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エピソード01“医療依存度が高い”から断られた父を救った場所
父が心臓カテーテル手術を受けることになったのは突然のことでした。手術は1泊入院の予定で、「すぐに戻れるから」と父は笑っていたのを覚えています。しかし、その後の出来事は、私たち家族にとって想像を超えるものでした。
術後、父の血圧が急激に低下し、心肺停止に。低酸素脳症のため、今まで自分で運転してどこへでも行けていた父は、吸引が必要な状態となり、寝たきりの生活を余儀なくされてしまいました。手術前の元気な父の姿が、まるで嘘のようでした。
さらに追い打ちをかけるように、新型コロナウイルスの影響で病院の面会が禁止され、母は父に直接会うことができなくなりました。それでも母は毎日のように病院に足を運び、病室の外から父の様子を気にしていました。「せめて顔を見せてあげたい」「何かしてあげたい」と母は何度もつぶやいていました。
退院先を探すため、私たち家族はさまざまな施設に問い合わせましたが、どこも「医療依存度が高い方の受け入れは難しい」と断られ続けました。病院のソーシャルワーカーからは「療養型の病院を検討したほうが良い」と言われましたが、私たち家族は、できるだけ父と母が一緒に過ごせる環境を探し続けました。「母が後悔しないように、少しでも夫婦の時間を持たせてあげたい」——その思いだけで動いていました。
そんな時に出会ったのが、アルファリビングでした。スタッフの方々は、最初の問い合わせの時から「どうすれば入居が実現できるか」を一緒に考えてくれました。これまでの施設では「できない」と言われることが多かったのに、ここでは「どうすればできるか」と前向きに話を進めてくれたのです。その姿勢に、私たちは「ここならお願いできるかもしれない」と感じました。
施設のスタッフの皆さんは、父を受け入れるために、事前の研修を行い、あらゆる準備をしてくださいました。ベッド上でのシーツ交換の方法、吸引器の使い方、経管栄養の手順など、サービス提供責任者を中心に研修を実施してくれたと聞きました。特に印象的だったのは、「医療的なケアは看護師任せにするのではなく、介護スタッフも協力してできる範囲の支援をする」という考え方です。介護スタッフ、看護スタッフが一丸となり、父の生活を支えてくれるという安心感がありました。
病院との連携も密に行ってくださり、担当の先生が「少しでも早くご家族と一緒に過ごせるように」と調整を進めてくださいました。「このままでは話せなくなるかもしれないから、話せるうちに奥さんと会話をしてほしい」との先生の一言もあり、施設への入居が一日でも早く進むよう、病院、薬局、居宅介護支援事業所、看護師、介護士が一致団結して進めてくれました。
2023年春、父はついにアルファリビングに入居しました。
私たちが一番うれしかったのは、**「面会ができる」**ということです。
母は「これが私の仕事だから」と言いながら、毎日施設に足を運び、父のそばにいます。以前のような会話はできませんが、それでも母は父の表情やわずかな反応を大切に見守っています。時々、父が言葉を発することがあります。その瞬間は、家族もスタッフの方々も一緒になって喜び、「今日は声が聞けたね!」と笑顔が広がります。
これまでの入院生活では、母が父に会えるのは“面会が許された時”だけでした。でも、今は母が「自分の意思で会いに行ける」場所がある。それがどれほど心強いことか、今では痛感しています。母が**「ここが私たちの家だね」**と口にしたとき、私は自然と涙が出ました。母が毎日笑顔で父のそばにいられる。それが、今の私たち家族の大きな支えになっています。
「どうすればできるか」を考えてくださったスタッフの方々に感謝の気持ちでいっぱいです。
もし他の施設と同じように「難しい」と言われていたら、今のような日常はなかったかもしれません。父も、施設では穏やかに過ごせており、体調が良い日は声を出して話をすることもあります。その日は家族もスタッフの皆さんも一緒に「今日はいい日だね」と言い合っています。
父の生きる力を、スタッフの皆さんと一緒に支えていけることが、私たち家族の喜びです。
これからも、父の穏やかな時間を、家族で見守っていきたいと思います。
ご不明な点は、お気軽にお問い合わせください。