お役立ちコラム

介護施設の夏祭り|老人ホームで盛り上がる企画や注意点を紹介

夏祭りは、日本中で地域を問わず行われてきた夏の風物詩です。老人ホームなどの介護施設でもよく開催されますが、利用者にとってメリットがある反面、介護者には注意すべき点もあります。

夏祭りは、ワクワクするような魅力的な行事です。ここでは年に1度の夏祭りを安全に楽しんでもらうための注意点やゲーム、企画の例を解説します。

老人ホームで行う夏祭りの目的とは?

老人ホームで行う夏祭りには、「夏祭りの楽しさを味わう」という意味もありますが、その他にも目的があります。何となく「夏になったからやろうか」というのではなく、利用者さんに十分楽しんでもらいるような配慮が必要です。

ここでは老人ホームで行われる夏祭りの代表的な目的を4つ、解説します。

季節を実感できQOL向上につながる

老人ホームでは通常、一年を通して快適に過ごせるよう室温が常に調整されています。エアコンがあまり一般的でなかった高齢者にとっては、夏は暑く、冬は寒いのが当たり前です。老人ホームは快適である一方、暑さや寒さといった季節の変化を実感できない環境といえるでしょう。

老人ホームで夏祭りを行うと、夏の訪れを実感できます。その中での冷たい飲み物やかき氷、たこ焼き、ヨーヨー釣りなどを通じて、「夏らしさ」を感じてもらうことにつなげられます。

日頃、変化の少ない穏やかな毎日を過ごす高齢者にとって、夏祭りはちょっとした「非日常」です。輪投げやスイカ割りなど見るだけでも、童心に戻ってひとときを楽しめます。このような楽しみは、利用者のQOL(Quality Of Life=生活の質)の向上にも効果的です。

コミュニケーションが活性化される

老人ホームに入居している高齢者には、聴力が衰えたり言葉がうまく発声できなかったりとコミュニケーションをとることが難しい方もいます。介護者とのコミュニケーションがうまく取れないからと、コミュニケーションを避ける方もいるようです。

夏祭りのような非日常になると、気分が変わります。盆踊りやゲームなどに参加することで、コミュニケーションに対して積極的になる高齢者が出てくるかもしれません。

多くの老人ホームは、一般の方が立ち入る機会は少ないです。夏祭りに近隣の方を招待すれば、高齢者にとって刺激となるでしょう。コミュニケーションが増えるために脳が活性化され、認知症予防にもつながります。

役割を担うことで達成感が得られる

夏祭りにゲームや屋台などを行うためには、準備に手間や時間がかかります。やることといえば、食材を切ったり生地を混ぜたり、ヨーヨーを作ったりなどあまり難しいことはありません。役割の一部を利用者さんに担ってもらうことも、十分可能です。

たこ焼きのような調理については、むしろ利用者のほうがテキパキとこなせる場合もあるかもしれません。高齢者が役割を担ってこなしていくことは、達成感が得られる貴重な機会です。

ほかにも、進行のアナウンスや盆踊りでの音楽の演奏といった役割もあります。夏祭りを実施にあたり、できることややりたいことは利用者さんに担当してもらいましょう。積極的に参加したイベントが盛り上がれば、老人ホームというコミュニティの一員としての自己肯定感が得られる可能性もあります。

リハビリ効果が期待できる

夏祭りに参加することで、利用者は「いつもと違うこと」をやる場面が増えます。例えば車椅子の方も盆踊りをしたり、かき氷に舌鼓を打ったり、輪投げでうまく投げられるよう意識を集中したりなどです。

これらの行う作業により、それぞれリハビリ効果が期待できるでしょう。視覚や触覚を刺激することは巧緻性(こうちせい、手先の器用さや指先を使う巧みさ)の向上に、手指や足腰の運動は身体能力の向上に、集中したり思考したりといったことは脳や感覚器の刺激になりえます。

夏祭りのゲームやイベントを検討する際は、リハビリの一環として利用者に効果的な作業が含まれるものを選ぶと、より楽めるかもしれません。

老人ホームで夏祭りを行う際の注意点

夏祭りは非日常であり、ワクワクするイベントです。高齢者はもちろん、スタッフやゲストに対しても、安全面で配慮の不足する可能性があります。参加者全員の安全を確保するには、少なくとも次の3点には注意が必要です。

ここでは、老人ホームで夏祭りを行う際の注意点を解説します。

参加される方の状態を把握しておく

夏祭りには、できるだけ入居者全員が参加し、楽しんでもらいたいところです。しかし、参加方法や楽しみ方はそれぞれ異なります。なかには、大人数で賑やかに楽しむのが苦手な方もいるでしょう。楽しさのあまり、無理をしてしまう方がいるかもしれません。夏祭りを開催する際には、参加者の状態を共有し、スタッフ全員が把握することが大切です。

老人ホームの入居者は、嚥下機能に注意が必要な方や寝たきりの方、うまくコミュニケーションを取れない方などさまざまです。無理に参加してもかえって疲れてしまい、その後の生活に影響する可能性もあります。

また夏祭りにおけるすべての入居者様の状況を、常に把握しておくことも重要です。認知症がある方は、何かの拍子に施設の外に出てしまうことも考えられます。その一方で雰囲気に馴染めず、孤独を感じる利用者がいるかもしれません。スタッフは、夏祭りを楽しみながら状況を把握し、一緒に楽しめるように積極的に声かけをしましょう。

誤嚥による窒息事故に注意する

食べ物や飲み物に注意が必要な利用者がいる場合、夏祭りの飲食物に注意が必要です。嚥下機能が衰えて誤嚥の危険性がある参加者には、スタッフが常に付き添いましょう。飲食できるものかどうかを判断し、適切に飲食できるよう介助することで誤嚥による窒息事故を予防できます。

誤嚥の可能性のある利用者が多い場合には、屋台のメニューを嚥下しやすいものに変更するのも一案です。かき氷をやわらかいゼリー状にしたり、ラムネにとろみをつけたりしてはいかがでしょうか。

普段注意して食事する利用者も、夏まつりの雰囲気にあわててしまい、誤嚥する可能性があります。介護者は飲食物を冷静に判断して、窒息事故防止に努めましょう。

熱中症に注意する

夏は暑いものですが、年ごとに暑さが増していると感じる方も多いでしょう。「暑いところに長時間いると起こる」と思われがちな高齢者の熱中症は、実は住宅内での発症が最も多いこともわかっています。

「夕方涼しくなってきたから」と油断することなく、参加者の小さな変化もチェックしましょう。熱中症には、こまめな水分補給と適度な塩分摂取が有効とされます。高齢者は喉の渇きを感じにくくなることが多いため、水分補給を忘れて夏祭りを楽しんでしまうかもしれません。

日中暑かった日の夏祭りはとくに、水分補給時間を定めるなどして熱中症対策をすることが大切です。

参考:環境省「熱中症とは何か」

老人ホームの夏祭りにおすすめのゲーム

夏祭りといえば、誰にでもチャレンジできる定番ゲームが頭に浮かぶでしょう。なかでも老人ホームでの夏祭りには、大きな動きや集中しての器用な手先がものをいうゲームがおすすめです。

ここでは、老人ホームの夏祭りにおすすめのゲームを紹介します。

ヨーヨー釣り

1つひとつ大きさが微妙に違い、カラフルな色、釣れたときの達成感が得られるヨーヨー釣りは、利用者はもちろん子どもから大人まで誰もが楽しめるゲームです。

手を動かせれば利用者1人でも楽しめ、そうでない方でも介護者の介助があれば楽しめます。上手に釣るには、どれがうまく釣れそうか見極めることが重要です。ヨーヨーの中の水を少なめにすると、比較的釣りやすくなります。

ビンゴゲーム

ある程度の人数の参加者がいれば、ビンゴゲームも盛り上がるでしょう。参加者は、手元のカードでビンゴする数字が出るのを待つだけ。参加者のADLを問わず、多くの方が参加できるゲームです。

利用者のビンゴのカードを正しく開けられているか確認して回ると、コミュニケーションも取りやすくなります。景品も嬉しいですが、ビンゴするまでのドキドキが楽しいゲームです。

わなげ

わなげセットが手に入るようなら、わなげも取り入れてみましょう。わなげは、イスに座ってできるゲームです。腕の曲げ伸ばしにもなり、前傾姿勢など重心移動のリハビリやバランス運動にもなります。

わなげセットに9つのバーがあれば、縦・横・ななめでビンゴとなり、わなげとビンゴゲームの組み合わせも可能です。投げるときは周囲に応援してもらうなどするといっそう盛り上がり、参加者の一体感も増すでしょう。

箱の中身当てゲーム

「箱の中身当てゲーム」は、大きな箱の中身が何か、手を入れて触って当てるゲームです。このゲームは、入れるものによって難易度を調整できます。手を入れる穴が左右に2つがおすすめです。ゲームにチャレンジする方には中身が見えず、周りの方からは中身が見える箱がよいでしょう。

日頃見慣れたものであっても、見えずに手で触るだけだとなかなかわかりません。なかにはスポンジがわからず、びっくりして手を引っ込めてしまう場合もあります。転倒などによるケガに注意して、盛り上がりましょう。

老人ホームの夏祭りにおすすめの屋台メニュー

夏祭りといえば、屋台の食べ物メニューも魅力です。自宅でも食べられるメニューでも、祭りの雰囲気の中だとどこか特別なもののように感じるかもしれません。参加する高齢者にも、この雰囲気と特別感を提供できるよう、工夫しましょう。

ここでは、夏祭りで出すおすすめの屋台メニューを解説します。

かき氷

かき氷は、かき氷機があれば簡単にできるメニューです。シロップや器、使い捨てのスプーンなど、100円ショップを利用すれば簡単に用意できます。ご近所の方たちも招待するのであれば、ある程度の数を見込む必要があるかもしれません。

氷は、施設の冷蔵庫だけではおそらく足りないでしょう。コンビニ・スーパー・酒店など、どこで手に入るか事前に確認しておくことをおすすめします。

かき氷は、量の調節やシロップの味の変更もしやすいメニューです。比較的安価に用意でき、食べやすいためおすすめします。

たこ焼き

たこ焼きは、下準備から調理まで、利用者の活躍が大いに期待できるメニューです。包丁さばきなどは、むしろ介護者よりも安心かもしれません。タコも食べやすく小さめに刻んだり、ネギをハサミで切るという作業もあります。

本格的な屋台のような鉄板ではなく、市販のたこ焼き機やホットプレートを使うと、火を使わないので安心です。食べるときは1人2〜3個ずつ、皿に分けます。焼きたては熱いため、やけどしないようにゆっくり食べていただきましょう。タコの他、かまぼこやちくわ、チーズを入れると、味わいが変わるのでおすすめです。

老人ホームの夏祭りにおすすめの企画

たくさんの参加者がいるからこそ、楽しい夏祭り企画もあります。近隣の方々や入居者・利用者の家族など、みんなで一緒に楽しめるのも夏祭りの醍醐味です。

ここでは、大勢で楽しめる夏祭り企画を解説します。

盆踊り大会

「夏祭りといえば盆踊り」という方も多いでしょう。盆踊りは地域によって少しずつ異なりますが、踊ることが好きな方なら、振り付けが多少違っても楽しめるでしょう。

立って踊れる方はもちろん、車いすの方でも手を大きく動かすなど参加できます。また曲を知っていれば口ずさんだり、大きな声で歌ったりするのも楽しいものです。

スイカ割り

手頃な大きさのスイカが手に入るのであれば、スイカ割りを企画するのもおすすめします。屋外でも屋内でも対応できる企画です。

室内で行う際には、スイカが割れたとき飛び散らないようビニール袋に入れたり、床にブルーシートを敷いたりしておくと、片付けも簡単です。

スイカを割る人だけでなく、周囲の人も誘導したり応援したりできるため、みんなで参加できます。ただ、目隠しをして棒を振り下ろすため、ケガなどがないよう十分な配慮が必要です。

スイカがなければ、紙風船やビーチボールでも代用できます。スイカ割りは、夏を感じられる企画です。ぜひ、参加者全員で楽しみましょう。

老人ホームの夏祭りを企画し利用者さんと楽しもう

老人ホームでは、年間を通して快適に過ごせるよう室温などが整えられています。一方で、夏の暑さや冬の寒さといった季節を実感しづらくなってしまう点はデメリットでしょう。だからこそ、季節を実感できる夏祭りは必要なイベントです。

夏祭りには、さまざまなゲームや企画が盛り込まれています。しかし利用者さんには、夏祭りへの参加だけでなく準備から参加してもらうことで、達成感やリハビリ効果などが得られます。

老人ホームでのイベントである以上、参加者全員の安全が前提です。介護者は参加する利用者さんの状態を把握し、誤嚥による窒息事故や熱中症には十分注意する必要があります。

夏祭りは、年に一度の夏を楽しむためのイベントです。参加者には存分に「夏らしさ」を味わってもらい、大切な思い出にしてもらえるような企画にしたいものです。

小夫 直孝

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年 11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長