お役立ちコラム

介護施設を選ぶ上で、入居者本人と家族が互いに納得できる立地は重要なポイントです。立地によって生活環境は大きく変化し、場合によっては本人の生活の質(QOL)にも影響します。本記事では、介護施設選びで大切にしたいポイントや探すときの注意点を説明します。費用や特徴についても解説していますので、介護施設を探している方はせび参考にしてください。

介護施設選びにおいて「立地条件」は重要な要素

介護施設を選ぶ際に重要視するポイントは人によってさまざまですが、「立地条件」は重要な要素のひとつです。

体制が整って気に入った施設があったとしても、遠方だったり周辺環境が悪かったりしては意味がありません。ご本人はもちろん、ご家族も満足できるような介護施設選びには、立地条件が大きなポイントになるのです。

介護施設選びで大切な5つの立地条件

介護施設を選ぶうえで、どのような立地条件を選ぶべきか、大切にしたい条件を5つにまとめました。それぞれのメリットやデメリットも含めて、介護施設選びの参考にしてください。

立地条件1.家族の家から近い

介護施設の立地と身近な家族の家との位置関係は、入居者本人の生活の質にもかかわる大切なポイントです。頼れる近親者の近くで生活することは、本人にとって心理的に安心感があるでしょう。

メリットには、家族が面会する際の気軽さが挙げられます。ひんぱんに会いに行ける距離であれば、毎日様子を見に行ったり、仕事帰りに面会をしたりすることも可能です。買い物や受診などの外出にも付き添いやすく、緊急時に駆けつけるのも早いこともメリットとしてあげられます。

デメリットでは、本人の自宅から離れてしまう場合に、環境が変化してとまどうことが考えられます。急激な変化があると、本人のストレスが増大する可能性があるため、なるべく自宅に近い環境に整えていくことが望まれます。

立地条件2.これまで暮らしていた自宅から近い

慣れ親しんだ地元で生活したいというのは、誰もが願う当たり前の感情でしょう。自宅の周辺で生活ができれば、今までと同様のライフスタイルが継続できます。

メリットは、かかりつけ医への受診や趣味活動を継続できるなど、今までと変わらない生活を送れるところです。いつもの公園で散歩をしたり、なじみの喫茶店に出かけたり、土地勘のあるエリアなため外出しやすいことも挙げられます。外出の意欲を持つことは、身体機能維持のためにも重要なポイントです。また、地域のコミュニティなども継続した関わりが持てるため、友人やご近所との付き合いも保つことができます。

デメリットには、限定されたエリア内で介護施設を探すことになるため、地域内に施設数が少ない場合には、希望の条件が満たせない可能性があるでしょう。

立地条件3.自然に囲まれている

郊外の自然環境豊かな介護施設は、精神衛生上とても良いものです。自然に触れることで、精神的な安定が得られ、心に安らぎを得られます。街中にある生活利便性の高い施設もメリットがありますが、郊外の施設の方が土地取得のコストが抑えられる分、入居費用も安く抑えられる可能性があります。部屋の日当たりが良かったり、窓からの景色が落ち着いていたり、自然に恵まれた環境は孤独感の解消にも役立つでしょう。

メリットは、静かな環境で落ち着いて生活できることと、地下が安い分入居費用が抑えられることです。また園芸や畑仕事などを趣味にしている場合は、施設内でも自宅と同じように楽しむこともできるでしょう。

デメリットには郊外であることで、買い物や通院が不便になったり、家族や友人が訪問することが難しくなったりすることが考えられます。仮に交通の便が不便でも、施設介護施設において送迎のサービスがあれば心配ないでしょう。

立地条件4.周辺施設が充実しており交通アクセスが良好

周辺に役所や病院、公共施設などがあると、生活の質は向上しやすいでしょう。商業施設などが近くにあれば、外出の機会も保たれやすく、心身共にいい状況を生み出すことができます。また交通アクセスが良いことでも外出の負担が少なくなることが考えられます。

メリットは、自宅から離れている家族も面会に行くことが容易であること、買い物や受診などの外出がしやすいことが考えられます。

デメリットは、アクセスの良い場所は当然土地価格も高いため、入居費用が高くなる可能性があります。

立地条件5.入居者本人のこだわりを尊重できる

入居者本人の生活上のこだわりを尊重できるような、希望に沿った立地条件を探すことも重要です。例えば「海が見える部屋に住みたい」とか「温泉の近くに住みたい」など、自然豊かな環境を望むのであれば、日本らしい四季のうつろいと感じることができます。またかかりつけの医師に変えたくないので地元を離れたくない、いつもの散歩ルートを変えたくないなど地元へのこだわりもあるでしょう。

メリットは、生活の質を向上させて精神的な安定が期待できるところです。落ち着いた暮らしは、認知機能の維持向上をうながす働きも期待できるでしょう。

デメリットは、こだわりの立地が遠方にあった場合、家族や友人の訪問が難しくなる可能性があることです。

立地条件で介護施設を探す際のポイント

立地条件を優先に介護施設を探す場合にはどのような点に注意するべきか、ポイントをしぼって解説します。

介護施設は、一度入居してしまうと変更するのに大きな手間と費用がかかるものです。注意ポイントを参考に、慎重な介護施設選びが重要です。

本人の希望を確認して優先すべき立地条件を見極める

介護施設を選ぶ際には、まずは本人の希望を確認しましょう。どのような場所で、どのような暮らしがしたいのかを確信した上で、立地条件を検討します。

住み慣れた土地で、なじみの環境の中で生活したいという希望であれば、自宅周辺での介護施設探しになるでしょう。本人の中で、ライフスタイルや住環境の希望があれば、今後の人生を送るためにふさわしい立地を見極める必要があります。

介護施設の種類を踏まえて立地選びを検討する

介護施設の選択は、立地条件だけでなく、ほかの要素も検討する必要があります。そのひとつが「介護施設の種類」といえます。

要介護状態 自立状態
公共施設 特別養護老人ホーム
老人保健施設
介護療養型医療施設 など
軽費老人ホーム
ケアハウス など
民間型施設 介護付き有料老人ホーム
住宅型有料老人ホーム
グループホーム など
サービス付き高齢者向け住宅
健康型有料老人ホーム
シニア向け分譲マンション など

要介護状態なのか自立状態なのか、また公共施設か民間施設かによって、主な介護施設を大きく分類したものが上の表です。

介護施設はその種類によって、目的や入居条件に違いがあります。必要となる費用も大きく変わりますので、それを踏まえた介護施設選びが必要になります。

立地条件で介護施設を探す際の注意点3つ

立地条件で介護施設を探す際に、注意するべきはどのようなことか、ポイントを3つにまとめました。介護施設の選択はその後の生活に大きくかかわり、場合によっては健康状態や認知機能も左右されることがあります。しっかり確認をして、後悔のない介護施設選びをしましょう。

注意点1.費用を継続的に支払える場所かどうか確認する

介護施設は、その立地によって費用が大きく変わります。駅や商業施設の近くや交通アクセスのよいところは、土地の取得費用も大きくなりがちです。逆に郊外にある介護施設は、比較的安価に土地が取得できるでしょう。建設にかかる費用が入居費用にはね返るため、利便性の高い場所ほど入居費用は高くなる傾向があります。

ほかにも費用を左右する要素として、介護施設の種類や設備の充実度なども挙げられます。公的施設であれば、一般的に費用を安くおさえやすいものです。逆に豪華な設備や手厚いケアなど、充実したサービスを提供する介護施設は高額になるでしょう。

初期にかかる入居費用だけではなく、月額費用や諸経費なども考慮して、継続的に支払えるかどうかを確認しましょう。

注意点2.周囲環境や施設の雰囲気は必ずチェックする

入居前には、必ず介護施設の周辺環境をチェックしましょう。周辺に大きな商業施設がある場合、利便性は高いものの、騒音や渋滞などの影響がある場合もあります。郊外に位置している場合は交通手段がなく、アクセスが悪いことがあります。面会に公共交通機関を使用する場合は、徒歩圏内に駅やバス停があるか確認する必要があるでしょう。

また、施設の雰囲気も必ずチェックしましょう。介護施設は生活の場でもあります。介護施設全体の雰囲気や、介護スタッフの対応など、見学をすることである程度の雰囲気が見て取れるでしょう。入居している高齢者がどのような表情をしているか、何をして過ごしているかなど、見学の際にチェックしてみましょう。

注意点3.変化に弱い入居者の場合住み慣れた環境の近くを選ぶ

環境の変化は、高齢者だけでなく全ての人に大きなストレスになるでしょう。特に認知症を抱える人にとって、環境の変化は大きな負担になります。ストレスから認知症の症状が悪化する可能性もあり、注意が必要です。

ストレスを最低限に抑えるためには、なるべく住み慣れた自宅に近い環境の施設を選ぶことが理想的でしょう。例えば、畑仕事が日課だった人には、田園風景が見渡せる環境が理想的でしょう。

窓から見える景色や、通い慣れたスーパーやコンビニエンスストアなど、自宅周辺の環境と似たような光景が広がる施設を選択すると、混乱を最低限に防げるでしょう。

地域別|介護施設の特徴と費用

施設のある地域によって、介護施設の費用は大きく変わります。ここでは地域別に介護施設の特徴と費用をまとめてみます。

「都市部」の介護施設の費用と特徴

都市部の特性は、多くの人が狭い範囲に集約して生活していることです。6都道府県には日本の総人口の約6割が住んでおり、65歳以上高齢者で見ても約4割が居住しています。都市部では交通や物流が発達し、企業活動が活発で生活インフラは充実していますが、その反面地価が高くなっています。在宅要介護者の人口が多いものの、地価の影響もありサービスの利用環境が整っているとは言いがたい状況にあります。また、地域とのつながりも希薄な傾向が強い点も特徴です。

都市部のメリットには、地域包括ケアなど最先端の介護が地方よりも早く導入されるという傾向があることが挙げられます。

「郊外」の介護施設の費用と特徴

郊外型介護施設は、都心と地方のいいとこどりと言えるかもしれません。比較的地価も安く、大規模の介護施設が展開されているケースが多く見られます。複数の事業所を展開する大きな事業所であれば、複合的なサービスを受けることができるでしょう。

「地方」の介護施設の費用と特徴

地方の過疎化しているエリアでは、商業施設や医療機関なども減少傾向の地域もあります。日常生活に必要な買い物には、マイカーが必須なエリアも多いです。高齢になって運転ができないと、非常に不便な生活になることも予想されます。公共交通機関の整備も少なく、数時間に1本しかバスが通らないというエリアもあるでしょう。

また地方では働き手が不足しているため、介護サービス事業所の人手不足はより深刻化を増していると思われます。

地方の介護施設は、生活コストが抑えられる分、費用も都市部よりは控えめにおさまるケースが多いでしょう。

5年後、10年後も、後悔しない施設選びを

介護施設の立地条件は、生活の質に大きく影響します。一度入居をしてしまうと「気に入らないのでやっぱり違うところへ変えたい」と思っても、そう簡単にはいかないものです。それだけに、入居前の下見や事前調査はその後の生活に重要な意味を持ちます。

介護施設選びには、家族の住居との距離やライフスタイル、費用などさまざまな要素が影響します。入居する本人が考える「理想の暮らし」をなるべく実現できるように、しっかりと比較検討して介護施設を選ぶとよいでしょう。

住環境のよい施設は満足度が高く、本人の生活の質の向上にもつながります。5年後、10年後の生活を見据えて、満足のいく施設選びをしましょう。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長