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お役立ちコラム
2025年7月1日
介護施設や老人ホームに入居するまでの流れは?期間や注意点を解説
高齢の親が1人で生活していると、健康や安全面での不安が募りがちです。特に、介護に携わる家族が体調を崩したり、仕事などで多忙になったりすると、介護施設や老人ホームへの入居が選択肢として浮上します。
この記事では、介護施設や老人ホームに入居するまでの流れや、見学から入居までに要する期間、注意すべきポイントを詳しく解説します。大切な家族を安心して預けられるよう、事前にしっかりと準備を整えましょう。
目次
介護施設や老人ホームへ入居するまでの流れ
介護施設や老人ホームへの入居は、多くのステップを経て行われます。この過程を理解することで、スムーズな入居をサポートできます。
主な流れは以下の通りです。
- 1.施設探し
- 2.施設見学
- 3.体験入居
- 4.仮申し込み
- 5.面談・入居審査
- 6.入居契約
各ステップをしっかりと把握し、安心して入居を進めていきましょう。
1.施設探し
施設探しにおける流れは、次の通りです。
- 希望条件を整理する
- 条件に合った施設を探す
- 施設に資料請求をする
介護施設や老人ホームを探す際、まず希望条件を整理することが重要です。希望条件としては、次のようなものが挙げられます。
- 本人や家族の状況および希望
- 費用・予算
- 施設の立地
- 設備の充実度
- アクセス
- イベント
- 行事やレクリエーションの回数や内容
- 部屋のタイプ・広さ
- 医療面でのサポート
- 食事内容
- 医療ケア・リハビリ
- 認知症ケア
- 中〜重度介護者への対応
- 入居希望時期 など
費用面では、支払い可能な予算を設定し、入居一時金や月額利用料がその範囲内に収まるようにします。また、施設へのアクセスも大切です。通いやすい立地にあると、面会に訪れる家族の負担が軽減されます。施設によってレクリエーションの頻度や入浴の回数なども異なるため、これらの情報も確認しましょう。
施設の情報を集める方法としては、主に次の3つが挙げられます。
- インターネットや雑誌で調べる
- 地域包括支援センターやケアマネジャーに相談する
- 老人ホーム紹介センターを利用する
気になる施設があれば、資料請求をして詳細を確認するのがよいでしょう。
2.施設見学
入居先候補の施設を複数ピックアップしたあとは、見学を申し込みます。施設見学の流れは、まず予約を行うことから始まります。予約は電話やオンラインで可能です。見学の申し込みをする際には、「何時に見学ができるか」「食事の試食はできるか」なども確認しておくとよいでしょう。
見学時には、メモを取るための筆記用具、施設の様子を撮影するためのカメラ(スマホで代用可)、家具のサイズを測るためのメジャーがあると便利です。カメラで写真を撮ることで、あとから施設の様子をじっくり見返せます。ただし、撮影の際には必ず施設担当者の許可を得たうえで、入居者の顔や個人情報が映らないよう注意が必要です。
見学時には、介護・看護サービスの内容や居室・共有スペースの広さ、衛生面をチェックします。また、他の入居者やスタッフの雰囲気、提供される食事の内容についても確認しておきましょう。見学を通じて、これらのポイントをしっかりと確認することで、入居後の生活をより具体的にイメージできます。
3.体験入居
介護施設や老人ホームへの入居を考える際、体験入居という選択肢を検討するのもよい方法です。体験入居とは、契約前に3日から1週間ほど施設にお試しで滞在することを指します。体験入居をすることで、施設の生活サイクルを実感できます。費用は一泊当たり5,000円〜10,000円程度が一般的です。
体験入居では、施設のスタッフの対応やサービスの質、食事の内容など、日常生活に関わる重要なポイントを確認しましょう。特に、スタッフが入居者と良好な関係を築けているか、夜間も適切に対応できる体制が整っているかどうかは、安心して暮らすうえで重要です。また、施設の食事が本人の嗜好に合うか、プライバシーが確保されているかなども確認しましょう。
体験入居に必要な持ち物としては、次のようなものが挙げられます。
- 靴(内履きと外履き1足ずつ)
- 着替え(普段着、パジャマ、肌着、靴下など)
- 歯ブラシ、入れ歯ケース、入れ歯洗浄剤
- 消耗品(ティッシュなど)
- 薬
- その他(髭剃り、化粧水、洗顔フォーム、くし) など
ただし、体験入居を行う施設を増やしすぎると、情報が多すぎて決断が難しくなる可能性がある点には注意が必要です。見学は複数の施設で行うとしても、体験入居は本入居を前提とした施設に絞ることをおすすめします。
4.仮申し込み
仮申し込みを行うことで入居の「仮押さえ」が可能となります。ただし、仮申し込みをしても、すぐに入居できるわけではない点には注意が必要です。
仮申し込み後は、入居に必要な書類を準備し、施設側と面談日時を調整します。この仮押さえの期間は約1か月程度が一般的です。
5.面談・入居審査
入居審査の際は、入居に必要な書類を準備し、施設へ提出します。一般的には下記の書類が必要です。
- 入居申込書
- 住民票
- 介護保険証や健康保険証のコピー
- かかりつけ医による診療情報提供書や健康診断書
診療情報提供書は、日常生活上の注意点などを施設スタッフに伝えるための書類で、健康診断書は病院での健康診断後に発行されます。
契約前には、施設の概要や利用料金、サービスの詳細が記された「重要事項説明書」についての説明があります。この書類には、入居一時金や介護費用の詳細も明記されているため、しっかりと目を通してください。
面談では、本人と身元引受人、施設の担当者が参加し、健康状態や施設に対する要望が確認されます。見学と面談を経て、最終的に入居審査で入居の可否が決定されるのが一般的な流れです。審査は、支払い能力や要介護度、共同生活の適性などを基準に行われ、受け入れが難しい場合は入居を断られることもあります。
6.入居契約
入居審査に通過したら、次は入居契約です。施設側から契約内容の詳細な説明を受けたうえで、契約書類に署名・捺印します。契約内容に疑問点がある場合は、その場でしっかりと確認し、解決しておくことが重要です。疑問点を残したまま契約を進めると、後々トラブルの原因になりかねません。
施設側と契約を締結したあとは、実際に入居する日を決定します。引っ越し準備なども考慮し、余裕を持ったスケジュールで進めることが大切です。
見学から入居までに要する期間
見学から入居までに要する期間は、通常は1〜2か月ほどです。しかし、これは希望する施設に空室がある場合に限られます。
もし満室の場合、待機期間が発生し、その間は在宅介護を受けたり、別の施設に一時的に入居したりすることも考えられるでしょう。特に、介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)は待機期間が長くなる傾向があります。
介護施設や老人ホームに入居する際の注意点
介護施設や老人ホームに入居する際には、事前に確認しておきたい注意点がいくつかあります。注意点をあらかじめ把握して、適切な施設を選べるようになりましょう。
複数の施設を比較する
介護施設や老人ホームを選ぶ際は、複数の施設を比較することが重要です。最初から1つに絞ってしまうと、見学や体験入居で問題点が見つかったときに、再び一から施設を探し直さなければならず、時間や手間がかかってしまいます。
比較する施設の数は、3か所程度が望ましいでしょう。あまり多くの施設を候補に挙げてしまうと、情報量が多すぎて逆に迷ってしまうこともあるため、注意が必要です。
見学・体験入居をする
介護施設や老人ホームを検討する際は、見学や体験入居をするようにしましょう。施設のスタッフや他の入居者と話をすることで、日常の様子や施設の特徴をより具体的に理解できます。
介護施設や老人ホームへ入居する前に確認しておきたいこと
介護施設や老人ホームへの入居を考える際には、事前に確認しておくべき重要なポイントがいくつかあります。入居一時金の返金ルールやクーリングオフ制度、退去条件などについての理解を深めておくことで、万一の際に慌てずに対応できます。
入居一時金の返金ルール
入居一時金は、老人ホームや介護施設に入居する際に支払う大きな費用の一部ですが、何らかの事情で早期退去することになった場合、支払い額の一部が返金されることがあります。
しかし、入居一時金の返金に関しては、国の定める基準がないため、施設ごとにルールが異なります。契約前に詳細な説明を受け、書面でも確認しておくことが重要です。確認を怠ると、退去時に返金されないなどのトラブルが発生するかもしれません。
特に注意が必要なのが、入居一時金の初期償却です。初期償却とは、入居一時金の中から施設に支払うお金のことで、多くの施設では入居一時金の30%程度を初期償却にあてています。この初期償却の割合が低いほど、途中で退去した場合に返還される金額が多くなります。
入居一時金から初期償却を差し引いた金額は、施設が定めた期間で償却されるため、契約時にその期間も確認しておくことが重要です。
短期解約特例(クーリングオフ)
介護施設や老人ホームへ入居後、契約日から90日以内に退去する場合には「短期解約特例(クーリングオフ)」が適用されます。主に利用者が死亡した場合などに適用される事項です。
なお、退去日までの家賃や食費などの費用は、月額利用料から日割りで差し引かれることになります。契約書類に「短期解約特例」についての記載があるか確認しましょう。
退去条件
老人ホームに一度入居したあと、退去しなければならない状況になる場合も考えられます。退去条件として一般的に挙げられるのは、身体状況の悪化や長期入院、他の入居者に対する迷惑行為、月額費用の滞納などです。
これらの条件に該当した場合、施設から退去を求められることがあります。ただし、多くの施設では3か月程度の猶予期間が設けられており、その間に新しい施設を探すことが可能です。
上乗せ介護費や横出しサービス費
介護施設や老人ホームで提供されるサービスには、上乗せ介護費や横出しサービス費が発生する場合があります。上乗せ介護費は、介護保険で定められた基準を超える手厚い介護を受ける際にかかる費用です。たとえば、個別のリハビリや専門スタッフによる特別なケアがこれに該当します。
また、横出しサービス費は、介護保険の適用外となるサービスのことです。たとえば、病院への付き添いや買い物代行などを利用する際に必要な費用を指します。
原状回復費用
原状回復費用とは、介護施設や老人ホームの居室を退去する際に、通常の使用による劣化(自然損耗)を除いた、故意や過失による損傷を修復するために必要な費用です。車椅子で壁を傷つけてしまった場合の修復費用が該当します。
具体的な負担内容については、契約書類に詳細が記載されているため、契約前に必ず確認しておきましょう。
入居キャンセル時の申込金の扱い
入居の際、入居一時金とは別に申込金などの費用の支払いが必要な施設もあります。介護施設や老人ホームへの入居をキャンセルした場合の申込金の扱いは施設によってさまざまです。
全額が償却されるケースもあれば、一部のみ償却されるケース、そして全額返金されるケースもあります。入居契約を結ぶ前に、これらの条件をしっかりと確認しておくことで、後々のトラブルを避けられます。
流れを把握してスムーズに介護施設へ入居しよう
介護施設や老人ホームへの入居を検討する際、スムーズに手続きを進めるためには全体の流れを把握しておくことが重要です。施設を検討する際には、複数の施設を比較したり、見学・体験入居をしたりすることをおすすめします。
また、施設ごとに入居一時金の返金ルールや退去条件、申込金の扱いなどが異なるため、あらかじめ理解しておくことが重要です。この記事を参考にして、介護施設や老人ホームへの入居準備をスムーズに進められるようになりましょう。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長