お役立ちコラム

高齢になるほど、生活に欠かせないなにげないことが難しくなってきます。とくに足腰が弱ってくると、歩いたり一定時間たち続けたりしにくくなるため、一人で買い物に行けないという高齢者も少なくありません。このようなときに役立つのが、高齢者向けの買い物代行サービスです。

この記事では高齢者が利用できる買い物代行サービスの概要とメリット、注意点を解説します。

高齢者が買い物難民になる原因

買い物難民とは、さまざまな原因によって気軽に食料品や日用品が調達できない人々のことです。2010年ごろから、書籍や農林水産省の調査の影響で話題となりました。加速する高齢者人口の増加によって、今後も問題はより深刻化すると考えられます。

買い物代行について知る前に、まずは高齢者の買い物が難しくなる原因をみていきましょう。

高齢者は移動が難しくなる

一般に、人間は高齢になるほど身体能力が低下します。素早い動作はもちろん、立ち上がったり、歩いたりするが難しくなるため、し屋外へ出かけることも少なくなりがちです。郊外に住む高齢者に欠かせない自動車も、「事故を起こす前に……」と免許証を返納すれば、運転できなくなります。

バスやタクシーなど公共の交通機関は多くの自治体で割安に利用できますが、持って帰ることを考えればあまり大量の買い物はできません。

買い物は「調達する」だけでなく、移動や運搬の手間や費用がかかります。しかし必要なものは調達しなければ暮らしていくことさえままなりません。高齢者にとって買い物は生きるために必要でありながら、大きな負担でもあります。

スーパーなどが減っている

以前からよく利用していた商店街や中小規模のスーパーマーケットが減少傾向にあるのも、高齢者の買い物を難しくしている原因の一つです。とくに地方では、郊外のに大型ショッピングモールやスーパーマーケットとの競争により、閉店や移転を余儀なくされるケースが増えています。

さらに当該エリアの過疎化がすすみ、結局は撤退してしまう大型スーパーマーケットもあるようです。中小スーパーマーケットが閉店・移転し、さらに大型スーパーマーケットまで撤退すれば、そこに住む高齢者は買い物する場所を失います。

撤退によって過疎化が加速すれば、買い物をする場所が減ったとしても不思議ではないでしょう。

支援が不足している

農林水産省が2023年(令和5)年4月に公表した「『食料品アクセス問題』に関する全国市町村アンケート調査結果」によると、いわゆる買い物難民に対する対策を必要としている市町村が全体の87.2%にのぼる一方、対策を「実施していない」「実施を検討している」市町村は合計で26.4%と全体の4分の1以上とされています。

しかし「実施している」割合は2020年(令和2年)調査からほぼ横ばいです。年々、総人口に占める高齢者の割合は上がる一方の現状を考えれば、現在も買い物難民は増える傾向にあり、支援は現在不足しており、今後不足の度合いはより大きくなると考えられます。

過疎化が進む地方において、事態はいっそう深刻です。少しでも早い対策が求められる状況といえます。

参考:農林水産省「『食料品アクセス問題』に関する全国市町村アンケート調査結果」

高齢者が利用できる買い物代行サービス

社会の変化によって買い物できる場所が減っているとしても、高齢者は何らかの方法で生活に必要なものを調達しなければなりません。そこで考えたいのが、高齢者でも利用できるさまざまな買い物代行サービスです。

買い物代行サービスのタイプはさまざまですが、ここではそのうち代表的なものを3つ解説します。

移動販売車

1つ目は、小売店がさまざまな商品を運んで販売しにきてくれる「移動販売車」です。運営しているのは主にスーパーマーケットやコンビニエンスストアなどの小売店ですが、中小の小売店やJA、NPO法人が携わっているケースもあります。

移動販売車のメリットは、高齢者の住まいの近くまできてくれるところです。ごく近い場所なら、実際に販売車で商品を見て、自分で選ぶ買い物がしやすいでしょう。

移動販売車は、赤字に陥りやすいのがデメリットです。黒字を目的とせず、ブランドの定着やなじみを持ってもらうための告知手段として運営している場合もあります。

配送サービス

2つ目はネットスーパーや宅配サービスといった、「配送サービス」です。配送サービスは、外出が厳しく制限された新型コロナウイルスの感染拡大への対策として用いられました。高齢者にとっても外出しないで買い物ができるため、大いに役立つ方法といえます。

配送サービスも、スーパーマーケットやコンビニエンスストア、JAなど運営主体はさまざまです。対象のエリアが限定される場合も多いため、利用の際はまず自宅がエリア内かどうかを確認する必要があります。

買い物そのものの代行

買い物そのものを代行してもらうのも、1つの方法です。近所に家族がいれば家族に依頼したり、地域にボランティアや買い物代行サービスを運営する事業者があれば代行してもらえます。

提供されるサービスや利用形態は、さまざまです。買い物を代行してもらうには、現金などを預け、依頼したものをきちんと届けてもらうのが前提となります。信頼できる、たしかな事業者を選びましょう。

ただ、利用者が要支援・要介護の認定を受けていれば、訪問介護サービスを利用可能です。ケアマネジャーの立てたケアプランに基づき、生活支援サービスの1つとして買い物を代行してもらえます。

高齢者が買い物代行サービスを利用するメリット

買い物に困っている高齢者がかいもに代行サービスを利用すると、さまざまなメリットが得られます。必要なものを調達できるだけでなく、身体面や精神面に与える好影響も少なくありません。

ここでは高齢者が買い物代行サービスを利用すると得られるメリットを解説します。

身体的な負担がない

まず挙げられるのは、買い物場所まで移動したり、レジに並んだり、買った品物を自宅まで運んだりといった身体的な負担がないことです。とくに運動機能や認知機能が低下した高齢者にとっては、楽ができるだけでなく、安全で安心な点も大きなメリットといえます。

遠方へ徒歩で行く場合、とくに買ったものを運ぶ帰り道の途中で疲れ果ててしまい、歩けなくなることもあるでしょう。途中で事故に遭ったり、ケガをしたりする可能性もあります。認知機能が低下していたら、道に迷ってしまうかもしれません。

買い物代行サービスには、高齢者を守るという一面もあります。

自分で選んで買い物ができる

買い物代行サービスでは、買うものを自分で詳しく指定できます。たとえば高齢者が居住型の施設に入居すると、以降は食事・入浴・排泄などさまざまなことを介護するスタッフにやってもらえます。

必要なものも伝えるだけで、自動的に買ってきてもらえる場合もあるでしょう。一方で、たくさん並ぶ品物のなかから、どれがいいか考える・悩む・選ぶという楽しみはありません。

買い物代行サービスであれば、商品を選ぶ楽しみはもちろん、事前に買うものをよく考えるため、衝動買いによるムダ使いを減らすこともできるでしょう。

介護保険を利用して買い物代行する流れ

介護保険を利用して買い物を代行してもらうには、さまざまな制限や手順に注意する必要があります。それは、買い物代行が「訪問介護に含まれる生活支援の一環」であるためです。

介護保険による買い物代行サービスを利用する手順は、以下の3ステップです。

  • ステップ1.ヘルパーに訪問してもらう
  • ステップ2.買い物リストと代金を預ける
  • ステップ3.自宅に品物を届けてもらいお釣りの精算をする

流れに沿って、詳しく解説します。

ステップ1.ヘルパーに訪問してもらう

介護保険を利用した買い物代行は、訪問介護のなかの生活支援という介護サービスの一つです。

ヘルパー(訪問介護員)は、ケアマネジャーが作成しケアプランに沿って、介護サービスを提供します。そのため、プランにない急な買い物には対応ができません。買い物代行の日に合わせて、買い物リストや代金を準備しましょう。

ステップ2.買い物リストと代金を預ける

ヘルパーが訪問し、買い物に行くときは買い物リストと必要な代金を預けます。ここで注意したいのが「何でも買ってきてもらえるわけではない」ことです。これは介護保険を利用しているためで、買えるのは生活必需品または薬の受け取りに限られます。

生活必需品に含まれるのは、食料品や消耗品、台所用品などです。消耗品には、日常生活に必要な石鹸やトイレットペーパーなどが含まれます。

また薬の受け取りはあくまで「受け取りのみ」です。ヘルパーが代理で診察を受けたり、薬を処方してもらったりすることはできません。

ステップ3.自宅に品物を届けてもらいお釣りの精算をする

ヘルパーが買い物して、自宅に品物を届けてもらい、お釣りを精算すれば買い物代行は完了です。このとき、買ってきてもらった品物とレシートを照合し、預けたお金とレシートの金額、お釣りがあっているかどうかをよく確認しましょう。

悪意なく、間違ってしまうこともあります。あとから指摘すると、お互いに気まずくなって関係が悪化するかもしれません。今後の人間関係のためにも、しっかり確認する必要があります。

介護保険による買い物代行の注意点

介護保険による買い物代行は、公的なサービスです。そのため、民間の買い物代行とは違った制限があります。知らずに依頼して「代行できない」という残念なことにならないよう、注意が必要です。

ここでは、介護保険による買い物代行の注意点を解説します。

嗜好品は買い物の対象外になる

介護保険による買い物代行で依頼できるのは、一般的な日常生活に欠かせないものだけに制限されます。

食料品や、洗剤・トイレットペーパー・台所用品といった日用品は、なければ生活できなくなりますがお酒やタバコなどの嗜好品は、必須ではありません。そのため、介護保険による買い物代行できる品物からは除外されています。

遠方の店での買い物は依頼できない

なかには遠方の店にしか売っていない「こだわりの品」を手に入れたくなることがあるかもしれません。介護保険を使った買い物代行では、原則として利用者の「日常生活の範囲内」でのサポートに限られます。日常的な行動範囲を超える遠方に出かけ、買い物代行できないことにも注意しましょう。

ただ、品物によってやむを得ず遠方に行かざるを得ない場合は、自治体の判断によって承認される場合もあるようです。事前に確認し、判断を仰ぎましょう。

買い物が難しくなったら代行を利用しよう

高齢になれば、自ずと身体機能は低下します。買い物や洗濯、掃除、調理といった生活に欠かせない動作さえ難しくなる場合もあるでしょう。とくに買い物は、そのような高齢者にとって屋外で長時間歩いたり立っていたり、重い荷物を持ったりと大変な作業です。

最近は移動販売者や配送サービス、買い物代行など身体的な負担がなく、自分に必要なものを買えるようになってきました。介護保険における生活支援の一環として、ヘルパーなどの介護者に代行できるサービスもあります。

介護保険の適用による制限はあるものの、移動の難しい高齢者にとって買い物代行は、まさに「生きるために必要なサービス」です。あなぶきの介護では、住み慣れた場所での生活をお手伝いする訪問介護サービスを提供しています。買い物が難しくなったら無理をせず、お気軽にご相談ください。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長