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- グループホームと有料老人ホームの違いとは?特徴や入居条件、費用など介護施設選びのポイントを解説
お役立ちコラム
高齢化社会が進む中、介護施設の選択は重要な問題となっています。とくに認知症の親を持つ方にとって、どの施設が最適かを知ることは大切です。
しかし、グループホームと有料老人ホームの違いは多くの方にとってわかりにくいものです。この記事では、それぞれの特徴や入居条件、費用のポイントを詳しく解説します。
目次
グループホームとは
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)とは、認知症の高齢者を対象にした施設です。家庭的な環境の中で共同生活を行います。
この施設では、入居者が自立した日常生活を送れるように、必要な支援が行われます。生活は「ユニット」と呼ばれる最大9名の小グループに分かれ、家事や日常の活動を役割分担しながら進めていくのが特徴です。
このような環境下で、認知症の方々が安心して生活を続けられるようなサポートが提供されます。
有料老人ホームとは
有料老人ホームとは、高齢者の方々が安心して暮らせるよう、食事、介護、家事、健康管理のいずれかのサービスを1つ以上提供する住まいのことです。これらのサービス内容は施設によって異なり、費用も低額のものから高額のものまでさまざまあります。対象は、60歳または65歳以上の方で、施設の種類によって異なります。
有料老人ホームには、以下の3種類があります。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
ここでは、各施設の特徴について解説します。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームとは、介護スタッフが24時間常駐し、洗濯や掃除などの身の回りの世話や食事、入浴、排せつといった日常生活の介助を受けられる高齢者施設です。この施設は特定施設入居者生活介護の指定を受けており、常駐のスタッフが直接介護サービスを提供します。
また、看取りまで対応しているところも多く、終の棲家として利用を考える方も多いです。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、要介護者、要支援者、そして自立者まで幅広い方々が入居できる高齢者施設です。この施設では食事、洗濯、清掃などの日常生活の支援サービスを提供しています。
ただし、介護サービスは施設内のスタッフではなく、外部の訪問介護事業所やデイサービス、居宅介護支援事業所と契約して受ける形になる点には注意が必要です。
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、健康で介護の必要がない高齢者を対象とした施設です。健康型有料老人ホームは、自立して生活できるものの、家事の負担や将来の一人暮らしに不安を感じる方に適しています。
日常生活は比較的自由で、安心感を得られる環境が整っています。ただし、介護が必要な状態になったり、病気を発症したりした場合には退去を求められることがあるため、その点は事前に確認しておくことが重要です。
グループホームと有料老人ホームの違い
グループホームと有料老人ホームは、どちらも高齢者が安心して暮らせるよう支援する施設ですが、運営元や提供されるサービスなどさまざまな違いがあります。どちらの施設に入居するのか決めるためにも、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。
ここでは、グループホームと有料老人ホームの違いについて解説します。
運営
グループホームの運営は、民間企業や社会福祉法人、医療法人、NPO法人など多様な法人によって行われています。地域密着型のサービスや独自の運営方針を持つ施設が多く存在します。
一方、有料老人ホームは主に民間企業が運営しており、全国展開の大手企業が多いのが特徴です。サービスの質や施設の設備に一定の水準が保たれていることが期待できます。
運営主体の違いは提供されるサービスや施設の雰囲気にも影響を与えるため、選択の際にはしっかりと確認しましょう。
入居・退去条件
グループホームへ入居できるのは、以下の条件に該当する方です。
- 65歳以上の要支援2、要介護1以上
- 集団生活を過ごすことに支障がない人
- 施設と同じ市区町村の住民票がある人
- 認知症の診断を受けた人
ただし、認知症の症状が重く、寝たきりの場合は入居を断られることがあります。また、入居後に長期入院や症状の悪化により共同生活が難しくなった場合、あるいは高度な医療ケアが必要となった場合は退去を求められることがあるため注意しましょう。
一方、有料老人ホームは自立から要介護5までの方が入居可能です。市区町村からの介護度や住民票の条件が設定されている場合もあるため、事前に確認するようにしてください。
有料老人ホームでは、日常的な医療行為は相談可能ですが、より高度な医療行為が必要となると退去が求められる可能性があります。
各有料老人ホームの入居条件は次のとおりです。
- 介護付き有料老人ホーム:原則65歳以上、自立から要介護5までの方
- 住宅型有料老人ホーム:60歳以上で自立から要介護5の方
- 健康型有料老人ホーム:60歳以上の自立された方のみ
サービス
グループホームと有料老人ホームでは、提供されるサービスに違いがあります。ここでは、次のサービス内容について解説します。
- 介護体制
- 医療機関との連携
- 自立支援
- レクリエーション
- 生活の自由度
それぞれ詳しく見ていきましょう。
介護体制
グループホームと有料老人ホームでは、次の表のように介護体制にいくつかの違いがあります。
グループホーム | 有料老人ホーム | |
介護スタッフの配置割合 | 常勤換算で入居者:介護スタッフ=3:1の配置 | 常勤換算で入居者:介護スタッフ=3:1の配置 |
看護師の配置義務 | 看護師配置は義務ではない | 看護師は1人以上配置 |
グループホームでは看護師の配置は義務付けられていないため、主に介護スタッフが日常生活の支援を行います。一方、有料老人ホームでは看護師が1人以上配置されているため、医療面でのサポートが強化されているのが特徴です。
どちらの施設が適しているかは、入居者の健康状態や必要な医療ケアのレベルによって異なるため、慎重に検討することが大切です。
医療機関との連携
グループホームでは、緊急時に備えて協力医療機関と提携を行っています。これにより、急な体調不良や怪我が発生した場合でも、迅速に医療対応を受けることが可能です。看護師の配置状況により、健康管理の頻度や質が異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
一方、有料老人ホームでは、協力医療機関との提携により、定期健診や訪問診療が行われます。さらに、施設内には看護師が常駐しており、毎日の健康管理が徹底されています。医療機関との連携体制が整っているため、入居者は安心して生活を送ることが可能です。
自立支援
グループホームでは、入居者がスタッフと共に買い物や食事の準備、清掃などの日常の家事を行うことで、自立を支援しています。これらの活動は、リハビリの一環としても位置づけられており、入居者ができる限り自立した生活を送ることを目指しているのが特徴です。
有料老人ホームでは、食事や清掃などの家事サービスが提供されており、入居者の状態に合わせたリハビリを機能訓練指導員が行います。
自立支援のアプローチは異なりますが、いずれの施設でも入居者の生活の質を高めることを重視しています。
レクリエーション
グループホームと有料老人ホームでは、どちらもレクリエーションが提供されますが、その内容には違いがあります。
グループホームでは、認知症ケアに効果的なレクリエーションが中心です。具体的には、手先を使う作業や回想療法、音楽療法、園芸療法、アニマルセラピーなどが行われます。これにより、認知症の進行を遅らせたり、心の安定を図ったりすることが期待できます。
有料老人ホームでは、集団での体操や身体を動かすゲーム、折り紙などの工作、漢字ゲーム、簡単な計算ドリル、カラオケといった、身体と頭を使う活動が中心です。これらは安全に楽しみながら行えるもので、心身の活性化を図ることが目的です。
どちらの施設でも、利用者が楽しみながら参加できるよう工夫がされています。
生活の自由度
グループホームでは、認知症の進行度合いに応じて生活の自由度が異なります。とくに安全面を考慮し、1人での外出は制限されることが多いです。これは認知症の方が迷子になったり、事故に遭ったりするリスクを軽減するためです。
有料老人ホームでは、比較的生活の自由度が高く、外出や外泊も安全が確保されている場合は許可されることが多くなっています。そのため、自立した生活を送りたい方にとって、有料老人ホームのほうが適しているといえるでしょう。
ただし、各施設の方針や個別の状況に応じて生活の自由度は異なるため、事前に確認することが大切です。
費用
介護施設を選ぶ際、費用は大きな要素です。グループホームと有料老人ホームでは、それぞれ初期費用と月額利用料がかかります。ここでは、それぞれの施設でかかる費用について解説します。
初期費用
グループホームの初期費用としては、主に入居一時金や保証金が必要になります。入居一時金の相場は数万円から数十万円程度が一般的ですが、施設によってはこの費用がかからない場合もあります。初期費用には、保証金や敷金、入居一時金などが含まれ、退去時には一般的な賃貸住宅と同じように敷金が返還される仕組みです。
有料老人ホームの初期費用は0円から数千万円と、施設の特徴や入居年齢などによって大きく異なります。
月額利用料
グループホームの月額利用料は、一般的に10万〜20万円程度です。費用は居室の広さや施設の設備によって異なるため、選択時にはこれらの要素を考慮する必要があります。また、施設の立地も月額利用料に影響を与え、都市部では費用が高い傾向にあり、郊外では比較的安価な場合が多いです。
有料老人ホームの月額利用料は10万〜40万円程度と幅広く、施設設備の充実度や居室面積、提供されるサービス内容によって大きく変動します。
グループホームのメリット・デメリット
グループホームは、少人数の認知症高齢者が家庭的な環境で共同生活を送る施設です。この形式にはさまざまなメリットとデメリットがあります。施設を選択する際は、メリットとデメリットを総合的に考慮して選ぶようにしましょう。
メリット
グループホームの大きなメリットは、有料老人ホームと比べて低価格であることです。さらに、小規模な施設であるため、利用者とスタッフが顔馴染みになりやすく、アットホームな雰囲気が特徴です。
認知症の高齢者にとって、環境が頻繁に変わることは混乱の原因となることもありますが、グループホームではその心配が少ないといえるでしょう。また、専門知識を持ったスタッフが認知症ケアを行い、家事を一緒に行うことで、生活そのものがリハビリとなり、認知症の進行を遅らせる効果も期待できます。
デメリット
グループホームにはいくつかのデメリットがあります。まず、要支援2以上でその地域に住民票がある方しか入居できないため、入居条件が限定されていることです。
また、少人数制であることから入居待ちが多く、すぐに入れるとは限りません。そして、少人数で共同生活を送るため、入居者同士の相性が合わない場合、移動や調整が難しいことはあらかじめ理解しておきましょう。
さらに、看護師の配置が義務ではないため、医療的ニーズに対する対応には限界があり、重篤な医療ケアが必要な場合には他の施設を検討する必要があります。
有料老人ホームのメリット・デメリット
有料老人ホームは、高齢者が自立した生活を送りながら必要な介護や医療サポートを受けられる施設です。ここでは、有料老人ホームのメリットとデメリットについて解説します。
メリット
有料老人ホームのメリットは、入居者の要望にあった施設を見つけやすい点です。介護サービスの充実度や多様なレクリエーション、高いプライバシー保持など、それぞれの目的に合った施設を選びやすくなっています。
生活の自由度も高く、プライバシーが保たれるため、入居者が自分らしい生活を維持しやすい環境といえるでしょう。また、空室が比較的あるため、すぐに入居できる場合が多い点もメリットです。
デメリット
有料老人ホームのデメリットとして、初期費用や月額利用料が高額である点が挙げられます。とくに介護付き有料老人ホームでは、手厚い介護サービスが提供されるため、費用がかさむことが多いです。
また、入居者やスタッフの人数が多いため、認知症の高齢者にとっては環境の変化や人の多さに混乱することもあるでしょう。さらに、認知症ケアの専門知識を持たないスタッフが対応することもあるため、適切なケアが受けられない場合があります。
加えて、日常の家事がスタッフによって行われることが多く、自立を促す機会が少ないため、認知症のリハビリにつながりにくいという点にも注意が必要です。
【施設別】介護施設選びで迷ったら:グループホームと有料老人ホームの比較ポイント
介護施設選びにおいて、グループホームと有料老人ホームのどちらが適しているのか迷うことは少なくありません。それぞれの施設には異なる強みがあり、ご家族の状況や必要な介護レベルに応じた選択が求められます。
ここでは、グループホームと有料老人ホームの比較ポイントを詳しく解説し、どのような方におすすめかを紹介します。施設選びの際の参考にしてください。
Q:グループホームはどのような方におすすめですか?
グループホームは、認知症の症状がある方にとくにおすすめです。大勢の中にいると混乱してしまう方には、少人数での生活が適しており、関わる人が限られることで落ち着いた環境を提供します。
このような環境では、個々のペースに合わせたケアが可能で、安心して生活を送れます。また、家庭的な雰囲気の中で、日常生活の継続や自立を促進する支援が受けられるため、認知症の進行を緩和する効果も期待できるでしょう。
Q: 有料老人ホームはどのような方におすすめですか?
有料老人ホームは、すでに介護が必要な方、または将来的に介護が必要になる可能性が高い方におすすめです。たとえば、認知症の症状が進行している方や、身体的な介助が定期的に必要な方に適しています。
また、持病をお持ちで日常生活において医療行為が必要な方にも、有料老人ホームは安心です。糖尿病のインスリン注射や痰の吸引など、専門的な医療ケアが必要な場合でも、施設内で対応できる体制が整っているため、安心して生活を送れます。
各施設の特徴を理解したうえで入居を検討しよう
グループホームと有料老人ホーム、どちらも高齢者のための施設ですが、その特徴やサービス内容には大きな違いがあります。また、それぞれにメリット・デメリットもあるため、総合的に判断することが重要です。この記事で紹介した各施設の特徴を多角的に比較して、ご家族に最適な選択を見つけてください。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長