介護施設を紹介してくれる場合もあります。 専門窓口に相談することで、解決の糸口が見つかる可能性があるため、積極的に利用しましょう。
介護費用負担を軽減できる制度を利用する
介護費用負担を軽減するための制度には、次のような選択肢があります。
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高額介護サービス費制度
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高額医療・高額介護合算療養費制度
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介護保険負担限度額認定制度
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医療費控除
これらの制度を上手に活用することで、介護費用の負担を大きく軽減することが可能です。
高額介護サービス費制度
高額介護サービス費制度は、介護サービスを利用した際に、1か月あたりの自己負担額が限度額を超えた場合、その超過分が払い戻される制度です。この制度により、介護費用の負担が軽減されます。 なお、自己負担額の上限は所得に応じて異なるため、事前に確認しておくことが大切です。ただし、すべての介護サービスが対象となるわけではなく、一部のサービスは対象外となる場合があるため注意しましょう。 参考:国税庁「5 高額介護(居宅支援)サービス費 (介護保険法51、61)」
高額医療・高額介護合算療養費制度
高額医療・高額介護合算療養費制度は、公的医療保険と公的介護保険において、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間に支払った自己負担額が高額になった場合に、自己負担額が軽減される制度です。 この制度は、高額療養費制度とは異なり、1か月ではなく1年間の支出を基に計算されます。払い戻しを受けるには申請が必要で、自動的には適用されません。 また、所定の自己負担額は、対象者の年齢や所得に応じて細かく基準が設けられているため、あらかじめ確認しておきましょう。 参考:厚生労働省「高額医療・高額介護合算療養費制度について」
介護保険負担限度額認定制度
介護保険負担限度額認定制度は、所得や資産が一定基準以下の人を対象に、介護保険施設への入所費やショートステイ利用時の居住費、食費の自己負担額を軽減する制度です。この制度を利用するためには、居住地の市区町村に申請し、事前に認定を受ける必要があります。 なお、負担限度額は、世帯の所得や預貯金などの資産、利用する部屋の種類によって異なります。 参考:中央区「介護保険負担限度額認定」
医療費控除
介護費用の負担を軽減する方法として、医療費控除の活用が考えられます。医療費控除は、その年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が一定額を超えた場合に受けられる所得控除です。 具体的には、年間で10万円以上の医療費を支払った場合に申請が可能です(総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額の5%以上)。多くの介護サービス費用も医療費控除の対象となるため、支払金額が10万円を超えた際には、確定申告を検討するとよいでしょう。 参考:国税庁「No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)」
生活福祉資金貸付制度を利用する
生活福祉資金貸付制度は、経済的な自立や在宅福祉の利用促進を目的に、低所得者世帯や障害者世帯、高齢者世帯を支援するための制度です。この制度を利用することで、親の介護費用に必要な資金を一時的に確保することが可能です。 ただし、この制度は貸付であるため、のちに返済が必要となります。 参考:厚生労働省「生活福祉資金貸付制度」
特定入所者介護サービス費を利用する
特定入所者介護サービス費は、介護保険施設に入居している人の資産や所得が一定以下の場合に利用可能な制度です。介護保険施設に入居する場合、居住費や食費などが発生しますが、特定入所者介護サービス費制度を利用すれば、負担限度額を超えた居住費や食費の一部が介護保険から支給されます。 制度の利用には市区町村への申請が必要です。なお、有効期限が設けられているため更新手続きが必要になるため注意しましょう。 参考:厚生労働省「令和6年8月からの特定入所者介護(予防)サービス費の見直しに係る周知への協力依頼について」
自治体の助成制度を利用する
一部の自治体では、介護サービス利用に対する独自の助成制度を実施しています。これらの制度を活用することで、介護費用の自己負担を大幅に軽減することが可能です。 ただし、助成制度の内容や対象要件は自治体ごとに異なるため、まずは居住する自治体に問い合わせて詳細を確認しましょう。
親の介護費用については事前の話し合いが大事
親の介護費用については、事前に家族間での話し合いが重要です。親とは離れて暮らしている場合、いざという時にどれだけの費用が必要なのか、そして誰がどのように負担するのかを明確にしておくことで、後々のトラブルを防ぐことができます。 親の介護に備えるためにも、家族全員で協力し、今からしっかりと計画を立てておくことが大切です。











