お役立ちコラム
介護リフォームのタイミングや計画のポイント、費用相場を解説
目次

住み慣れた家でも高齢になると、たとえば階段をのぼるのがつらくなったり、わずかな段差につまずいて転倒しそうになったりすることがあります。これは高齢になるにしたがって体や感覚が変わるためです。ただ変化は徐々に起こるため、万が一のことが起こる前に介護リフォームで備える必要があるでしょう。
この記事では、介護を目的としたリフォームが必要な理由や実施のタイミング、よくあるリフォーム例とその費用相場を解説します。
介護リフォームが必要な理由

介護リフォームでは、リフォームが必要とされる理由を理解しておくことが必要です。ここでは介護リフォームがなぜ必要なのか、その理由について考えます。これらは、リフォームする場所や設備を決める上で重要なポイントです。介護リフォームの前提として、しっかり把握しておきましょう。
住み慣れた家でも段差で転倒しやすいから
住み慣れた家であっても、身体機能が低下した高齢者には転倒のリスクがあります。健康な人からみると大したことのないちょっとした段差が、転倒の原因になるためです。
転倒しても「痛い」程度ですめばまだ良いですが、骨折したり、家具に頭をぶつけたりするなど大ケガを負うこともあります。長期の入院・リハビリはもちろん、障害が残ってしまうかもしれません。
「まだまだ大丈夫」と思っているうちに、しっかり対処しておく必要があるでしょう。つまずきや転倒などのリスクを避けるために、介護リフォームは必要だといえます。
介助者が介護しやすい空間が望ましいから
「介護される側」にメリットにもメリットが大きい介護リフォームですが、「介護する側」にもメリットがあります。それは介護リフォームによって生まれる「介護のしやすさ」です。
たとえば床材をメンテナンスしやすいものに変更すれば、介助者が掃除する手間を減らし、時間の節約にもつながります。なかには認知症が進み、徘徊を繰り返す高齢者もいるでしょう。適切な鍵の設置は、「目が離せない」という緊張感からの少し気持ちを開放してくれます。
介助する家族にとって、介護は大きなストレスにもなります。介護リフォームを検討する際は、「ストレスを緩和する」という視点を持つ必要もあるでしょう。
介護リフォームをするタイミング

介護リフォームは、介護が必要な人の安心・安全を確保しながら、介護する側の利便性向上やストレス軽減を目指すものです。このことを踏まえると、介護リフォームのタイミングは大きく2つに絞られます。ここでは、介護リフォームのタイミングについて考えてみましょう。
家族や自分に介護が必要になったとき
まず考えられるのは、家族や自分自身に介護が必要になったタイミングです。介護が必要になれば、リフォームやリノベーションしたくなるのは、ごく自然なことだといえるでしょう。
足腰が程度弱くなっても、使いやすい位置に手すりがあれば、自分で立ち上がりや移動ができるようになります。また介護しやすいようリフォームしておけば、まだまだ住みなれた家で暮らせるかもしれません。
「介護が必要になる」には、次の2つのケースが考えられます。
- ケガや病気など
- 生活ぶりや年齢など
どちらも必要な介護や介護リフォームによるサポートは、明確です。とくにケガや病気で入院中であれば、その間に介護リフォームを施工することで、在宅介護への以降がスムーズです。リフォームの場所や形態を絞り込み、快適な在宅介護生活につなげましょう。
いつでも介護できるように備えたいとき
もう1つ考えられるタイミングが、いつ介護が必要になっても良いように備えたい場合です。今はとくに介護が必要ではなくても、高齢者と同居していれば将来介護が必要になる可能性があります。また、高齢の家族に介護が必要となり、同居し始めるケースもあるでしょう。
このケースでは、室内各所に手すりを設置したり、家の中の段差をなくしたりといったバリアフリーリフォームが考えられます。ただし、介護が必要になったときは、介護の状況に合わせてリフォームを追加する必要が生じるかもしれません。
このような「備え」としての介護リフォームには、高齢者の行動範囲が狭くなってしまうことを防ぐ効果も期待できます。同居する家族も安全に暮らせるようになるため、住まいを見直すよい機会です。
介護リフォームを計画する際のポイント

介護リフォームは、実際に暮らす人にとってのメリットが必要です。ここでは介護リフォームを計画するとき、押さえておきたいポイントを解説します。計画のさまざまな段階でチェックしてみましょう。
身体の状態に合わせたリフォームをする
介護リフォームは、介護される人と介護する人が安心・安全に生活するためのものです。リフォーム内容は、介護に直接関わる人の身体の大きさや筋力など状態に合っていなくてはなりません。
車いすを使っている場合でも、状態によって必要なリフォームの内容は変わります。たとえば、ほかの人の介助がなければ移動できない人の場合、介助者が車椅子の後ろに回り込むスペースが必要です。また自分でハンドリムをつかんで車輪を回せる人であれば、車輪を回すとき手などをぶつけないよう、スペースにはある程度の余裕が必要になります。
このように介護リフォームには、手すりやスロープといった一般的な設備を一律に導入するだけでなく、実際の介護を間違いなくサポートできるための配慮が大切です。介護される側の状態や介助者による介護の様子に合わせ、検討しましょう。
介助者にも配慮したリフォームをする
介護では、介護される側の安心・安全・快適さが注目されます。一方、介護する側の作業量や身体への負担は、相当なものです。介護リフォームは介護される側だけでなく、介助者にも配慮する必要があるでしょう。
トイレを、車椅子でも楽に出入りできるようリフォームで広くすると、使いやすくなります。しかし、粗相があると後片づけの負担は増えるかもしれません。トイレのリフォームは車椅子が出入りしやすく、できるだけコンパクトなトイレが理想的です。
介護リフォームでは、介護される側だけに注目するのではなく、介助者を含めた「介護全体」に対して効果的なリフォームが求められます。
将来のことも考慮してリフォームする
いざ介護生活が始まると、さまざまなところで介護に向かない不便なつくりのみつかることがあります。介護リフォームでは、現在だけでなく将来のことも考慮してことが重要です。
介護は、ある日突然必要になるかもしれません。つまり、その可能性に備えるための配慮といえます。いざ介護が必要になると、リフォームについて落ち着いて検討できなくなるほど忙しくなることも多いです。あらかじめリフォームが必要な箇所を洗い出しておけば、リフォームもスムーズに進められます。
また工事の規模や内容によっては、長期間家を開けることになるかもしれません。仮住まいでの生活は、介護される側にもする側にも大きな負担になるでしょう。
介護リフォームは必要になってからではなく、できるだけ早めに将来を考慮して検討しておく必要があります。
場所別・介護リフォームのよくある例

介護リフォームの内容は、今の住まいや介護される人の身体状況や要望、必要な介護の種類などによって変わります。ただし、リフォームが必要な場所の多くは、誰もが日常的によく利用する場所です。
ここでは、介護リフォームがよく行われる場所やリフォームのバリエーションをみていきましょう。
玄関
とくに築年数の古い家の玄関は、敷居や上がり框の高いことが多いです。高齢で足を上げづらくなると、つまずきや転倒の原因になります。できるだけ段差をなくし、高くても15センチメートル以内に収めるのが理想です。このほかにも、次のようなリフォームが考えられます。
- スロープを設置:車椅子での出入りができ、歩行でもゆっくり上り下りできるので体への負担を減らせる
- 間口を広げる:車椅子や介助者に補助されながらの出入りに必要なスペースが確保できる
- 扉を引き戸にする:開き戸に必要な開ける際の細かな前後移動が必要なくなる
玄関は、買い物や通院などの外出には欠かせません。できるだけ負担なく出入りできるよう、整えておきたい場所の一つです。
トイレ
毎日使うトイレでは、さまざまな動きを必要とします。介護でポイントとなるのは、次のような動作です。
- (開き戸の場合)ドアの開け閉めでの細かな前後移動
- トイレに入るときの段差の上り下り
- (洋式の場合)便座やふたの上げ下げ、着座と立ち上がり
介護リフォームでは、「扉を引き戸に変える」「トイレの段差をなくす」「壁に手すりを設置する」といったものが考えられます。和式便器の場合は、洋式便器に変えると足腰への負担軽減に効果的です。
またスリッパを履いての利用も高齢者は転倒する可能性があるため、避けたほうがよいでしょう。そのときは床を裸足でも冷たくなくて滑りにくい、掃除しやすい素材に変えるとより安心して利用できます。
お風呂
お風呂も、介護では注意が必要な場所です。床材によっては、水・石鹸・シャンプーなどで滑りやすく、転倒する恐れがあります。また、冬は暖かい居室から寒い浴室に入ると血圧が急上昇する恐れがあり、脳内出血や心筋梗塞の原因となるため注意が必要です(ヒートショック)。お風呂のリフォーム例には、次のようなものがあります。
- 床材:滑りやすいタイルではなく滑りにくい素材に変える
- 浴室暖房:脱衣場・浴室の両方に設置し、できるだけ気温差を少なくする
- 浴槽:あまり足を上げないでまたげる高さのものに変える
- 手すり:浴室内や浴槽のそばなどに設置して転倒を防ぐ
- 浴室の拡張:狭い浴室の場合は入浴介助しやすいよう拡張する
予算に余裕がある場合は、浴室をまるごとシステムバスにリフォームすることもできます。利用の現状と季節の変化を含め、効果的なリフォームの形を検討しましょう。
階段
階段の昇降も、転倒の可能性がある要注意ポイントです。介護リフォームでは、適切な位置に手すりを設置したり、階段自体を変えて段差を緩やかにしたりという施工ができます。高齢になると、腰や背中が曲がっていることも多く、手すりの適切な高さは変わるため注意が必要です。
また階段は照明が階上の天井に設置されていることが多いため、明るさが足りずに段差の見えにくくなっている場合があります。そのようなときは別途、人が通るときに自動で点灯する照明を設置すると効果的です。
場所別・介護リフォームの費用相場

リフォームをすることになれば、費用も問題になります。どの場所をリフォームするとしても、かかる費用の相場くらいは把握しておく必要があるでしょう。
ここでは、リフォームする場所ごとの費用相場を紹介します。
玄関
玄関のリフォームにかかる費用相場は、以下の通りです。
| 工事の種類 | 費用の相場 |
|---|---|
| 段差の変更 | 1万円〜 |
| 床材の変更 | 5万円〜 |
| 手すりの設置 | 6万円〜 |
| スロープの設置 | 20万円〜 |
スロープではなく昇降機を設置する場合の費用相場は、20万円からとなります。
トイレ
トイレのリフォームの場合は、工事ごとに次のような費用が発生します。
| 工事の種類 | 費用の相場 |
|---|---|
| 段差の変更 | 2千〜10万円 |
| 手すりの設置 | 5万〜10万円 |
| 引き戸への変更 | 10万〜20万円 |
| トイレスペースの拡張 | 10万〜30万円 |
| 和式から洋式へ変更 | 18万円〜 |
このほか、冬場に備えた温水洗浄便座の設置(7万円〜)も効果的です。季節の変化も踏まえ、必要な工事を検討しましょう。
お風呂
浴室のリフォームにかかる費用相場は、以下の通りです。
| 工事の種類 | 費用の相場 |
|---|---|
| 手すりの設置 | 3万〜5万円 |
| 床材の変更 | 5万円程度 |
| 折戸への変更 | 7万円程度 |
| すのこ設置(段差解消) | 25万円程度 |
| 浴室スペースの拡張 | 40万円程度 |
とくに浴室スペースの拡張では、必要な広さが確保できるかどうかが重要です。脱衣場や廊下など必要なスペースを使ってしまうと、浴室がかえって使いづらくなる可能性もあるため注意しましょう。
階段
階段のリフォームには、おおむね2種類の工事が考えられます。
| 工事の種類 | 費用の相場 |
|---|---|
| 手すりの設置 | 10万〜15万円 |
| 段差の変更 | 30万円〜 |
階段を楽に上り下りするためには、昇降機(ホームエレベーター)を設置する方法もあります。ただし、費用相場は50万円からと高額です。設置後の定期メンテナンスにも費用が発生するため、総合的に判断する必要があるでしょう。
介護保険を利用してリフォームをする6ステップ

介護に必要なリフォームであれば、介護保険を利用できる可能性があることをご存知でしょうか。ただしそのためには、リフォームに着手する前に申請が必要です。
実際の介護リフォームは、以下の6ステップで進めなければなりません。
- ステップ1.ケアプランを作成してもらう
- ステップ2.市町村に住宅改修費の事前申請をする
- ステップ3.業者を探して介護リフォームを依頼する
- ステップ4.家屋調査を下にしたリフォームプランをチェックする
- ステップ5.リフォーム工事を開始する
- ステップ6.助成金を申請する
ここでは、介護保険を利用してリフォームする場合の流れを一つずつみていきましょう。
ステップ1.ケアプランを作成してもらう
介護リフォームを検討するのであれば、まずは担当のケアマネジャーに相談しましょう。ケアプランとは、介護を必要とする人にどのような介護が必要かをまとめた「介護の計画書」です。介護リフォームにおいてケアプランが作成されなければ、介護保険は適用されません。ケアマネジャーはその介護リフォームが必要であることを認定する「理由書」を作成します。理由書は後の「住宅改修費」の申請に必須の書類です。
介護認定を受けていない(ケアマネジャーがいない)場合は、市区町村の介護の窓口に相談してみましょう。
ステップ2.市区町村に住宅改修費の事前申請をする
ケアプランが作成され介護リフォームのプランが固まったら、工事に入る前に市区町村へ住宅改修費の申請をします。申請に必要な書類は、次の通りです。
- リフォームの見積書と見積額内訳書
- 住宅改修を必要とする理由書
- 介護保険給付費支給申請書
- 工事施工前の状況を示す写真
- 完成予定のイメージがわかるもの
- (賃貸物件の場合のみ)住宅改修に関する住宅所有者の承諾書
申請後の審査には、時間がかかります。工事開始日が限定される場合は、少なくとも工事開始の2週間前までに申請しましょう。
市区町村によって、提出する書類は異なる場合があります。実際に申請するときは該当する市区町村への確認が必要です。
ステップ3.業者を探して介護リフォームを依頼する
申請が認められると、市区町村から決定通知書などの書類が届きます。内容を確認後、適切なリフォーム業者を探し、介護リフォームを依頼しましょう。このとき、工事予定日や工事代金の支払い方法についても打ち合わせます。
介護保険を利用したリフォーム代金の支払い方法は、次の2つのうちいずれかです。
- 償還払い:工事完了後に工事費の全額を支払い、その後介護保険から助成金が還付される
- 受領委任払い:業者が市区町村の指定を受けている場合のみ可能な方法で、工事費から介護保険による還付分を差し引かれた金額のみを支払う
リフォーム費用が高額であるほど、あらかじめ資金の確保が必要です。市区町村の指定業者の受領委任払いであれば、出費は大きく抑えられるでしょう。
ステップ4.家屋調査を元にしたリフォームプランをチェックする
業者による家屋調査が行われ、その結果を元にリフォームプランをチェックします。
費用や工期も考慮する必要はありますが、リフォームの目的とクオリティはとくに詳しくチェックしましょう。
ステップ5.リフォーム工事を開始する
リフォームプランを詳細にチェックし、問題なければいよいよ業者によるリフォーム工事が始まります。
工事にあたって一時的な転居が必要な場合、仮住まいでの介護に必要な物も準備しなければなりません。工期が長ければこれまでと異なる環境での介護の負担は大きくなります。介護される側もする側も、できるだけ負担が少なくなるよう事前に備える必要があるでしょう。
ステップ6.助成金を申請する
工事が完了したら市区町村へ報告するため、リフォーム後の写真や領収書など指定の書類を提出します。償還払の場合、報告が受理されれば介護保険から補助金が還付されます。
受領委任払いの場合は、すでに助成金分の金額が差し引かれた金額を支払うしくみのため、還付はされませんが市区町村への報告や書類の提出は必須です。
介護保険を利用してリフォームをしよう

住み慣れたわが家でも、高齢になれば身体能力の低下などによりさまざまな不具合や使いづらさが発生するでしょう。その対策として、介護リフォームは有効です。どの場所をどのようにリフォームするか検討する際は、介護される側だけでなく介護する側にも配慮が求められます。
介護リフォームは、玄関・トイレ・浴室・階段などに用いられます。一部費用は、介護保険の適用を受けることもできますが、事前の申請や工事完了後の報告が必須です。介護保険を利用したリフォームを検討する場合は、まず担当ケアマネジャーや市区町村へ相談しましょう。
まずはどのような課題があるか、介護リフォームが役立つかを知ることが大切です。介護リフォームで、安心・安全・快適な生活を実現しましょう。




