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エピソード06痛みと不安を乗り越えて—支えられた日々の中で見つけた喜び
私は心原性脳梗塞の治療後、病院では寝たきりの生活を余儀なくされ、身体を少し動かすだけで激しい痛みが走りました。食事もミキサー食で、むせることが多く、思うように口にすることもできませんでした。「もう以前のようには戻れないのか」と、不安な気持ちでいっぱいでした。
施設に来ても、最初は痛みやしんどさで「動くのも嫌だ」と訴えるばかり。夜は眠れず、食事も進まず、体力もどんどん落ちていきました。それでもスタッフの皆さんが細かく状態を観察し、食事の時間やとろみの量を調整するなど、少しでも快適に過ごせるよう工夫してくださいました。
そんな中、「昔、犬を飼っていた」と話したことを覚えていたスタッフの方が、ドッグセラピーを提案してくれました。実際に犬と触れ合った瞬間、自然と笑顔がこぼれ、心が軽くなりました。「まだこんな気持ちになれるんだ」と、希望が湧いてきたのを覚えています。
ところが2021年頃から、今度は全身のかゆみに悩まされました。血が出るほど掻きむしってしまい、座っているのも、入浴するのも辛くなりました。そこで、主治医を専門の往診医に変え、より適切な治療を受けられるようにしてもらいました。衣服の素材を見直し、空調管理を調整しながら、少しでも症状を和らげるよう配慮してもらいました。
こうした対応のおかげで、少しずつ落ち着きを取り戻し、ある日、スタッフの方が「外出してみませんか?」と誘ってくれました。ずっと病院以外に出かけることがなかった私が、アウトレットへ行き、大好きなアイスを食べたのです。「生きているって、こういうことなんだ」と久しぶりに実感しました。甥も「まさかここまで元気になるとは」と驚いていました。
もちろん、今でも痛みやかゆみが完全になくなったわけではありません。でも、施設の皆さんが支えてくれたおかげで、私は「もう一度生きる楽しみを見つけたい」と思えるようになりました。これからも、一日一日を大切にしていきたいと思います。
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