お役立ちコラム

介護職は、さまざまな職種と連携しながら介護サービスを提供する職種です。ただし介護は特定の利用者にとても近いポジションで、その人の食事や入浴、排泄といったプライバシーに関わるデリケートな一面もあります。それだけに、ほかの職種にはみられないような心構えが必要です。

ここでは、介護職に携わろうとする人に必要な心構えや接遇について解説します。

新人必見!介護職に必要な7つの心構え

ほかの職種と同じように、介護職にも必要な心構えがあります。ただし職種の特性から、ほかとは異なるものもあるようです。ここでは、介護職に就きたいと考えている人に知っておいてほしい、7つの心構えを解説します。

報連相を心がける

介護の現場では、報連相(報告・連絡・相談)が欠かせません。ケア自体は単独で行うことが多いものの、介護の仕事はチームで行うためです。

自分が担当している間の出来事や様子は、他の介護職が円滑に業務を遂行できるよう、しっかりと報告・連絡・相談することが求められます。

体調管理と感染予防に気を配る

介護職に就くのであれば、自身の体調管理はもちろん普段から感染予防への配慮が必要です。介護職では、疲労や睡眠不足などのために起きたミスが利用者の命に関わることもあり得ます。

近年は、新型コロナウイルスやインフルエンザなどの感染症対策が重要視されています。責任を持って職務に当たるため、体調管理と感染予防を徹底しましょう。

利用者中心のケアを行う

介護職には、利用者を中心とする適切なケアサービスの提供が求められます。

介護の現場では、突発的な事態では戸惑うことがあるかもしれません。そのような際は、利用者の意思を尊重する観点から判断しましょう。ただし、すべての要望を聞き入れると、介護職本来の「利用者の自立支援」から遠ざかることもあるでしょう。利用者の状態や意思、環境などの要素を総合的に判断することが大切です。

仕事や利用者を早く覚えられるよう努める

利用者との信頼関係を築くためには、仕事の内容や利用者の顔と名前を覚えることが重要です。ケア上の注意点や必要な介助の種類などは、利用者によって異なります。なかには「やってはいけないこと」もあるかもしれないため、間違いなく覚えることが必要です。

そのためには、聞いて覚えるだけでは難しいかもしれません。ノートなどにしっかりメモをとり、スキマ時間などで見返すといった努力も必要でしょう。

自己研鑽を忘れない

介護職には、利用者により適切な介護サービスを提供できるよう日頃から自己研鑽を忘れない姿勢が求められます。

介護の現場では、自分の知っていることだけをすればよいわけではありません。状況の変化によって、新たな知識や技術が必要とされることも十分あり得ます。さまざまな変化を想定し、必要と感じる知識・技術をできるだけ早くに身につけたいものです。

利用者と個人的な関わりを持たない

介護の現場では、利用者との個人的な関わりは避け、公私混同してしまうことは避けなくてはなりません。利用者と介護職の関係は、あくまで仕事上のものです。公私混同は誤った判断にも繋がりかねないため、注意しましょう。

具体的には、住所や電話番号を利用者へ伝えたり、逆に利用者から連絡先を教えてもらったりするケースなどが該当します。連絡は事業所を通しておこない、利用者と適切な関係を気づくことが大切です。

社会人として当たり前のことを徹底する

介護職は、当然ながら社会の一員です。社会人に求められる「当たり前のこと」は、徹底しましょう。

たとえば遅刻や欠勤をしない、敬語を適切に使う、約束を守る、職場のルールに従うといったことは、勤務にあたって日頃から心がけておく必要があります。

介護職は利用者だけでなく、その家族や医師など外部の関係者などとも関わる職種です。いつ、どのような事態においても社会人として恥ずかしくない振る舞いができるよう、日頃から備えましょう。

介護職なら知っておきたい接遇5原則

ここでは、介護職が知っておきたい接遇の5原則について解説します。利用者はもちろんその家族や、協力する介護スタッフ、上司、医師や看護師といった外部の関係者といった人と接するときのルールを心得ておく必要があるでしょう。

以下で、詳しく解説します。

身だしなみ

人と接するとき、まず目に入るのは身だしなみです。多くの施設では介護職に制服が支給されますが、清潔で汚れがない制服を決められた通りに着用しましょう。ほかにも髪がボサボサでないか、余計なアクセサリーを身につけていないかなども重要です。

身だしなみには、男性・女性で異なるポイントがあります。男性であればひげや鼻毛の剃り残しがないように、女性であればメイクは控えめにするよう、注意してください。

表情

身だしなみと同じように、目に入りやすいのが表情です。誰もが接遇において重要と理解しているものの、意識的に表情をコントロールできているという人は少ないかもしれません。「表情が冷たい」と利用者から避けられてしまうのは、介護の現場でマイナスです。

明るい表情でいるためには、口角を上げて目尻を下げます。近年はマスクをする場面も多いため、コミュニケーションでのアイコンタクトが求められることもあるでしょう。鏡を見ながら練習するなどして、いつでも自然に笑顔でいられるよう努めたいものです。

挨拶

接遇では、挨拶も重要なポイントです。高めのトーンで適切な音量の挨拶をすれば、相手に好印象を与えられます。利用者や家族、ほかのスタッフも、挨拶した人を好意的に感じるでしょう。

挨拶では、声だけでなく体の向きや目線も重要です。体を相手に向けて相手の目を見て、忙しいときほど丁寧に挨拶すれば、相手の好感度もきっとアップするでしょう。

話し方

相手に合わせた言葉のコミュニケーションが求められる介護の現場では、適切な話し方が求められます。ここでいう話し方とは、「言葉遣い」「言葉選び」「適切な敬語」「声の大きさ」「声のトーン」などさまざまです。

上司への報告であれば、事実を客観的に述べるだけでよい場合もあります。利用者の介助では少しでも快適に生活できるよう、こちらのお願いをスムーズに受け入れてもらうような配慮が必要です。ただ多様な話し方ができたり理解していたりするだけでなく、状況に合わせてうまく使い分けられることが求められます。

態度

態度とは、勤務中の歩き方や立ち姿、ものの渡し方といった立ち居振る舞い全般を指します。人によって態度のクセがあることも少なくなく、自分ではなかなか気づきづらいものです。態度のクセを改善するためには、長期間にわたって根気強く意識する必要があります。

具体的には、「立つときはかかとをそろえる」「背筋を伸ばす」「話すときは相手の目を見る」などです。接する相手に敬意を払い、自身の態度を顧みるよう努めましょう。

介護職として働く前におすすめの準備

介護の仕事は「体力勝負」と言われますが、知識やスキルも同じように重要です。

ここではあえて、介護職として働く前準備におすすめしたいポイントを解説します。勤務開始後に戸惑うことのないよう、入念に準備して備えましょう。

体力作りをする

介護職には、一定の体力が求められます。掃除・洗濯・買い物といった生活介助だけでなく、食事・入浴・排泄・移乗・更衣といった身体介助に負担を感じることが多いためです。

体力作りには、筋力をつけるスクワットや腕立て伏せ、うつ伏せで直角に曲げた肘と足の爪先で全身を持ち上げるプランクなどが適しています。持久力をつけるまたは腰痛の予防にはストレッチやウォーキングも効果的です。

体力作りは、継続してこそ効果を発揮します。今日だけ激しくではなく、簡単でも効果のあるメニューを継続的に行うよう努めましょう。

少しでも知識を身につける

介護職として働くとき、担当できる利用者を選ぶことはできません。勤務の前段階である今こそ、認知症などの疾患や福祉用具など、さまざまな知識を少しでも身につける絶好の機会です。

基本的な身体介護技術や事故防止のためのポイント、レクリエーションの企画・運営など役立つ知識などは多岐に渡ります。必要と思うことから始め、じっくり身につけていきましょう。

介護技術を予習する

介護職として勤務を始めれば、さまざまな介助の場面に直面します。どのような利用者にも適切な介助ができるよう、しっかり予習しておきましょう。

とくに体力を必要とする身体介助には、ケアがラクになるちょっとしたコツもあるようです。人間の骨格など体の構造を活かしたボディメカニクスは、参考になるでしょう。

インターネット上には、文字だけでなく図解や動画でわかりやすく解説しているコンテンツもあります。利用できるものを利用し、少しでも勤務に役立つ技術を身につけておきましょう。

介護職の心構え・心得に関するよくある質問

介護職に就くにあたっては、ほかにも気になることがあるでしょう。

ここでは、代表的な3つの質問に回答します。もしかすると、面接や試験に役立つことがあるかもしれません。介護職の心構えとして、ぜひ参考にしてください。

介護の仕事で大切なことって何?

介護の仕事で大切なことには、次のようなポイントが挙げられます。

  • 利用者を尊重する
  • 気配りができる
  • 臨機応変に対応できる
  • 人と接することが好きである

利用者に近い位置で接する介護職には、小さな変化にも気づける観察力や利用者の介護にやりがいを感じられる気持ちも重要です。

介護の三原則って何?

介護の三原則とは、デンマークで提唱された「高齢者福祉の三原則」を指します。具体的な内容は、以下の通りです。

  1. できる限り在宅でそれまでと変わらない暮らしができるよう配慮する(生活の継続性)
  2. 高齢者自身が生き方や暮らし方を決定し、周囲はその決定を尊重する(自己決定の原則)
  3. 本人ができることまで手助けすると能力低下を招くためやってはならない(残存能力の活用)

どれも介護の現場では重要な原則です。介護職に携わる以上は、常に心がけておきたい原則ともいえるでしょう。

介護のプロとしてやってはいけないこととは?

介護職が携わることのできる業務は、あくまで「介護」です。たとえば糖尿病の治療で用いられるインスリン注射や、便を排出させる摘便、寝たきりの高齢者に起こりやすい床ずれ(褥瘡)の処置といった医療行為は禁止されています。

また、「無視する」「無関心または冷淡な態度をとる」「子供扱いする」といった利用者を尊重しない態度をとるべきではありません。介護を仕事とするプロである以上、常に自身を振り返り戒める必要があるでしょう。

介護職に必要な心構えを知っておこう

介護を必要とする高齢者が増え続ける一方、介護の現場は慢性的な人員不足です。しかし、誰でも介護職が務まるわけではありません。介護職にも、就業の心構えが求められます。

ほかにも身につけておきたい接遇や介護に関する知識・技術、身体介助に耐えうる体力作りも重要です。勤務に就く前の今こそ、これらを正しく身につけましょう。

介護職の心構えをチェックし、これから介護職でキャリアアップしてください。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長