お役立ちコラム

高齢者介護に対する意識やサービスが向上した恩恵で、近年は体が不自由な高齢者でも自宅で穏やかな老後を過ごすことが可能になりました。訪問介護を利用したり、家族のサポートに頼ったりすることで、住居型老人ホームに入居せずとも、住み慣れた自宅で日々を過ごすことができるのです。

しかし、高齢期を迎えた方が、自宅で安全かつ、快適な生活を過ごすためには、自宅を住宅改修する必要があります。また高齢者が訪問介護を利用する場合は、サポートしてくれるヘルパーが動きやすい環境を住宅改修で整えることも大切になります。今回は、住宅改修の必要性、また住宅改修をする際に利用できる介護保険住宅改修をご紹介します。

 

■住宅改修で防ぐ高齢者の事故

65歳以上になると、足腰の力が弱ることもあり、転倒による事故発生率が高くなります。そして、そのような転倒事故は屋外ではなく、居室や浴室、階段などの「自宅」で多く発生するというデータがあります。自宅で事故にあった方の多くは、事故の原因を「自分の不注意」にあると思ってしまいがちです。自宅で、しかも外的要因の少ない環境で事故に遭うのだから、そう思うのも自然といえます。

しかし、高齢者の事故は決して不注意だけが招くものではありません。高齢者であればあるほど、「身体能力の衰え」が事故を招いている可能性が高いのです。内閣府が公表している「高齢者白書」では、高齢者の自宅での事故の原因の約3割が階段での転倒、そしてごく普通の歩行時における転倒が2割強と記されています。このことから、高齢者にとって、今まで住んでいた家での「単なる移動」が事故の原因になることがわかります。

高齢者が今までの習慣のまま、自宅で安全な生活をするためには、居住地の住宅改修に取り組んで事故を防ぐことが必要になります。

 

■介護保険住宅改修の基礎知識

「介護保険住宅改修」を利用すれば住宅改修費用の援助を受けることができます。介護保険住宅改修とは、高齢者や障害者のいる世帯の住宅を改造するために必要な費用を助成し、本人の自立や介護者の負担軽減を促す制度です。この保険を利用すれば、 住宅改修費を20万円まで支給してもらうことができます。ただし、実際にかかった費用の1割(規定以上所得者は2割)は、自己負担する必要があります。そして、原則は高齢者1人につき1回しか利用できません。

助成の対象は、既にある浴室、トイレ、玄関等などの高齢者や障害者が使用する部分に限ります。新築・増築等については対象外となるため、「家が古くなったから」というような理由で介護保険を住宅改修に利用することはできません。

 

■介護保険住宅改修の流れ

介護保険住宅改修を検討する際は、まず担当のケアマネジャーに「生活で困っていること」や「改修したい点」を相談して、改修を担当する事業者を探してもらいましょう。事業者が決まったら、彼らに家の下見に来てもらい、家の構造や寸法に合う改修を検討してもらいます。そして、事業者が下見とヒアリングの結果をもとに、実際の住宅改修プランを作成します。事業者が作成した改修の図面および、費用などの見積りを確認したうえで、契約するか否かを高齢者もしくはその家族が最終判断します。

なお、費用に関しては、工事完了後はいったん費用を全額支払います。その後、住宅改修費の給付を申請し、かかった費用の9割(一部8割)を還元してもらう流れになります。

 

■介護に適した住宅改修の具体例

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住宅改修をすることで、高齢者自身の生活を向上できることはもちろん、ヘルパーや介護をする家族の介護作業がスムーズに行えるようになります。たとえば、トイレや浴室などの水まわり空間を少し広く改修すれば、無理な姿勢をとることなく介護をすることができます。手すりを設置して高齢者が自分の体を支えられるようにすれば、介護者への負担を軽減することができます。床を滑りにくい素材にすれば、高齢者を支えるときに滑って転倒する心配がありません。以下では、介護に適した改修例をご紹介します。

 

【玄関】
・手すりを取り付ける

・段差をなくす

・車椅子の通れる広さにする

 

【階段】

・手すりを設置する

・階段昇降機を設置する

 

【廊下】

・手すりを設置する
・各部屋のドアを引き戸にする
・部屋と廊下の段差を解消するスロープを設置する

 

【浴室】

・浴室のドアの開口幅を広くして手すりを設置する
・脱衣所と浴室の段差を解消する
・床を滑りにくい素材に変更

 

【トイレ】

・和式の場合は、洋式に取り換え
・手すりを設置する
・介助スペースを設ける
・ドアを引き戸にする
・ウォッシュレットや暖房機能を設置する
・自動照明に変更

 

高齢者にとって最も安全であるべきはずの住宅が、事故の種をたくさん持った状態になっていては、とても穏やかな老後は実現できません。「現在の住宅に住み続けたい」という高齢者の希望を叶えるためにも、スムーズな介護を行うためにも。介護保険住宅改修を利用して、介護生活に適した安全・快適な住宅を築きましょう。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長