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お役立ちコラム
2024年8月15日
介護のレクで使われる塗り絵の効果は?高齢者向けのイラストの選び方も解説
近年、介護の現場で塗り絵が注目されています。塗り絵は高齢者にとって楽しいだけでなく、さまざまな効果が期待できる活動です。
この記事では、塗り絵が介護の現場でどのように役立つのか、具体的な効果やイラストの選び方について詳しく解説します。塗り絵をレクリエーションに取り入れる際のポイントや準備方法、高齢者に喜ばれる絵柄の例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
介護の現場で注目される塗り絵の効果とは?
介護の現場で塗り絵が注目される理由は、塗り絵を行うことで得られるその多様な効果にあります。塗り絵は手指の運動や脳トレにつながるだけでなく、気分転換としても非常に効果的です。
これから介護の現場で注目される塗り絵の持つ各効果について詳しく見ていきましょう。
手指の運動になる
塗り絵の効果として、手指の運動が挙げられます。塗り絵では色鉛筆やクレヨンを使って、「色鉛筆を握る/つかむ」「塗り絵の線に沿って色鉛筆を握りながら塗る」などの細かい作業が必要です。その際、日常生活ではあまり細かく動かすことのない手指の細かな動きが促進されます。
この運動は、手指の筋力や柔軟性を維持するのに役立ち、高齢者が日常の動作をスムーズに行うためのサポートとして非常に有効です。また、手指の運動を続けることで、手先のリハビリにもつながります。
脳トレになる
塗り絵は、高齢者の脳トレーニングにも効果的です。紙に描かれた絵柄の形を認識し、それに合った色を選んで塗るという作業は、脳の血流を増大させ脳の活性化を促すため、認知症予防に役立つとされています。
また、細かい部分を丁寧に塗ることで集中力が高まり、色の組み合わせを考えることで想像力も働くなど、さまざまな効果が得られる点も魅力です。色を塗るだけの単純作業に見える塗り絵ですが、脳を活性化させるうえで重要なレクリエーションのひとつといえるでしょう。
気分転換になる
塗り絵は高齢者にとって素晴らしい気分転換の手段です。日常の介護生活はどうしても単調になりがちですが、塗り絵を通じて色とりどりの世界に触れることで、気分がリフレッシュされます。
また、自分のペースで好きな色を使って作品を完成させる達成感も、心理的な満足感をもたらします。とくに、塗り絵を通して共通の話題ができ、他の利用者やスタッフと会話が弾むことも考えられるため、社交的な効果も期待できるでしょう。
レクリエーションとして高齢者に塗り絵を導入する際のポイント
塗り絵を高齢者向けのレクリエーションとして導入する際、いくつかのポイントを押さえておくと、より効果的に楽しんでもらえます。ここでは、レクリエーションとして塗り絵を導入する際のポイントについて詳しく解説します。
適切な難易度の絵柄を選ぶ
高齢者向けの塗り絵を選ぶ際には、適切な難易度の絵柄を選ぶことが重要です。
一口に塗り絵と言っても、簡単なものから大人の塗り絵のように難易度の高いものまでさまざまなものが発売されています。難しすぎると途中で投げ出してしまうケースや、逆に簡単すぎても飽きてしまうケースが考えられるでしょう。
さらに、塗り絵をするためには、視力・手指の機能・認知機能などが求められます。高齢者一人ひとりで状態が異なるため、ちょうどいい難易度のものを選ぶことが重要です。
色の選択肢を絞る
高齢者向けの塗り絵を準備する際には、色の選択肢を絞ることが大切です。多くの色を一度に提供すると、選択肢が多すぎて迷いやすく、ストレスを感じてしまう場合があります。
悩み始めてしまうと集中力が途切れる原因にもつながるため、限られた色だけ提供する以外にも、本人が好む色をピックアップするなどの工夫をしましょう。
季節感を考慮する
季節感を取り入れることで、高齢者の方々に塗り絵をより楽しんでもらえます。たとえば、春には桜やチューリップ、夏にはひまわりや海の風景、秋には紅葉やハロウィン、冬には雪景色やクリスマスの絵柄を選ぶと良いでしょう。
それにより、季節の移り変わりを感じながら、思い出話に花を咲かせられます。その際にも、基本的な色や季節に合った色を数色用意し、それをもとに塗ってもらうようにすると、誰もが迷わずに楽しめるでしょう。
また、季節ごとの行事やイベントの話題も提供できるため、コミュニケーションのきっかけにもなります。季節感のある塗り絵を使うことで、ただの作業ではなく、四季折々の楽しみを感じていただけるよう工夫しましょう。
塗り絵が難しい方へ配慮する
身体機能によっては塗り絵が難しい方もいるため、その方々への配慮も忘れないようにしましょう。
たとえば、高齢者の手先の器用さや視力を考慮して、線が太めでシンプルな絵柄を選ぶと塗りやすいため、多くの高齢者が楽しめます。さらに、色鉛筆やクレヨンは握りやすい太めのものを用意すると良いでしょう。
また、手指がうまく動かせない方々のために、別のレクリエーションを用意することも重要です。たとえば、脳トレやパズルをしたり、スタッフと会話をしたりする時間にするなどが考えられます。
あくまで塗り絵はレクリエーションのひとつです。無理に塗り絵を進めるのではなく、好きなことやできることを楽しめるようにサポートすることを心がけましょう。
レクリエーションとして塗り絵を導入する際の準備
介護現場へ塗り絵を導入する際には、いくつかの準備が必要です。高齢者みんなが楽しみながら塗り絵に参加できるように、ポイントをしっかり押さえておきましょう。
絵柄を複数用意する
塗り絵をレクリエーションとして導入する際には、絵柄を複数用意することが大切です。個々の好みや身体機能が異なるため、選択肢を増やすことで参加意欲を高められます。
もしも、塗り絵が簡単すぎるあまり、自尊心を傷つけてしまったり、難しすぎてモチベーションが下がってしまったりすると、塗り絵自体に拒否反応が出てしまう可能性もあるため、さまざまな絵柄を用意して対応できるようにしておきましょう。
また、初級者向けから上級者向けまで、あらゆる難易度を揃えておけば、徐々に難易度を上げられるため、その都度達成感を得られやすくなります。
色鉛筆やクレヨンを揃える
色鉛筆やクレヨンも忘れずに揃えておきましょう。塗り絵を塗るものは、色鉛筆だけでなく、クレヨンでもOKです。クレヨンであれば筆圧の点から色鉛筆が難しい方の場合でも、塗りやすくなります。
また、その際は握りやすい太めの色鉛筆やクレヨンを選ぶことで、手指の力が弱まっている方でも扱いやすくなります。さらに、安全性も考慮し、無毒性の素材を選ぶと安心です。
重りやテープを用意する
塗り絵をする際に手が震えやすい高齢者や、手の力が弱くて色鉛筆が安定しない方には、重りやテープを使うことが効果的です。テープや重りを使って紙を机に固定することで、紙が動かずに集中して塗り絵を楽しめます。これらの工夫により、塗り絵の時間がよりスムーズで楽しいものになるでしょう。
高齢者向けの塗り絵の絵柄の例
塗り絵を介護のレクレーションとして導入する際、絵柄の選び方は非常に重要です。高齢者が楽しめるような多様な絵柄を用意することで、参加者の興味を引き出し、活動の効果を最大限に引き出せます。
高齢者向けの塗り絵の絵柄の例をいくつかご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
季節の植物や行事の絵柄
季節の植物や行事の絵柄は、塗り絵を通じて季節感を味わえるため、非常に人気があります。
たとえば、春なら桜・鯉のぼり、夏なら七夕・ひまわり、秋ならもみじ・お月見、冬なら椿・正月などが挙げられます。ほかにも、カレンダー付きの塗り絵にするのもひとつの手です。
こうした季節の変化を感じる絵柄は、季節ごとの行事や自然の美しさを再認識するきっかけにもなります。さらに、馴染み深い絵柄を見ることで、思い出話に花が咲くこともあるでしょう。昔の思い出を互いに語り合いながら塗り絵を進めることで、コミュニケーションの促進にもつながります。
季節の植物や行事の絵柄は、高齢者にとっても心地よいものであり、塗り絵の時間をより充実したものにしてくれます。
動物の絵柄
動物の絵柄は高齢者に非常に人気があります。たとえば、犬や猫、鳥などの身近な動物から、クマやライオンなど動物園でお馴染みの動物であればイメージしやすく、会話のきっかけにもなるでしょう。
また、動物の塗り絵は細かい部分が多く、集中力を高める効果も期待できます。動物の絵柄を選ぶ際は、リアルなものからキャラクター風のものまで、さまざまなタイプを用意すると良いでしょう。
乗り物の絵柄
乗り物の絵柄も高齢者にとって親しみやすい絵柄のひとつです。たとえば、昔懐かしい蒸気機関車やクラシックカーなどが挙げられます。これらの絵柄は、過去の思い出を呼び覚まし、会話のきっかけ作りとしても効果的です。
さらに、乗り物の絵柄は比較的シンプルで、色を塗る箇所が明確なので、塗りやすいというメリットもあります。ただし、見本がないと色を決めづらい場合もある点には注意が必要です。
食べ物の絵柄
食べ物の絵柄は、高齢者にとって非常に親しみやすいテーマです。とくに、季節の食べ物や昔から馴染みのある料理の絵柄は、色のイメージがつきやすく思い出を呼び起こす効果があります。
たとえば、秋には栗や柿、冬にはお餅や鍋料理など、季節ごとに異なる食べ物の絵柄を用意すると、その時期特有の話題が広がりやすくなるでしょう。また、食べ物の絵柄は色使いが豊富で、楽しみながら塗り絵ができます。色鮮やかに仕上がるため、完成したときの達成感も大きいでしょう。
塗り絵を介護の現場で取り入れてみよう
塗り絵は介護の現場で手指の運動や脳トレ、気分転換といった多くの効果が期待できます。高齢者向けに導入する際は、適切な難易度や色の選択肢、季節感を考慮し、塗り絵が難しい方への配慮も忘れないことが大切です。
また、絵柄や道具の準備も重要です。季節の植物や行事、動物、乗り物、食べ物など、興味を引く絵柄を選びましょう。これらのポイントを押さえることで、塗り絵を楽しく効果的なレクリエーションとして提供できます。
介護の現場に塗り絵を取り入れ、利用者の生活の質向上に役立ててください。
あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長