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お役立ちコラム
2022年6月1日
介護施設選びで食事は重要。入所前に確認しておきたいポイントを解説
介護施設の生活のなかで、利用者にとって大きな楽しみの一つが日々の食事です。介護施設の食事提供に対する取り組み方次第で、利用者の満足度が大きく変わってきます。この記事では介護施設を選ぶ際に確認しておきたい、食事に関する15のチェックポイントを紹介します。
目次
介護施設の献立表3つのポイント
家族や本人の介護施設への入所を検討している際に、介護施設選びで施設に見学にいくことがあるでしょう。その際、毎日の楽しみである食事は重要なチェック項目です。
介護施設の献立表をチェックする際には、主に以下の3つのポイントについてチェックするのが賢明です。
- ポイント1.献立の名称はわかりやすいか
- ポイント2.月間・週間の献立表はよく練られているか
- ポイント3.朝食が簡素になり過ぎていないか
それぞれのポイントを、掘り下げて見ていきましょう。
ポイント1.献立の名称はわかりやすいか
介護施設に見学に行った際には、献立表に記載されている料理の名称がわかりやすいかどうかをしっかりチェックしてください。
たとえば「フレンチっぽい」「イタリアンっぽい」といったカタカナばかりを並べた一見おしゃれな献立の名称を見ても、利用者さんがどのような食材をどういう風に味付けして調理したのかが想像できなければあまり意味はありません。
食べる人の食欲を刺激して、食事を楽しみにできるような献立名が理想的です。カタカナの名前にする場合は、簡単な説明があるかなど工夫があるかどうかをチェックしましょう。
ポイント2.月間・週間の献立表はよく練られているか
介護施設の見学に行った際には、週間や月間の献立表をしっかりと確認しておくことも大切です。
さまざまなタイプがいる利用者さんの好みに合う食事内容か、メニューはバリエーションが豊富にあるかなど、事前にしっかり確認しておくことで食事面での施設選びの失敗を防げます。
ポイント3.朝食が簡素になり過ぎていないか
介護施設の食事に関する準備の時間的な制約やそのためのスタッフの確保など、難しい条件が重なりがちなのが朝食です。そのため昼食や夕食と比べると、どうしても簡素になりがちな傾向が見られます。
やむを得ない部分もあるかもしれませんが、朝食のクオリティがどれだけ配慮されているかで、その介護施設の食事提供に対するスタンスが見えてきます。
朝食は、限られた時間に少ないスタッフによって準備されます。そのことを理解した上で、利用者さんのためにどれだけ手間をかけて工夫を凝らしているか、きちんと確認しておきましょう。
食事見学時の4つのポイント
介護施設選びとして食事を見学する際には、主に以下の4つのポイントをチェックすることが大切です。
- ポイント1.スタッフの介助は行き届いているか
- ポイント2.食器は使いやすいものが選ばれているか
- ポイント3.盛り付けに心配りがされているか
- ポイント4.食事の提供時間や環境・雰囲気はどうか
それぞれを詳しく見ていきましょう。
ポイント1.スタッフの介助は行き届いているか
介護施設の食事提供のリアルな情報を知るためには、実際の食事の時間に見学するのがおすすめです。食事の時間中にスタッフの介助はどこまできめ細かく行われているかなどを、実際に確認できます。
利用者さんのADL(Activities of Daily Living、日常生活動作の意味)によって、スタッフがサポートする範囲や方法などもさまざまです。
専門知識がなければ、詳しいことまでわからないかもしれません。しかし食事をしている利用者さんの表情や雰囲気が和やかで楽しそうかなどに注目すれば、適切なサポートかどうかの見当がつくでしょう。
ポイント2.食器は使いやすいものが選ばれているか
介護施設の食事見学においては、そこで使用されている食器に関して、どういうものが選ばれているかにも注目する必要があります。
高価なものである必要はないですが、利用者さんにとって使い勝手がよさそうな食器が使われているかがチェックポイントです。
重いものや持ちにくそうな形のもの、色目がよくないものなどが使われていると、利用者さんへの配慮が足りない可能性がありますので注意しましょう。
ポイント3.盛り付けに心配りがされているか
介護施設の食事見学では、配膳された料理がきめ細かく配慮され、丁寧に盛り付けられているかがチェックポイントです。
近年では「高齢者の食事はこうあるべき」といった固定概念にとらわれず、バラエティー豊かな献立を提供する介護施設が増加傾向です。
それと並行して、利用者さんそれぞれの健康状態に合わせた摂取カロリーや栄養バランスに配慮した調理や味付け、目を楽しませる盛り付けによって利用者が楽しく適切な食事がとれるような工夫が施される施設も増えています。
ポイント4.食事の提供時間や環境・雰囲気はどうか
食事が提供される時間帯が不自然ではないか、どういう環境でどのような雰囲気で食事が進んでいくかも重要なチェックポイントといえるでしょう。
いくら食事がおいしくても、あまりに早すぎる晩御飯や遅すぎる昼食など、食事提供の状況次第ではおいしさを充分に楽しめないかもしれません。また同じ献立であっても、清潔で明るいところのほうが、利用者さんはより「おいしい」と感じるでしょう。
介護施設の食事見学では、みなで和気あいあいと話をしながら食事を楽しめているかなどのポイントを押さえ、食事の提供時間や環境、雰囲気を確認するのがおすすめです。
食事提供の方法をチェック
介護施設の食事は、施設の体制によって提供の方法が異なります。大きく分けて「施設内で調理する場合」と「外部業者に委託する場合」があります。
介護施設の事情によって決まるものであり、それぞれにメリットと課題があります。場合によってはその2つの提供方法を併用する施設もあるでしょう。ここではそれぞれの提供方法のチェックポイントを見ていきましょう。
施設内で調理する場合
施設内の厨房で調理をし、配膳している介護施設には、何よりも出来たての温かい食事をおいしく味わえるメリットがあります。ただしそれだけの準備をするための人件費や材料費がかかるため、食事代の設定が高くなる傾向があります。
とはいえ、栄養バランスも配慮されたおいしい食事が提供されることは、利用者さんの日々の楽しみとなるでしょう。
また、厨房や調理スタッフが公開されることで、食事の提供者とそれを食する利用者さんとの距離が縮まり、安心感や信頼感が増します。
外部業者に委託する場合
介護施設内に充分な厨房設備がない場合や、利用者の費用負担を抑える場合は外部業者に委託して食事を作って届けてもらい、それを利用者さんに提供する介護施設老人もあります。
食事を外部業者に委託するとコストを抑えられるメリットがある一方で、冷凍の場合も多く、味のクオリティや盛り付けが施設内の厨房で作る食事に劣るケースもあるでしょう。
このように、食事の提供方法の違いによりそれぞれのメリットと課題が異なります。味のクオリティやきめ細やかな配慮を重視するか、コスト負担を重視するかを充分に検討しましょう。利用者さん本人の状況や考え方、思いに沿った施設を選択することが大切です。
食事サービスに対する苦情をチェック
介護施設では、利用者さんに対する介護サービスを優先することが求められます。利用者さんの食事提供のために割けるスタッフの数や予算枠には限りがあるのです。
いくらこだわりを持って食事を提供しても、そこには自ずと限界があります。そのため、利用者さん一人ひとりの好みに合わせることは、現実的には困難です。残念なことに「介護施設の食事はあまり美味しくない」などという苦情が寄せられることもあります。
その苦情にはやむを得ないものもありますが、内容次第では施設選びの要素として注意すべきものもあります。ここでは「味や献立の不満」および「サービス内容の不満」について、チェックすべき苦情を紹介しておきましょう。
味や献立の不満
提供される食事の味や献立の内容、見た目などに関する不満では、以下の項目は良い要素ではないので注意しましょう。
- 食材が柔らかすぎる/固すぎる
- 料理が冷めすぎている/熱すぎる
- 味が濃すぎる/薄すぎる
- メニューのバリエーションが少なすぎる
- ボリュームが少なすぎる/多すぎる
- 塩分量にバラつきが見られる
サービス内容の不満
食事の評価は、味や見た目だけで良し悪しが決まるものではありません。それに付随したサービスの内容も評価のポイントになります。食事のサービス内容に対する不満として、以下のような項目には注意しましょう。
- 食べ終わっているのに、いつまでたっても食器が下膳されない
- 配膳時、食器の内側や口が触れそうな部位に運ぶスタッフの手が触れている
- 髪の毛や虫など、何らかの異物が混入している
- 配膳の順序を間違えている
- 利用者に見合う食事の介助がなされていない
検討している施設にこのような食事提供にまつわるサービスに関して不満の声が上がっている場合、よく考えて結論を出しましょう。
高齢者食と介護食・治療食をチェック
介護施設に入所したときには問題なく食べられていた方でも、だんだんと「食べる」という行動に負担や困難が伴うケースも考えられます。
利用している介護施設で望ましい食事形態に対応できなければ、対応できる介護施設を健闘することになります。そのような不便を避けるためにも、介護施設に食事形態の幅広さがあるかどうかをしっかり確認しましょう。
高齢者食は食べやすく工夫されているか
高齢者食とは、人間の加齢に伴うさまざまな能力の変化に対応した食事のことです。例えば咀嚼力(そしゃくりょく)が低下している人のために、食べやすさにこだわってひと口サイズに食材の大きさを調整したり、程よくペースト状にしたりなどが挙げられます。
食欲が低下してしまった人に対しては、盛り付け方や彩りに工夫をしたり、香りが良い食材を使ったりなどで視覚や嗅覚から刺激することもできます。高齢者の栄養を充分確保するためには、自然と食欲が出るような食事環境を整えていることが大切です。
介護食・治療食は体調に合わせて考えられているか
介護食とは高齢者食よりも、さらにその人の状態にフォーカスして作る食事のことです。主に嚥下機能の低下や咀嚼力の低下を補えるように調理されます。
誤嚥(飲み込んだ際に食道ではなく誤って気管に入ってしまうこと)のリスクは、高齢者にとって切っても切れないものです。誤嚥性肺炎を起こせば、生命の危機に及ぶおそれもあります。それを防ぐためにも、利用者さんの状態に合った食事形態が大切です。
介護食には具体的に以下のようなタイプが存在します。
【ミキサー食】
食材に水分を加えてミキサーにかけ、ペースト食よりも液体に近いとろりとした状態の食事
【とろみ食・ゼリー食】
食材に葛粉や片栗粉などでとろみをつけ、食べやすくした食事。市販のとろみ剤を活用することもできる
【ペースト食】
食材に加える水分を極力抑えてミキサーでペースト状にした、ねっとりとした「粘度」が高い食事
【ソフト食】
よく煮込んだり茹でたりして、舌先で簡単につぶせるくらいに柔らかくした食事
【刻み食】
食材を小さく刻んだ食事
【水分補給食】
飲み物を水分補給がしやすいようにゼリー状にした食事
人間は加齢とともに嚥下機能が低下し、普通食を食べることが次第に困難になっていきます。栄養バランスの良い食事はもちろん大切ですが、食べやすさや飲み込みやすさも食事をとる上で重要なポイントです。
介護施設選びの際には、利用者さん本人の食べる力に見合う介護食が安定的に提供されるかどうかを必ず確認しておくことが大切です。
治療食とは疾病のある方のための食事で、療養生活を送るうえで病状を改善することを目的としています。治療食は、脳血管疾患・糖尿病・腎臓病など個々の疾病に合わせ、「糖尿病食」「減塩食」「腎臓病食」「アレルギー食」などがあります。
介護施設を検討する際には、これらを幅広く適切に提供できるのかをチェックしておきましょう。
セレクト食とイベント食をチェック
最後に介護施設の食事に関して、セレクト食とイベント食をチェックしておきましょう。
介護施設での生活は、自宅で暮らしていた頃に比べ外食する機会が少なくなる方もいるかもしれません。セレクト食やイベント食には、特別感があります。
セレクト食とは、前もって用意された複数の献立の中から、利用者さんの好みによって選べるメニューのことです。主菜(メインとなる食事)や麺の種類(例えばうどんかそばか)などを選べます。介護施設によっては、汁物や小鉢などの組み合わせを選べる場合もあります。
イベント食とは介護施設のイベントやレクリエーションの際に用意される、いつもとは趣きが違う食事です。
セレクト食は気分に合わせて選択できるか
セレクト食をチェックする際は、利用者さん自身が好きな食事を選択する、「選ぶ楽しみ」が持てるような内容になっているかどうかに注目しましょう。
介護施設での生活はどうしても受け身になりがちなので、セレクト食は「自己選択」という積極的なアクションができる良い機会です。その際に「選び甲斐がない」よりも「迷ってしまうほど選ぶのが楽しい」ことが大切です。
イベント食は季節の風物詩が感じられるか
イベント食をチェックする際のポイントは、やはり季節の風物詩が感じられるかどうかです。
介護施設での生活は、自宅にいた頃に比べて外出する機会が減ってしまいがちです。それだけ、季節の移り変わりを肌で感じる機会も減ってしまいます。
介護施設での暮らしの中に季節のイベントを取り入れることで、四季の移り変わりを感じられるようにすることは大切です。利用者さんの瑞々しい感性を呼び起こし、精神面でのプラスも期待できるでしょう。
おせち料理や七草がゆ、節分の恵方巻き、お彼岸のぼた餅やおはぎなど、食事形態を配慮しながら季節の風物詩が感じられる食事を提供する施設を利用したいものです。
介護施設を探す際は食事のチェックも忘れずに
介護施設を検討する際には、さまざまな観点からチェックする必要があることはいうまでもありません。その中で利用者さん本人の楽しみとなる食事は、大きな検討材料となります。
介護施設の検討をされているみなさんは、ここで紹介したチェックポイントを参考に、候補となっている介護施設の食事について、しっかり確認して納得のいく施設を選んでください。
あなぶきの介護は、環境・介護・食事のどれにおいてもご満足いただけるサービスを提供しています。特に食事は、管理栄養士指導のもと栄養バランスや旬の食材にこだわった献立です。各種食事形態にも対応しますので、ぜひご相談ください。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝
2011年 4月 入社 事業推進部 配属
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長