この記事を書いている人
あなぶきヘルスケア
喜田 康生
はじめまして。不定期で取材記を書くことになりました、あなぶきヘルスケアの喜田と申します。
私はこれまで何年にもわたって数多くの介護施設を訪問してきましたが、介護現場は刻々と変化しています。
この取材記では「介護現場のイマ」と題して、ネット記事でよくありがちな“飛び交う情報をまとめただけの記事”ではなく、できる限り実際の現場に足を運んで取材し、ご本人様、ご家族様、介護職員、さらには経営層まで、様々な視点から介護現場の今をリアルにお届けいたします。どうぞ最後までお付き合いください。
平成17年にプランドゥ穴吹に入社。その後、地域の医療介護検索サイト「病院・介護ナビmilmil」を立ち上げ、サイト営業で多数の病院、クリニック、介護施設などを訪問。現在はあなぶきヘルスケアにて、広告コンサルティングを通じ、ブランディングなど幅広い視点から介護をサポート。
取材記<1日目>半日デイサービスという選択。
こんにちは。いきなりですが、みなさんはご家族の方など身近な人でデイサービス(通所介護サービス)を利用している人はいらっしゃいますか?
実は、あなぶきの介護ホームページには「デイサービス」で検索して訪れる人がとっても多いそうです。
それだけ世の中にデイサービスの需要があるんだなぁと感じます。
携わっているホームページに多くの方が訪問してくれているのはうれしい反面、ほんの少しだけ、ひっかかるものがありました。
なぜなら、あなぶきの介護が運営する施設「アルファリビング」では、ほとんどの施設が半日デイサービス(短時間型デイサービス)だったからです。
半日デイサービスは、午前または午後の時間を選んで利用するデイサービスです。
1日型のデイサービスとは違って、通常、昼食はついていません。
なので取材前、私はこう思っていました。
「半日デイサービスよりも1日デイサービスの方が、昼食もあって、ゆっくり過ごせて、ご本人様にとっても、ご家族様にとっても、良いのではないだろうか。」
ただ、現場から聞こえてくる話に耳を傾けていると、これが案外そうでもないらしい……。
それならば実際に足を運んで、じっくり話しを聞いてみたい。
取材記<1日目>では、半日デイサービスをとりあげることに決めました。
“1日デイサービスですと、ご本人様が疲れてしまうこともよくありますね”
そう話をしてくれたのは「アルファリビング高松伏石サンフラワー通り」で施設長をしている高澤さん。
どのようなお話をされていても、常にご入居者とご家族様への気遣いを感じる、それでいて頼りがいのある印象の女性施設長さんです。
「ご高齢の方や要介護度の高い方は特にそうですね。」
なるほどなぁ。確かにそうかもしれない。
これは私が訪問した別の施設の職員さんから聞いた話ですが、デイサービスを利用している方の中には、途中でレクリエーションを抜けて休憩される方もいらっしゃるそうです。
「半日デイサービスなら、もう半日は自由にお過ごしいただけます。
例えば午前に半日デイなら、午後はちょっと疲れたなぁと思ったら家でゆっくり寝るのもよし、お元気ならお出かけすることもできます。
午後から半日デイに来られる方は、その逆で午前中ゆっくりされて来たりしています。
やはり、メリハリのある1日が過ごせるのが、半日デイのメリットだと思います。
また、半日とはいえ、バイタルチェック、体操、レクリエーションがあって、うちでは入浴サービスもやっています。
特に入浴サービスは、要介護度の高い場合、ご自宅でお風呂をするのがなかなか大変ですので、
ご家族の方にとっても安心して利用でき、負担も減って助かる。と結構喜ばれているんです。」
半日デイサービスでは通常、入浴サービスがないところが多いみたいですが、
取材した施設では、入浴サービスがあるということで大変好評いただいているそうです。
もちろん、1日デイならではのメリット、半日デイのデメリットもあるんだと思いますが、
お話を聞いていると意外にも半日デイのメリットが多くあるなぁと印象でした。
施設長への取材を終えたのち、そのまま半日デイサービスの様子を実際に見学させていただくことにしました。
半日デイサービスの見学時に、サービス提供責任者の大場さん、ケアマネージャーの吉田さん、ご入居者様にもお話をお伺いすることができました。お忙しいところ、取材にご協力いただきまして、ありがとうございました。
今回、私が実際に半日デイサービスを見学・取材させていただいて気づいたこと・感じたことを以下にまとめてみました。
- 半日デイであっても、内容的には1日デイサービスに劣らず充実している。
⇒思っていた以上に、半日でもいろいろ出来るんだなぁと見学してみて気づきました。 - 送迎はデイスタッフによる安否確認にもなる。
⇒独居の方などは特にご家族様にとっての安心感につながります。 - バイタルチェック(血圧、体温、体重計測)をすることで、看護師が病歴や生活歴とともに把握でき、変化に気づきやすい。
⇒在宅介護だけでは、どうしても看護師ほどには変化に気づくのは難しいですよね。専門のスタッフが見てくれているのは安心ですね。 - 自宅で入浴が困難な人(片麻痺、車椅子介助、胃ろう、下肢筋力低下など)でも、介助スタッフにより洗身、洗髪、下着の交換などができる。
⇒バリアフリーで自宅をリフォームしていても、特別な設備がないと難しい場合もあるようです。 - 状態を確認して、医療処置が必要な場合は速やかに医療機関と連携ができる。
⇒これも専門スタッフが見てくれるからこその安心感がありますね。 - レクリエーションや会話などによるコミュニケーションによって、ボケ・認知症の予防になったり、リフレッシュができる。
⇒レクリエーションはみなさん笑顔になってますね。カラオケ大会とかゲームなど、複数人でやるものはよく盛り上がっていらっしゃるそうです。 - デイサービス利用時間のお薬は忘れずに、必ず内服できる。
⇒半日デイサービスの場合はそこまで恩恵はないかもしれないですが、ご家族様以外でケアしてくれる人がいるのは負担軽減になりますね。 - 新しい友人ができる。
⇒ご入居の方々と話をしていると、お友だちが出来た話や誰と仲がいい、みたいな話がよく出ます。 - 1日デイに比べると、費用が押さえられる分、同じ費用で多くの日数のデイサービスが受けられる。
⇒1日デイの半額とまではいかないにしても、費用負担がネックとなっている人にとっては半日デイは魅力的だと言えます。
いかがでしたでしょうか。半日デイとはいえ、享受できるメリットは非常にたくさんあるようです。
厚生労働省の高齢社会に関する意識調査(平成28年)では、「自宅で介護を受けたい人」の割合は73.5%もあるようです。
一方で、少子高齢化などにより、労働者1人あたりの介護負担は増すばかりの状況が続いています。
介護の現場では「レスパイト・ケア」という言葉が使われるそうです。
レスパイト(respite)とは小休止のことだそうで、主に介護においてはご家族様の負担軽減で使われます。
介護をする人、介護を受ける人、そのどちらもが幸せな暮らしを続けるために、
「半日デイサービスという選択」は確実に需要が増してきているのかもしれません。
<おわりに>
今回の取材にご協力いただいたサービス責任者の大場さんをご紹介。
これまでに子育てをしながら、デイサービスのみならず、特養(特別養護老人ホーム)や障害者支援施設での相談支援など、さまざまな介護サービスを経験されてきただけあって、迷いなく介護現場でテキパキと仕事をこなす姿は見ていて気持ちの良いものでした。
ご入居の方の「笑顔になれる時間をつくる」をモットーに日々、業務に奮闘されているそうです。
「無理なく、楽しく、みなさんの笑顔になれるお時間を一緒に過ごしたい。」と笑顔でおっしゃっていたのが印象的でした。
大場さん他、デイサービススタッフ皆さんの明るさもあって、終始和やかな雰囲気での取材現場となりました。
今後も、よりよいサービス提供を頑張ってください。陰ながら応援しています。