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お役立ちコラム
2025年1月1日
介護施設・老人ホームの種類や違いは?施設の特徴や費用、選び方を解説
介護施設や老人ホームを選ぶ際には、まずその種類や特徴を理解することが大切です。本記事では、公的施設と民間施設の違いや、それぞれの特徴、費用について詳しく解説します。
さらに、介護保険の適用範囲や、施設選びのポイントについても触れていますので、ぜひ参考にしてください。
目次
介護施設は2種類!公的施設と民間施設の違いとは
介護施設は、大きく分けて「公的施設」と「民間施設」の2種類があります。公的施設は国や地方自治体などが運営している施設であり、民間施設は民間企業が運営している施設のことです。ここでは、両施設の特徴や違いについて解説します。
公的施設
公的施設は、主に国や地方自治体が運営する介護保険施設で、社会福祉の視点から設立されています。これらの施設は、介護度の重い方や低所得者を保護し支援することに重点を置いているのが特徴です。
具体的な種類として、次の5つがあります。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- ケアハウス(軽費老人ホーム)
- 介護医療院
- 養護老人ホーム
これらの施設は国の補助金を受けて運営されているため、民間施設に比べて費用を安く抑えられます。また、介護保険が適用されるため入居者の負担も軽減される点や終身利用が可能である点も魅力です。
ただし、人気があるため空きが少なく、入居待ち期間が長くなる傾向があります。
民間施設
民間企業が運営する民間施設では、各施設が高齢者のニーズを満たすことに重点を置いています。設備やサービスの種類は多岐にわたり、特色あるレクリエーションやイベントが豊富に提供されているのが特徴です。
民間施設としては、次の6つがあります。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- 健康型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- シニア向け分譲マンション
- グループホーム
これらの施設では、外部の介護サービスも受けられるため、身体の状態に応じた幅広い対応が可能です。ただし、公的施設に比べると費用は高めで、介護度が高くなると入居が難しくなる場合があります。
公的介護施設の種類や特徴、費用について
公的介護施設の種類や特徴、費用について解説します。以下の表は、紹介する施設の種類や入居金相場、月額相場をまとめたものです。
種類 | 入居金相場 | 月額相場 |
特別養護老人ホーム(特養) | なし | 6万~15万円 |
介護老人保健施設(老健) | なし | 8万~20万円 |
ケアハウス(軽費老人ホーム) | 数十万~1,000万円程度 | 6万~20万円 |
介護医療院 | なし | 8万~15万円 |
養護老人ホーム | なし | 前年の収入による |
特別養護老人ホーム(特養)
特別養護老人ホーム(特養)とは、自治体や社会福祉法人が運営する公的な介護施設です。
介護老人福祉施設とも呼ばれます。
<利用対象者>
要介護3〜5に認定された65歳以上の方
※40〜64歳の方でも16種の特定疾病が認定されれば入居可能
特別養護老人ホーム(特養)では、食事や入浴、排せつの介助などの身体介護、清掃や洗濯といった日常生活支援、リハビリやレクリエーションなど幅広い介護サービスを受けられます。特別な医療対応が必要でなければ、基本的に終身で利用でき、看取りまでのケアも行っています。
入居時に一時金が不要で、月額費用は約6万~15万円です。要介護度と所得に応じた自己負担割合の介護サービス費用がかかりますが、公的施設のため居住費や食費の助成を受けられます。そのため、人気が高く、地域によっては入居までに3か月以上かかることもあるようです。
介護老人保健施設(老健)
介護老人保健施設(老健)は、病院から退院後、自宅に戻るまでの間に必要なリハビリや看護・介護を提供するための施設です。この施設は、自宅と病院の中間的な役割を果たしています。平日の日中には医師が常勤していて医療を受けられるほか、理学療法士や作業療法士などの専門職が常駐しており、高品質なリハビリも受けられるのが特徴です。
<利用対象者>
要介護1から5の方
介護老人保健施設(老健)は在宅復帰を目的としているため、入居期間は原則として3か月です。3か月ごとに継続の可否が判断されます。
入居一時金は不要で、月額費用は約8万〜20万円です。費用は要介護度や所得に応じた自己負担割合が適用されます。
ケアハウス(軽費老人ホーム)
ケアハウス(軽費老人ホーム)は、自宅での生活が困難な60歳以上の高齢者を対象とした公的介護施設です。家族からの援助が受けられない場合に適しています。
ケアハウス(軽費老人ホーム)には「一般型」と「介護型」の2種類があります。それぞれの特徴は次のとおりです。
- 一般型ケアハウス:食事や掃除、洗濯などの生活支援サービスを提供している
- 介護型ケアハウス:要介護1以上の65歳以上を対象とし、生活支援に加えて介護サービスも提供している
介護型ケアハウスは特定施設として介護保険が適用される介護サービスを提供していますが、一般型ケアハウスでは介護サービスを提供していないため、必要に応じて外部の介護サービスを利用する必要があります。
入居費用は数十万円から1,000万円程度で、月額費用は約6万~20万円です。費用は要介護度や所得に応じた自己負担割合により変動します。
介護医療院
介護医療院とは、長期間の療養が必要で、医療ケアも必要な方のための施設です。充実した医療設備を整えており、高い医療ニーズを持つ要介護者にも対応します。
多くの場合、病院や診療所に併設されており、通常の高齢者施設では対応が難しい医療ケアや緊急時の対応が可能です。また、看取りケアやターミナルケアなども受けられるため、終のすみかとして入居する方も多くいます。
<利用対象者>
- 要介護1~5の方
- 介護と医療を重視する方
入居一時金は不要で、月額費用は約8万~15万円です。要介護度や所得に応じた自己負担割合分の介護サービス費用がかかります。
養護老人ホーム
養護老人ホームは、経済的理由や精神・身体・家庭環境上の理由で自宅での生活が難しい高齢者を支援するための福祉施設です。基本的に長期利用はできませんが、一時的な生活の場を提供します。
<利用対象者>
65歳以上で、諸事情により自宅での生活が困難な方
月額費用は、前年の収入に基づき決定されます。前年の収入が150万円以下の場合、0~8万1,100円が目安です。それ以上の場合、150万円を超える部分の額に0.9を乗じた額を12で割り、8万1,100円を加えた額が月額費用となります。
民間介護施設の種類や特徴、費用について
民間介護施設にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や費用の違いがあります。以下の表は、紹介する施設の種類や入居金相場、月額相場をまとめたものです。選ぶ際は費用だけでなく、提供されるサービスや生活環境をしっかりと確認するようにしましょう。
種類 | 入居金相場 | 月額相場 |
介護付き有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15万~35万円 |
住宅型有料老人ホーム | 0~数千万円 | 15万~35万円 |
健康型有料老人ホーム | 数百万~数千万円 | 15万〜50万円 |
サービス付き高齢者向け住宅 | 0〜数十万円 | 10万〜30万円 |
シニア向け分譲マンション | 数千万〜数億円 | 10万〜30万円 |
グループホーム | 0〜数十万円 | 10万〜20万円 |
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは、「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた民間施設で、24時間体制で介護スタッフが配置されているのが特徴です。それにより、要介護度が高い方でも安心して暮らせる環境が整っています。
<入居対象者>
- 原則として65歳以上の高齢者で、要介護1から5の方
- 一部の施設では自立や要支援の方も受け入れ可
費用面では、入居一時金が必要になる場合があり、その額は施設によって0から数千万円までと幅があります。月額費用は15万から35万円程度が目安です。そのほか、要介護度や所得に応じた自己負担割合分の介護サービス費用がかかります。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、自立から一定の要介護度までの高齢者が安心して暮らせるように設計された施設です。生活支援や食事の提供など、日常生活をサポートするサービスが充実しています。介護が必要になった場合は、担当のケアマネジャーと相談の上、外部の介護サービスを利用可能です。
<入居対象者>
- 自立または要支援の高齢者
住宅型有料老人ホームでは入居一時金が必要な場合もあり、その金額は0~数千万円と施設によって異なります。月額費用も施設によりさまざまですが、15万~35万円程度が目安です。さらに、要介護度や所得に応じた自己負担割合分の介護サービス費用もかかる点に留意しましょう。
健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、自立から要支援程度で自立した生活が可能な方だけが入居できる施設です。自立が前提となるため、介護サービスは提供されません。
希望者には建物内のレストランや食堂での食事提供、掃除、見守りサービスなどを提供しています。また、レクリエーションやイベントも充実しており、温泉やジムなどの設備を備えている施設もあります。
<入居対象者>
- 自立した生活が可能な方
なお、介護が必要になった場合には退去が必要となるため注意が必要です。入居一時金は数百万から数千万円、月額費用は施設によって異なりますが15万〜50万円程度が目安となります。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者向けの賃貸住宅としての位置づけです。介護施設ではないため、自由度が高く、外出や外泊が認められている施設も多くあります。バリアフリー仕様で、基本的にはフロントにスタッフが配置されているのが特徴です(24時間体制かどうかは施設による)。
「一般型」と「介護型」の2種類があります。一般型は介護サービスが含まれていないため、外部の介護事業者と契約が必要です。一方の介護型では常駐の介護職員からサービスを受けられます。
<入居対象者>
- 60歳以上で自立した生活が可能な方
要支援や要介護の方も入居できる施設が増えています。入居一時金は0〜数十万円、月額費用は施設によって異なり、10万〜30万円程度が目安です。
シニア向け分譲マンション
シニア向け分譲マンションは、高齢者が安心して暮らせるように配慮された住まいです。バリアフリー設計が施されており、居住者の安全と快適さを重視しています。さらに、レストランや大浴場、フィットネスルーム、シアタールームなど、充実した共用設備が備わっている場合もあります。
シニア向け分譲マンションは、購入後に売却や譲渡、賃貸に出すことが可能なため、資産としての柔軟性も魅力です。
<入居対象者>
- 60歳以上が一般的
マンションによっては50歳以上、55歳以上を対象としている場合もあります。購入費用は数千万から数億円と幅広く、通常のマンション同様に管理費や修繕積立金が必要です。月額費用は10万〜30万円程度が目安となります。
グループホーム
グループホームは、認知症と診断された高齢者が介護職員のサポートを受けつつ、日常生活を送るための施設です。ここでは、5~10名ほどのユニットと呼ばれる小グループで共同生活を行い、各自ができる範囲で役割を分担しながら生活します。
ユニット単位での生活が採用される理由は、認知症を持つ方が環境の変化に対して大きな精神的負担を感じることが多いためです。顔なじみの人間関係を維持することで、環境の変化を最小限に抑え、精神的な安定を図れると考えられています。
<利用対象者>
- 認知症と診断され、要支援2以上の方
- 施設と同じ地域に住民票があること
入居一時金は0〜数十万円で、月額費用は施設によって異なりますが、10万〜20万円が目安です。
介護保険法による介護施設の分類について
介護施設は、介護保険が適用されるかどうかで大きく分類ができます。介護保険が適用される施設では、入居者は施設内で必要な介護サービスを直接受けることが可能です。
一方、介護保険が適用されない施設に入居する場合、外部の介護事業者と個別に契約を結び、必要な介護サービスを受ける必要があります。介護保険が適用になる施設、適用されない施設について解説します。
介護保険が適用になる施設
介護保険が適用される施設では、介護保険法に基づく介護サービスが提供されます。介護保険が適用される施設としては、次のようなものがあります。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人保健施設(老健)
- ケアハウス(軽費老人ホーム)※1
- 介護医療院
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム※2
- サービス付き高齢者向け住宅※1
これらの施設に入居するためには、要介護認定を受けていることが必要です。また、一定の要介護度以上が求められる場合もあります。
入居条件を満たすことで介護保険が適用され、利用者の自己負担額は1割から3割となります。
※1:一般型は別途契約が必要な外部の介護サービス利用時の費用にのみ適用、介護型は付帯している介護サービス費に適用
※2:別途契約が必要な外部の介護サービス利用時の費用にのみ適用
介護保険が適用されない施設
介護保険が適用されない施設には、上記以外の施設が対象になります。これらの施設は、要介護認定の有無や介護度にかかわらず入居できることが多いのが特徴です。
介護サービスを利用する際の費用は全額自己負担となるため、予算をあらかじめ確認しておきましょう。
介護施設を選ぶ際のポイント
介護施設を選ぶ際には、入居条件や費用、生活環境などをしっかりと確認することが重要です。特定の医療ケアが必要な場合や認知症の方が安心して過ごせる環境を求める場合には、それに対応した施設を選ぶ必要があります。
施設の見学や説明会に参加して、具体的な生活環境やサービス内容を確認しましょう。
入居条件
介護施設への入居条件は施設ごとに異なります。たとえば、特別養護老人ホーム(特養)では原則65歳以上の要介護3〜5認定が必要です。また、健康型有料老人ホームでは自立した生活が可能な方が対象となり、要介護状態になると退去を求められる場合があります。
さらに、入居時から看取りまで対応している施設もありますが、その場合は事前に確認が必要です。現状の身体の状態だけでなく、将来的な健康状態も考慮して施設を選ぶことで、長期間安心して住み続けられる施設を見つけられます。
費用
介護施設に入居する際、毎月の入居費用を支払い続ける必要があります。また、入居時には初期費用が発生する施設も多いものです。
一般的に公的施設よりも民間施設のほうが費用は高くなりやすい傾向があります。家計を破綻させないためにも、事前にどの程度の支払いが行えるかをしっかりとシミュレーションした上で施設を選ぶことが大切です。
その際は、生活費や保険料、医療費なども含めて、細かくシミュレーションを行い、将来の支出に備えましょう。
生活環境
介護施設を選ぶ際には、生活環境に注目することも大切です。施設の雰囲気や提供されるサービスに不満がないか、設備が使いやすく日常生活に支障がないかなどを確認しましょう。
さらに、遠方の施設を選ぶ場合には、生活しやすい環境かどうか、家族が面会する際に距離的な問題がないかも考慮する必要があります。
ケース別おすすめ施設
介護施設を選ぶ際には、利用者の状態や必要なケアに応じて適切な施設を選ぶことが重要です。特に、認知症の方や終末期ケアが必要な方には、それぞれの状況に応じた施設が求められます。ここでは、認知症で入居可能な施設や看取りに対応している施設について紹介します。
認知症で入居可能な施設
すべての介護施設が、認知症の方の入居を受け入れているわけではありません。認知症の方が入居できる施設として、次の施設が挙げられます。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護老人ホーム(老健)
- 介護医療院
- 介護付き有料老人ホーム
- グループホーム
認知症の方専用のフロアを設け、専門知識を持つプロが対応するように配慮された施設もあります。認知症の方でも安心して暮らせる環境が整備されているため、利用者だけでなく家族も安心できるでしょう。
看取りに対応している施設
看取りとは、施設で人生の最期を迎えることを指します。親族に囲まれながら送り出したいと考えている方は、看取りが可能な施設を選ぶとよいでしょう。
看取りに対応している施設は限られていますが、介護医療院はすべての施設で対応しています。そのほか、次の施設でも対応しているところもあるため、入居先へ確認するようにしましょう。
- 特別養護老人ホーム(特養)
- 介護医療院
- 介護老人保健施設(老健)
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- グループホーム
介護施設ごとの違いをしっかり理解しよう
介護施設を選ぶ際には、それぞれの施設が提供するサービスや特徴をしっかり理解することが大切です。公的施設と民間施設には、それぞれ異なる種類と特徴があり、費用や入居条件も多岐にわたります。
また、介護保険の適用有無も選択に影響を与える要素です。本記事で紹介した内容を参考に、自分にあった介護施設を選んでください。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長