- あなぶきの介護トップ
- お役立ちコラム
- 要介護2とは?認定基準や利用できるサービス、他の要介護度との違いを解説
お役立ちコラム
2024年12月15日
要介護2とは?認定基準や利用できるサービス、他の要介護度との違いを解説
要介護2とは、要介護1に比べて介護の比重が増えた段階を指します。日常生活の中で一定の介助が必要とされる状態で、食事や入浴、移動などの動作に部分的な支援が求められます。具体的にどのような状態が該当するのか、またどのような介護サービスが利用できるのかについて詳しく知っている方は少ないかもしれません。
本記事では、要介護2の認定基準や要介護1や3との違い、利用可能なサービス・補助制度などを解説します。あわせて、要介護2と認定された方が一人暮らしできるのかについても具体的にお伝えするので、ぜひ参考にしてください。
目次
要介護度について
要介護度とは、日常生活の中でどれくらい介護が必要なのかを客観的に数値化し、区分けしたものです。この評価は、厚生労働省が定める「要介護認定基準時間」を基にしています。
要介護度は、自立から要支援1~2、そして要介護1~5に分類されており、それぞれの区分によって介護保険から給付される金額や受けられるサービスが異なるのが特徴です。
要支援と要介護の違いは、サービス内容や申請方法、身体状況の違いです。要支援・要介護の認定を受けるためには、申請から認定調査、結果通知までの手続きを経る必要があります。なお、初回認定の有効期間は原則6か月で、その後は更新手続きが必要です。
要介護度や要支援と要介護の違い、要支援・要介護認定を受けるまでの流れについては、次の記事をご覧ください。
要介護1とは?利用可能なサービスや限度額、要支援2・要介護2との違いを解説
要介護2の状態と認定基準
要介護2は、家事や買い物、食事など日常の動作において、部分的に介助が必要な状態を指します。要介護2の状態や認定基準などについて解説します。
要介護2の状態とは?
要介護2の状態は、日常生活においてある程度の介助が必要な状態を指します。具体的には、歩行や立ち上がりにおいて介助を必要とし、一部の家事や日常的な活動についても手助けが必要です。また、認知症初期症状が見られることもあります。
要介護2の認定基準
要介護2の認定は、「要介護認定基準時間」(厚生労働省が定めた基準)に基づき判定されます。この基準時間とは、介護にかかる内容から時間で示したもので、本人の能力や介助方法、障がいや認知症の有無を総合的に評価して算出されます。
要介護2と認定されるためには、要介護認定基準時間が50分以上70分未満、またはそれに相当すると認められる状態であることが必要です。
要介護2と要介護1の違い
要介護1と要介護2の違いは、身の回りのことに対して介助が必要かどうかにあります。要介護1では、基本的には食事や着替えなどの日常生活を自分で行えるものの、入浴や一部の身の回りのことにおいて手助けが必要です。
要介護2になると食事や排泄、入浴のほか、移動や着替えなど日常生活の多くの場面で介助が必要となります。要介護2のほうがより頻繁に、かつ多岐にわたるサポートが求められるといえるでしょう。
要介護2と要介護3の違い
要介護2と要介護3の違いは主に「身体状態」と「理解力」の2点にあります。要介護2においては、食事や排泄といった基本的な日常生活動作の一部に介助が必要です。
要介護3では身体機能がさらに低下し、これらの動作に対して全面的な介助が求められます。理解力の低下も顕著で、コミュニケーションや判断力においてより多くの支援が求められます。
要介護3では日常生活全般にわたる手厚いサポートが求められることが多くなります。
要介護2でも一人暮らしは可能?
要介護2の方でも、一人暮らしは可能です。厚生労働省の調査によれば、要介護者の16.5%が要介護2で一人暮らしをしています。
この場合、介護サービスを適切に利用することが重要です。訪問介護やデイサービスを活用し、必要な支援を受けることで、日常生活をより安心して過ごせます。
また、周囲の家族や地域のサポートも大切です。認知症の進行具合や身体状態によっては、施設入所を検討することも視野に入れましょう。
参考:厚生労働省「要介護者等のいる世帯の世帯構造別にみた現在の要介護度の構成割合(2022年 国民生活基礎調査の概況)」
要介護2と認知症の関連性
認知症は要介護認定の重要な判断基準の一つです。認知症を発症している場合、要介護認定を受けやすくなります。
日常の動作において手助けを一部必要としており、意思疎通は可能だが金銭管理が難しいといった程度の症状がある場合は要介護2と判定されるケースが多いようです。
要介護2の給付金支給額
介護保険では、要介護区分に応じて月ごとに支給限度額が定められています。支給限度額とは、介護保険から給付される1か月あたりの上限額のことで、要介護2の場合は1か月あたり197,050円です。
この範囲内であれば、介護サービスの利用には1割(一定以上の所得がある方は2割または3割)の自己負担で済みます。限度額を超えた場合は、全額自己負担でサービスを利用することが可能です。
要介護2のケアプラン事例
要介護2のご家族をケアする際、どのようなサービスを利用するかは重要です。具体的なケアプランの事例を通じて、自己負担額がどの程度になるのかを見ていきましょう。
利用するケアプランは次のものとします。
- 訪問介護(ホームヘルプサービス):4回(13,480円、月1回につき3,370円)
- 訪問看護:4回(20,600円、月1回につき5,150円)
- 短期入所生活介護:2日間(17,240円、1日 8,620円)
- 福祉用具の貸与:1か月(13,770円)
これらを合算すると、総額65,090円になりますが、自己負担1割の場合は6,509円で利用可能です。このように、適切なケアプランを立てることで、負担を軽減しながら必要なサービスを利用できるようになります。
要介護2で利用できるサービス・補助制度
要介護2に認定された場合、日常生活を支えるための多岐にわたるサービスや補助制度を利用できます。これにより、本人や家族の負担を軽減し、安心して生活を続けることが可能です。
要介護2の方が受けられる具体的なサービス内容や、介護保険の限度額について詳しく見ていきましょう。
自宅で利用できるサービス
要介護2の方が自宅で利用できるサービスは「訪問型サービス」と呼ばれ、看護職員や介護職員などの有資格者が自宅に訪問して提供します。具体的なサービスとしては、次のようなものがあります。
- 訪問介護
- 訪問看護
- 訪問入浴
- 訪問リハビリテーション
- 夜間対応型訪問介護
- 居宅療養管理指導
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
訪問介護のサービスは、身体介助、生活援助、通院介助の3つに大きく分類されます。身体介助では食事、排泄、入浴などの介助を行い、生活援助では掃除、洗濯、買い物、調理などの生活支援を提供します。通院介助は通院を目的とした乗車、移送、降車の介助のことです。また、それぞれ費用が異なるため、注意しましょう。
施設に通って利用できるサービス
施設に通って利用できるサービスは「通所型サービス」と呼ばれます。要介護2の方が可能な限り自立した日常生活を送れるように支援し、他者との関わりを持つことで心身機能の維持を図り、家族の介護負担を軽減することを目的としています。
具体的なサービスは、次のようなものです。
- 通所介護(デイサービス)
- 通所リハビリテーション(デイケア)
- 地域密着型通所介護
- 療養通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 看護小規模多機能型居宅サービス(複合サービス)
宿泊して利用できるサービス
要介護2の認定を受けた方が宿泊して利用できるサービスは、「短期入所型サービス」と呼ばれます。このサービスは、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送れるように支援することを目的としており、孤立感の解消や心身機能の維持・回復を図ることも重要な役割です。
また、家族の介護負担軽減や、介護者が不在の際の安全確保として利用されることもあります。
主なサービスは、次の2つです。
- 短期入所生活介護(ショートステイ)
- 短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
どちらのサービスも、連続して利用できる日数は最長で30日までとなっています。
生活環境の改善に使えるサービス・補助制度
要介護2と認定された場合、日常生活においてより快適に過ごすための各種サービスや補助制度を利用できます。
具体的なサービス・補助制度は次の3つです。
- 福祉用具の貸与費の支給
- 福祉用具の購入費の支給
- 住宅改修費の支給
それぞれの詳細を見ていきましょう。
購入できる福祉用具
要介護2の認定を受けた方は、福祉用具の購入に対しても介護保険の支援を受けられます。購入費の支給限度額は1年間で10万円までです。利用者がいったん全額を支払ったあと、費用の9割(一定以上の所得者の場合は8割または7割)が介護保険から払い戻されます。
具体的には、次のようなものの購入費用が対象です。
<移動関連>
- 移動用リフトのつり具部分
<入浴関連>
- 入浴補助用具
- 簡易浴槽
<排泄関連>
- 腰掛便座
- 自動排泄処理装置の交換可能部品
- 排泄予測支援機器
これらの福祉用具を活用することで、日常生活の質を向上させることが可能です。
レンタルできる福祉用具
要介護2の認定を受けた方は、さまざまな福祉用具をレンタルできます。介護保険を利用すると、月額レンタル費用の自己負担は1割(所得に応じて最大3割)です。
たとえば、月額レンタル料金が5,000円の歩行器の場合、500円から1,500円の自己負担で利用できます。
レンタルできる福祉用具としては、次のようなものがあります。
<ベッド関連>
- 特殊寝台やその付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
<移動関連>
- 車椅子および付属器
- 歩行器
- 歩行補助杖
- 手すり
- スロープ
- 移動用リフト
- 徘徊感知器
<排泄関連>
- 自動排泄処理装置
住宅改修費の支給
要介護2と認定された場合、自宅の環境を改善するための住宅改修費が支給されます。自宅の手すりの設置や段差の解消といった改修工事に対して、限度額20万円までの費用が原則1回限り支給されます。
ただし、住宅改修を行う前に市町村への事前申請が必要なため、注意しましょう。
施設などに入居して利用できるサービス
要介護2の方が施設に入居して利用できるサービスとして、特定施設入居者生活介護(ショートステイ)があります。
有料老人ホームや軽費老人ホーム(ケアハウス)、養護老人ホームなどに入居している方々が食事や入浴などの介護や機能訓練を受けられるサービスです。
地域のサービス
地域のサービスとは、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けるために提供される包括的なケアシステムのことです。市町村が指定した事業者から地域密着型のサービスが提供されており、要介護2の方でも安心して利用できます。
利用できる地域サービスの例としては、次のようなものです。
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
- 小規模多機能型居宅介護
- 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
- 地域密着型特定施設入所者生活介護
要介護2の状態や認定基準を理解しよう
要介護2は、日常生活において一定の介助が必要な状態です。この状態では、食事や入浴、排泄などの基本的な生活動作において、一部の介助が必要となります。
認定基準としては、身体的な能力の低下に加えて、認知症の影響で生活全般に支援が求められる場合が該当します。要介護1と比べると介護の頻度や内容が増え、より専門的なケアが必要です。
認定されることで、介護サービスを利用するための介護保険の給付が受けられるようになり、生活の質を向上させられます。必要なサービスや補助制度を受けられるように、要介護2についての理解を深めておきましょう。
あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長