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2025年高齢者介護のトレンドを大予想!鍵は「地域」と「予防」

2025年(令和7年)には、国民の4人に1人が75歳以上になるといわれています。少子高齢化問題がピークを迎えるなか、高齢者介護において注目されるのが「地域」と「予防」です。こちらの記事では、2025年高齢者介護のトレンドを大予想!今後増加するであろう介護のニーズについて詳しく紹介していきます。

2025年、高齢者介護はどうなる?

2025年(令和7年)は、第一次ベビーブームに生まれた「団塊の世代」が75歳を迎える年です。社会では少子高齢化がさらに進み、数少ない現役世代で高齢者を支えていく必要があります。医療や介護、経済において、1人ひとりにかかる負担が大きくなっていくのです。

日本社会が抱えるこれらの諸問題は「2025年問題」といわれ、今後解決すべき大きな課題とされています。

2025年問題が深刻化

2025年問題は、後期高齢者数の増加によって引き起こされるさまざまな諸問題を指します。

内閣府の「令和元年版高齢社会白書」によると、2018年(令和元年)の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は28.1%です。高齢化率は年々上昇し、2025年には30.0%になると推計されています。

相反するように、15歳~64歳の生産年齢人口は減少の一途をたどります。2018年に1,760万人だった生産年齢人口は、2025年には1,497万人に減少。さらに、2065年(令和47年)には1,133万人と、高齢化率38.4%の時代を迎えるといわれているのです。

高齢者数と生産年齢人口のアンバランスさは、社会保障費の問題へと直結します。労働力不足により、高齢者が受給する社会保障費と、社会が負担する社会保険料とのバランスが崩れるからです。

年金支給のための財源確保も難しくなり、支給年齢の引き上げも今後避けては通れない問題となっていくでしょう。

75歳以上の後期高齢者人口は2,180万人

内閣府の調査によると、2025年の75歳以上の後期高齢者人口は、2,180万人と推計されています。2000年(平成12年)の900万人と比較すると、約2.4倍にあたる数です。

さらに、65歳~74歳の前期高齢者人口1,497万人を足すと、その数は3,600万人以上にのぼります。これは、日本の総人口の約30%を占める割合であり、現役世代2人で1人の高齢者を支えことを意味しています。

大都市部を中心に急激な高齢化が進む

高齢化のスピードは、地域によって異なります。2025年に向け、急激に高齢化が進むと考えられているのが大都市部です。

厚生労働省の調査によると、2025年、埼玉県の75歳以上人口は117.7万人と推計されます。2010年(平成22年)の58.9 万人と比較すると、その差は約2倍です。東京都も例外ではなく、2010年から2025年にかけ、75歳以上人口が1.6倍増加するといわれています。

一方、もともと高齢者人口の多い地方都市ではゆるやかに高齢化が進むため、2025年問題に向けた対策は、各地域の特性に応じて考える必要があるといわれています。

【参考】
内閣府「令和元年版高齢社会白書」
厚生労働省「今後の高齢者人口の見通し」

2025年問題が医療や介護に与える3つの影響

2025年問題は、医療や介護に以下の3つの影響を与えると考えられます。

  • 影響1.医療費が増加する
  • 影響2.介護費用財源がひっ迫する
  • 影響3.医療や介護の人材がさらに不足する

近年は、高齢であっても趣味やスポーツを楽しむ元気な高齢者が増加しています。しかし、高齢者は免疫力が低下するため、人口全体で見た疾患リスクが高まることも事実です。ここからは、3つの影響をさらに掘り下げながら確認していきましょう。

影響1.医療費が増加する

2025年には、高齢者数とともに医療費が増加すると考えられます。厚生労働省の試算によると、2025年の医療分野における社会給付費は約47兆円です。さらに、2040年(令和22年)の給付費は約66兆円と、およそ19兆円の増加が見込まれています。

今後高齢者が増加し労働人口が減り続ければ、徴収できる税金は減り、社会保障費を維持することはさらに困難となっていくでしょう。

影響2.介護費用財源がひっ迫する

高齢者が増え労働者数が減少すると、介護費用の財源がひっ迫すると考えられます。高齢数とともに、介護サービスを必要とする利用者数も増加するからです。

介護保険制度の財源は、公費と保険料、利用者負担によってまかなわれています。公費とは、国と都道府県、市町村がまかなう税金です。保険料は、40歳以上すべての国民に負担が義務付けられています。また、所得に応じた利用者負担は、サービス利用料の1~3割にあたる額です。

労働者人口が減少すれば、必然的に公費や保険料の確保が難しくなります。2025年には高齢者の単身世帯が増加するといわれており、子ども世帯の収入に頼れず、年金のみで利用料をまかなわなくてはいけないケースも多々みられるでしょう。

影響3.医療や介護の人材がさらに不足する

2025年に向けて懸念されるのが、労働人口の減少による医療や介護の人材不足です。高齢者が増加し医療が必要な患者が増えたとしても、難しい処置や検査ができる大病院の数は限られます。資金繰りの悪化や医師不足により、病院側が受け入れられない可能性も出てくるでしょう。

今後は病院や施設がすべてを請け負うのではなく、高齢者が住み慣れた土地で暮らし続けるための体制づくりが求められます。「自宅で最期を迎えたい」という高齢者のニーズに応えるためにも、在宅医療や在宅介護は重視すべき問題だといえるでしょう。

【参考】厚生労働省「今後の社会保障改革について」

2025年問題の鍵!地域予防ケアシステムとは

2025年問題の鍵となるのが、地域予防ケアシステムです。地域予防ケアシステムとは、高齢者が重度の要介護状態になっても、住み慣れた土地で暮らせるようにサポートすることを意味します。2025年の、高齢者介護の軸ともいえる考え方です。

各市町村は、2025年に向けて3年ごとの介護保険事業計画を策定し、地域の特性に応じた取り組みを推し進めています。

「住まい」を中心とした5種一体型のシステム
地域予防ケアシステムは、「住まい」を中心とした以下の5つの支援を、一体型で提供するものです。

  • 住まい
  • 医療
  • 介護
  • 予防
  • 生活支援

住まいや医療、介護の支援は、在宅生活を維持するために欠かせない項目でもあります。また、高齢者がやりがいを持って元気に過ごすためには、要介護状態への移行を予防する取り組みも必要です。

生活支援では、食事の配達や買い物など、高齢者の身の回りのサポートを行います。地域が連携しながら高齢者をサポートすることは、人材不足が懸念される医療や介護現場の負担軽減にもつながっていくでしょう。

介護費負担の見直しと公平化を図る

地域包括ケアシステムには、介護費負担の見直しと公平化を図る狙いもあります。2014年(平成26年)には、国民健康保険と後期高齢者医療の保険料軽減措置の対象を拡大。翌年には、介護保険の第1号被保険者の低所得者について、さらに保険料を軽減するなどの具体的方策を実行してきました。

さまざまな問題を抱える2025年は、高齢者の単独世帯の増加が見込まれています。介護度が高くなれば必要なサービスが増え、1世帯あたりのサービス利用額も大きくなっていくでしょう。

地域包括ケアシステムは2025年に向けたこのような背景も鑑み、公平な負担割合のもと、誰もが適切なサービスを受けられる社会を目指しています。

2025年高齢者介護を大予想!5種のトレンド

2025年の高齢者介護は、地域包括ケアシステムを基盤とした、5種のトレンドが予想されます。

  • トレンド1.「住まい」地域にねざす住まいの拡充
  • トレンド2.「医療」地域福祉との連携
  • トレンド3.「介護」ロボットやICTの活用
  • トレンド4.「予防」アクティブシニアの活躍
  • トレンド5.「生活支援」代行サービスの充実

ここからは、2025年に流行すると思われる高齢者介護5つのトレンドを、事例とあわせてご紹介します。

トレンド1.「住まい」地域にねざす住まいの拡充

2025年の高齢者介護のトレンド、ひとつめは「住まい」です。高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、地域にねざした住まいが拡充していくでしょう。

介護が必要になった高齢者の住まいは、特別養護老人ホームをはじめとする介護保険施設や、有料老人ホームなどが挙げられます。

近年は介護サービス事業所を併設する高齢者専用住宅も増加し、手厚いケア体制の構築がなされているのが特徴です。2025年に向け、高齢者がより自分らしく、安心した医療と介護体制のもとで暮らせるよう、ソフト面の充実が求められていると考えられます。

実際に、世田谷区では社会自然を有効活用した取り組みを実施。民営化した区立高齢者センターを利用し、地域にねざす都市型軽費老人ホームをオープンさせました。

小学校に隣接する鳥取県の特別養護老人ホームでは、登下校時のパトロールするほか地域住民との納涼祭を開催するなど、施設で暮らしながら地域交流がはかれる環境づくりを進めています。

トレンド2.「医療」地域福祉との連携

2025年、高齢者介護における医療は地域福祉との連携がより強く求められます。特に在宅医療や在宅介護には多職種の連携が欠かせません。

千葉県柏市では、すでに行政が中心となり、医師会をはじめとする多職種と連携した在宅医療を推進しています。医療と看護、介護の関係団体が議論するための場を計画的に設けているのが特徴です。

また、在宅医療従事者の負担軽減のための支援や、人材育成のための研修を実施するなど環境整備にも力を注いでいます。取り組みが地域住民への在宅医療の啓発につながるなど、2025年の高齢者介護のトレンドを形作っているといえるでしょう。

トレンド3.「介護」ロボットやICTの活用

厚生労働省は、2025年問題に向けて介護ロボットやICTの活用を推進しています。介護人材を確保するためには、働きやすい環境づくりが必要だからです。

情報通信技術を活用するICTは、業務の生産性や効率性の向上に役立ちます。タブレットやアプリケーションの活用により、いつでもどこでも介護記録が可能になれば、業務負担をおおいに軽減できるでしょう。

また、介護ロボットは介護者だけでなく、利用者側にもメリットをもたらすものです。移乗をアシストする介助ロボットを導入した特別養護老人ホームでは、利用者さんを待たせることなく、安全に移乗介助できるようになったという声が聞きかれます。

一般家庭においては、離れて暮らす家族の安否確認ができる家電やアプリケーションが普及するでしょう。ICT分野は、介護の現場でますます欠かせないものになると予想されます。

トレンド4.「予防」アクティブシニアの活躍

2025年は、若者が高齢者を支える時代から、元気なアクティブシニアが支え手に回る時代へ転換すると予想されます。例えば、介護現場へのアクティブシニアの導入は、高齢者の就労ニーズを満たし、介護予防へつなげる取り組みのひとつです。

ベッドメイキングや食事の配膳、清掃などをシニアが手掛けることで、職員の負担を軽減し、介護の質を向上させることが期待されています。

実際に介護助手としてアクティブシニアの導入を進めた三重県では、制度を利用した老健施設すべてにおいて離職率の低下がみられました。これは、アクティブシニアの活躍により、職員の身体的および心理的負担が軽減した結果だといえるでしょう。

トレンド5.「生活支援」代行サービスの充実

介護ニーズが多様化する2025年は、生活支援における代行サービスが充実すると予想されます。配食サービスや服薬確認、洗濯や掃除といった家事は、在宅生活を送るために欠かせないものです。

そのなかでも、配食サービスはますます需要が高まると考えられています。単身の高齢者は買い物や調理が困難なケースも多く、低栄養などの健康被害が懸念されるからです。

愛知県岡崎市では、安否確認が必要な地域高齢者を対象とした「見守り配食サービス」を実施。地元の配食事業者に委託することで、地域経済への貢献にもつなげています。

また、注目したいのが介護保険外となる民間の代行サービスの拡充です。介護保険で利用できるサービスは費用負担が軽減できるものの、利用できるサービス内容は限られています。民間代行サービスは種類が幅広く、高齢者のニーズに柔軟に対応できるのが特徴です。多様化する高齢者のニーズに応じ、2025年にはより一層手厚いサービスが広がっていくことでしょう。

【参考】
厚生労働省「地域包括ケアシステム構築へ向けた取組事例」
厚生労働省「介護ロボット活用事例集2019」
三重県医療保健部長寿介護課「三重県介護助手の導入支援について」

2025年は地域で高齢者をサポートする時代

2025年には、地域全体で高齢者をサポートする時代がやってきます。医療・介護・地域が連携し、高齢者の住まいのサポートほか、介護予防や生活支援にあたる時代です。高齢化は大都市ほど急激に進むといわれ、各自治体では2025年を見据えたさまざまな取り組みがなされています。高齢者がより自分らしく、よりいきいきと過ごせるよう、1人ひとりのニーズに沿った多様性のあるサービスが求められていくでしょう。

小夫 直孝

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年 11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長