お役立ちコラム

親の体調が気になり始めると、介護の必要性やそのタイミングについて考えることは避けられません。この記事では、親の介護が始まる年齢や、介護が必要になるきっかけ、介護の準備について詳しく紹介します。

ぜひ親のためにも自分のためにも、介護についての理解を深めていきましょう。

親の介護は何歳から始まる?

親の介護に向けてしっかりとした準備をするためには、介護が必要になるきっかけや年齢についての情報を把握しておくとよいでしょう。

年齢とともに増える高齢者特有の疾患が、介護に関連してくるため、自分の親の状態を振り返りながら当てはまることがないか、チェックしてみてください。

親の介護が必要になる主なきっかけ

公的介護保険制度では、介護が必要な状態を「要支援」「要介護」としています。厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況」によると、「現在の要介護度別にみた介護が必要となった主な原因(上位3位)」は次のようになっています。

「要支援」状態になるきっかけ 「要介護」状態になるきっかけ
1位 関節疾患 認知症
2位 高齢による衰弱 脳血管疾患(脳卒中)
3位 骨折・転倒 骨折・転倒

要支援状態へ移行する原因としては、関節疾患や高齢による衰弱、骨折・転倒などが上位でした。特に関節疾患は、膝や腰、股関節などに痛みが生じることが多く、高齢者の多くが変形性関節症を抱えています。

一方、要介護状態に至る主な原因は、認知症や脳血管疾患、骨折・転倒でした。認知症や脳血管疾患は、働き盛りといわれる40代・50代で発症する可能性もゼロではありません。

そのため、親の健康状態を定期的に確認し、早期からの予防や対応策を考えておくようにしましょう。

参考:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況」

介護が必要になる親の年齢

厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況」によれば、要介護者等の年齢階級別構成割合は以下のようになっています。

  • 40~64歳:2.6%
  • 65~69歳:3.4%
  • 70~74歳:7.1%
  • 75~79歳:12.9%
  • 80~84歳:20.9%
  • 85~89歳:27.1%
  • 90歳以上:26.2%

特に75歳以上になると、要介護の認定を受ける人の割合が大きく上昇していることが示されています。

一方で、内閣府「令和5年版 高齢社会白書(全体版)」によると65~74歳と75歳以上の被保険者について、要支援・要介護の認定を受けた人の割合は、次の通りでした。

<65~74歳>

  • 要支援:241,000人(1.4%)
  • 要介護:517,000人(3.0%)

<75歳以上>

  • 要支援:1,638,000人(8.9%)
  • 要介護:4,293,000人(23.4%)

こちらの調査でも、75歳以上になると要介護の認定を受ける人の割合が大きく上昇していました。

これらのデータから、75歳以上になると介護が必要になる可能性が高いことが予想されます。この年齢を目安に、親の介護について準備を始めることが重要です。

参考:厚生労働省「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅳ 介護の状況」
参考:内閣府「令和5年版 高齢社会白書(全体版)」

介護が必要になる期間の目安

生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」によれば、介護を行った期間の平均は55.0か月(4年7か月)でした。

親の高齢化と平均寿命の延伸に伴い、介護が必要な期間も伸びているのが現状です。そのため、「いつか終わる」と楽観的に考えるのではなく、長期的な視点での備えが重要になってきます。

「うちの親はまだ大丈夫」と思い込まず、介護はいつ訪れるかわからない現実的な問題として捉えて、普段から意識して生活するようにしましょう。

参考:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」

介護が必要かどうかを判断するチェックポイント

親の介護が必要かどうかを判断するためには、いくつかの重要なチェックポイントを確認することが大切です。具体的なチェックポイントは、次の4点です。

  • 身体・移動能力が低下していないか
  • 生活全般を1人で行えるか
  • 認知症の兆候がないか
  • 生活に対する意欲が低下していないか

これらのポイントを定期的にチェックして、早期に介護の必要性を見極められるようになりましょう。

身体・移動能力が低下していないか

親の介護が必要かどうかを判断する際、身体や移動能力の変化に注目することが重要です。

具体的には、歩き方が以前と比べて変わっていないかを確認しましょう。ふらつきが見られたり、歩幅が狭くなったりしていませんか。また、歩く速度が遅くなったり、つまずきやすくなったりしている場合も注意が必要です。

さらに、椅子から立ち上がるのに時間がかかるようになったり、手すりなどの補助が必要になったりした場合は、身体能力の低下が進んでいる可能性があります。

生活全般を1人で行えるか

生活全般を1人で行えるかどうかを確認することは、親の介護が必要かどうかを判断する重要なポイントです。

例えば、冷蔵庫に賞味期限切れの食品が多くなっていないか、同じものを何度も買ってしまうことがないか、家の中が散らかっていないかをチェックしてみてください。また、郵便物が溜まっている、トイレをよく失敗するようになった、ゴミの日を間違えることが増えたといった兆候も見逃せません。

これらの変化が見られる場合は、生活全般を1人で行うことが難しくなってきている可能性があります。

認知症の兆候がないか

認知症は早期発見が重要な病気です。いくつかの兆候に注意を払うことで早期発見につなげられます。

例えば、同じ話を何度も繰り返す、直前の出来事を忘れてしまう、日常的な物の名前が思い出せないといったことが挙げられます。また、道に迷ったり、性格が変わったように感じたりする(怒りっぽくなったり、疑い深くなったりする)場合も、認知症が疑われるでしょう。

これらの変化に気づいたときは、早めに医療機関で相談することが重要です。

生活に対する意欲が低下していないか

生活に対する意欲の低下は、親の健康状態を見極めるうえで重要なチェックポイントです。意欲の低下は、認知症の進行を早めるだけでなく、筋力の低下や転倒のリスクを高め、要介護状態を招く原因となります。

具体的には、薬を自己判断で飲むのをやめたり、入浴や着替えを面倒に感じたり、身だしなみに無頓着になったりする行動が見られる場合です。また、趣味や好きだったことへの関心が薄れる、友人付き合いが減る、家に閉じこもりがちになるなども意欲低下のサインです。

介護に向けた準備の進め方

親の介護が必要になるかもしれないと感じたとき、どのように準備を進めればよいのでしょうか。ここでは、介護に向けた準備の進め方を紹介します。主な流れは、次の通りです。

  1. 親の現状を知る
  2. 今後について家族で話し合う
  3. 地域包括支援センターに相談する

それぞれ詳しく見ていきましょう。

1.親の現状を把握する

親の介護に備える第一歩は、親の現状を把握することです。無理に「介護の話」を切り出すのではなく、日常のコミュニケーションの中でさりげなく親の健康状態や生活ぶり、将来の希望を聞いてみるとよいでしょう。前項で紹介したチェックポイントを参考に、身体の動きや生活全般の様子、認知症の兆候がないかを観察してみてください。

また、「もしものとき、どうしたい?」といった質問を、親が元気なうちに投げかけて、親の意思を確認しておくことも重要です。これにより、親の希望に沿った支援ができるようになります。

2.家族で今後について話し合う

兄弟姉妹がいる場合は、親の現状と今後について情報共有し、家族全員で話し合う場を設けることが大切です。親の介護が必要になったときに備え、役割分担や費用負担について事前に話し合っておくことで、将来的なトラブルを防げます。

3.地域包括支援センターに相談する

親が住んでいる地域の地域包括支援センターに相談することは、介護の準備において非常に有効です。まずはセンターに連絡を取り、現在の親の状況を説明しましょう。地域包括支援センターでは、介護予防教室の情報や親の健康に関する相談を受けられます。

また、介護のプロからアドバイスを受けることで、いざというときにスムーズに支援を受けられる体制を築くことも可能です。

介護に向けて具体的に準備しておきたいこと

介護を必要とする状況に備えるため、事前に具体的な準備を進めておくことが重要です。親がどのような介護を望んでいるかの確認や、相談できる機関の把握、家族での役割分担などが挙げられます。介護に向けて具体的に準備しておきたいことについて解説します。

親の意思を確認する

親の介護に向けた準備として、まずは親の意思を確認することから始めましょう。本人の話をじっくりと聞けるうちに、介護についての意向を尋ねておくことが重要です。

直接聞くのが難しい場合は、雑談の中で少しずつ話題を切り出したり、周囲の介護経験者の話を共有したりして、自然に確認する方法もあります。具体的には、次のようなことを確認しましょう。

  • 将来どこで暮らしたいか(在宅介護を希望するのか、施設入居を考えているのか)
  • どんな介護サービスを受けたいのか(訪問介護やデイサービス、入浴介助などの希望や抵抗があること)
  • 延命治療についての希望:尊厳死や延命治療に関する親の考え

これにより、介護が必要になった際に、親の意向に沿ったサポートが可能になります。

親の経済状況を把握する

親の介護が必要になる前に、「もしものとき、お金で困らないように」という姿勢で親の経済状況を把握しておきましょう。まず、親が加入している保険の有無やその内容を確認します。特に介護保険の給付内容は、後々の経済的負担を軽減するために重要です。

また、親の貯金口座の場所や残高についても把握しておくと安心です。さらに、民間の介護保険に加入している場合、その保障内容や請求手続きについても詳しく理解しておくとよいでしょう。

親と一緒に確認する時間を作ることが理想的です。これにより、介護が必要になった際にスムーズに対応できる体制を整えられます。

親の医療情報をまとめる

親の医療情報をノートやスマートフォンにまとめておくと、介護が必要になったときの安心材料となります。具体的には、次のものを整理しておきましょう。

  • かかりつけ医の連絡先
  • 定期的に受けている診療内容
  • 服用している薬のリスト
  • アレルギー情報
  • 加入している保険の詳細 など

相談できる機関を把握する

親の介護が必要になる前に、相談できる相談窓口を把握しておきましょう。押さえておきたいのが、各市区町村に設置されている地域包括支援センターです。

地域包括支援センターは、介護に関する公的な総合相談窓口です。地域包括支援センターでは、介護の全般的な相談や要介護認定の申請代行を無料で行っており、介護予防から介護サービスの利用、高齢者の権利擁護まで幅広く対応しています。

親が元気な段階でも相談が可能なため、早めに地域包括支援センターの場所や連絡先を把握しておくと安心です。

家族で介護の役割分担について話し合う

介護は1人で抱え込むと心身ともに大きな負担になるため、家族での役割分担についても話し合いを行いましょう。特に兄弟姉妹がいる場合は、介護の分担や金銭的な支援について話し合っておくことが大切です。

例えば、実家からの距離に応じて、近くに住む人が日常的な見守りや通院の付き添いを担当し、遠方に住む人が情報収集や費用負担を担うといった役割分担が考えられます。

一人っ子の場合でも、親戚関係について把握し、いざというときに助けを求められるような体制づくりをしておくようにしましょう。

介護にかかる費用を理解する

介護には多くの費用がかかることをあらかじめ理解しておきましょう。生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査」によれば、介護に要した一時的な出費は平均47万円、月々の費用として平均9万円が必要という結果でした。

月々の介護費用について介護を行う場所別に見てみると、在宅介護では月5.2万円、施設介護では月13.8万円となっています。これらの費用は基本的に親の資産で賄うことが想定されますが、不足する場合には家族間で誰がいくらくらい負担するのかを事前に話し合っておくとトラブル回避につながります。

参考:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」

老人ホーム・介護施設についての情報を集める

日本では公的介護保険制度が整備されており、介護サービスを利用することで負担を軽減できます。費用負担を減らすためにも、介護サービスについての情報を集めておきましょう。

介護サービスは大きく分けて在宅サービスと施設サービスに分類されます。在宅サービスには、自宅で生活を続けながら利用できる訪問介護、デイサービス、ショートステイ、福祉用具のレンタルや購入などがあります。

施設サービスには特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホームなどがあり、これらは入居して生活する形態のサービスです。

これらの施設への入居条件や年齢制限は施設ごとに異なるため、事前に情報を集めておくことが重要です。

勤務先の介護支援制度を確認する

親の介護が必要になると、仕事と介護の両立が課題となります。まずは、勤務先の介護支援制度について確認しておきましょう。

要介護状態にある家族を介護する労働者のための制度として、介護休暇や介護休業といった制度が整備されています。制度の詳細や申請方法について、事前に人事担当者に相談し、必要な書類や手続きを確認しておくと安心です。

親の介護予防のために子どもができるサポート

親の介護予防は、子どもが積極的にサポートすることでより効果的に進められます。子どもができるサポートは、次の3つです。

  • 健康的な生活習慣を一緒に整える
  • 無理のない運動を勧める・一緒に取り組む
  • 生きがいや楽しみを見つけるきっかけをつくる

親の健康のためにも、できることから一緒に取り組んでいきましょう。

健康的な生活習慣を一緒に整える

親の健康を維持するためには、生活習慣の見直しが重要なポイントです。まず、十分な睡眠を取るように促しましょう。睡眠は心身の疲労回復だけでなく、老化防止にも効果があります。

また、栄養バランスの良い食事を心がけることも大切です。一緒に食事を作ったり、買い物に行ったりすることで、親が筋力や体力を維持し、感染症や骨折のリスクを軽減する手助けができます。

無理のない運動を勧める・一緒に取り組む

介護予防のためには、日常生活に無理のない運動を取り入れることが大切です。運動不足は骨や筋肉の機能低下を招き、骨折や転倒のリスクを高めます。

例えば、近所のスーパーへの買い物を兼ねたウォーキングや、家事の合間に行うストレッチなど、日常の中に自然に運動を組み込むのがおすすめです。一緒に取り組むことで、親が運動を習慣づける手助けにもなります。

生きがいや楽しみを見つけるきっかけをつくる

生きがいを持たせたり、地域活動に参加して社会の一員であることを意識させたりすることも介護予防に効果的です。趣味やスポーツを楽しんだり、他者との交流を持ったりすることで、脳を若々しく保つ効果が期待できます。

また、地域のサークルやボランティア活動に参加するのもおすすめです。こうした活動を通じて社会の一員として日々を過ごすことで、うつや認知症のリスクを下げる働きが期待できます。

しっかりと準備をして親の介護に備えよう

親の介護が必要になる時期は予測が難しいですが、事前にしっかりと準備をしておくことで慌てずに対応できます。まずは親の健康状態や生活環境を把握し、家族全員で今後の介護についての話し合いを進めましょう。

介護に関する情報を収集し、地域包括支援センターなどの専門機関を活用することも大切です。早めに準備を始めることで、親も自身の意向を反映しやすくなり、家族全員が安心して介護に臨めるようになります。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長