お役立ちコラム

夜から朝にかけて働く介護の「夜勤」は、入居者さんの夜間帯をサポートする仕事です。仕事内容には日中と異なり、夜間の安否確認も含まれます。夜勤を専門とする「夜勤専従」という働き方があるのも特徴です。こちらでは、介護における夜勤の勤務時間や手当、仕事内容について紹介していきます。

目次

介護士の夜勤の実態・特徴

夜勤の勤務時間は、施設の勤務体制によって異なります。夜勤の回数に上限はないものの、ひと月に何度もできるわけではありません。

ここからは、夜勤の勤務時間と回数、実際のスケジュールを紹介します。細かなスケジュールは施設によって異なりますが、夜勤の仕事を検討する際の参考にしてください。

夜勤は2交代制または3交代制

24時間体制で稼働する施設の勤務体制は、2交代制または3交代制に分かれます。

2交代制 日勤 8時~17時
夜勤 16時~翌朝10時
※16時間勤務(別途休憩2時間)
3交代制 早番 6時~15時
遅番 14時~22時
夜勤 21時~翌朝7時
※8時間勤務(別途休憩2時間)

3交代制の勤務時間8時間に比べ、2交代制は16時間と大きな違いがあることが分かります。2交代制の夜勤明けは休日になるシフトが多く、勤務時間が長いぶん自由な時間を確保しやすいことが特徴です。

介護の夜勤回数には上限がない!

介護の夜勤回数には法的な制限がなく、労働基準法にも上限回数は明記されていません。月の夜勤回数は、施設によって違いがあります。

とはいえ、月に何回でも夜勤を入れられるわけではありません。労働基準法では、1日の勤務時間は8時間までと定められています。

しかし、夜勤の多くは8時間を超えるのが現状です。この場合、1週間あたりの労働時間を40時間以内に調整する「変形労働時間制」が適応されます。夜勤者の1週間あたりの労働時間を40時間以内におさえるため、夜勤回数はおのずと限られていくのです。

1回あたりの労働時間が長い夜勤の仕事には、体力も求められます。夜勤のある職場への就職を検討する際は、夜勤回数を事前に確認しておきましょう。

介護士の夜勤の主な仕事内容は5つ

介護の夜勤は、以下の5つの仕事を中心に入居者さんの夜間帯をサポートします。

  • 仕事1.食事のサポート
  • 仕事2.排泄介助
  • 仕事3.更衣介助
  • 仕事4.夜間の安否確認
  • 仕事5.起床時のサポート

食事や排泄、更衣の介助は日中でも行いますが、夜間の安否確認が含まれているのが大きな特徴です。入浴やレクリエーションは日中に行うため、夜勤ではほぼ担当することはないでしょう。

仕事1.食事のサポート

夜勤者は、その日の夕食と翌朝食のサポートを行います。配膳や下膳、食事量のチェックに加えて服薬介助も仕事となります。

認知症の方が少人数で共同生活を送るグループホームでは、入居者さんと一緒に食事の準備をすることもあります。夕食時は就寝に向けてリラックスできるよう、穏やかな会話のやり取りを心がけましょう。

仕事2.排泄介助

食事の前後や就寝前は、トイレへ誘導し排泄介助を行います。トイレへの移動が難しい場合は、ベッド上で行うおむつ交換も必要です。

深夜であっても「トイレヘ行きたい」という訴えがあれば、その都度対応します。排泄回数やタイミングは入居者さんごとに異なるため、臨機応変な対応が求められることを覚えておきましょう。

仕事3.更衣介助

夜勤の時間は、寝間着に着替えたり、翌朝は私服に着替えたりと更衣のタイミングが多いのが特徴です。入居者さんが自分で着替えることが難しい場合は、更衣介助を行います。

更衣介助は「本人のできる部分を促しながらできない部分をサポートする」という意識が大切です。高齢者の自立を支援するという、介護の基本を心がけましょう。

仕事4.夜間の安否確認

消灯後は、1~2時間おきに居室を訪問し安否確認を行います。状況に応じて、おむつ交換や寝たきりの方の体位変換も必要です。ナースコールが鳴れば、その都度居室を訪問し対応します。

夜勤者の休憩時間を確保するのも、入居者さんが就寝している時間帯です。日勤者への引継ぎ記録やカルテ記入などは、夜間対応の合間を見計らい手際よく進めていきましょう。

仕事5.起床時のサポート

起床後は、排泄介助や更衣介助といったさまざまな業務を行います。早番のスタッフの出勤が重なる場合は、手分けをして朝食の準備をしましょう。食事後は口腔ケアを行うほか、洗顔や髭剃りのサポートも必要です。

起床後の業務がひと段落してから、日勤者に夜間の様子を伝える引継ぎへと移ります。1人で夜勤にあたる場合は、起床時は慌ただしい時間帯でもあるでしょう。

夜勤の1日のスケジュール

夜勤の仕事は、夕食から就寝までのサポート、安否確認と起床時のサポートが主な仕事です。2交代制勤務の実際のスケジュールと照らし合わせながら、仕事の流れを確認していきましょう

16:00 出勤
17:00 引継ぎ ・日勤者から入居者さんの日中の様子を聞く
・体調不良の有無や留意事項を確認する
17:30 食事の準備 ・食事の前のトイレ誘導
・入居者さんへの声かけ
・配膳
18:00 食事介助
~口腔ケア
・食事のサポートが必要な方への介助
・食事中の見守り
・服薬介助
・食事量のチェック
・口腔ケア
20:00 就寝の準備 ・トイレ誘導
・おむつ交換
・更衣介助
21:00~ 消灯~巡回 ・就寝の声かけ
・1~2時間ごとに夜間巡回を行い、安否確認をする
・必要であれば体位変化やおむつ交換を行う
・カルテ記入
・休憩(仮眠室で1~2時間休憩をとることもある)
6:00 起床 ・起床の声かけ
・排泄介助
・更衣介助
・バイタルチェック
7:00 朝食準備 ・食事の声かけ
・配膳
8:00 朝食~口腔ケア ・食事介助、見守り
・服薬介助
・食事量のチェック
・口腔ケア
9:00 申し送り ・日勤者への申し送り
10:00 退勤

以上が2交代制勤務の夜勤の仕事の流れです。2交代制の多くは、夜勤明けの日は休日となるシフトが組まれます。3交代制の場合は、夜勤明けの夕方から仕事に入るケースもあるでしょう。

夜勤手当が加算される夜勤の給料

夜勤の給料は「夜勤手当」と呼ばれる割増賃金が加算されるのが特徴です。施設によっては、基本給自体が高く設定されている場合もあります。夜勤の回数に合わせ、手当が上乗せされるケースもあるでしょう。

夜勤手当の額は施設形態によっても異なり、特別養護老人ホームや老人保健施設のような大型の施設ほど高くなる傾向にあります。

夜勤手当の目安は1回2,500円~12,900円

夜勤手当の額は、施設によって異なります。2021年介護施設夜勤実態調査によると、2交代制の夜勤に就く正職員1回あたりの額は約2.500~12,900円です。また、平均額は以下のようになります。

正規職員 非正規職員
2交代制 5,976円 6,454円
3交代制(準夜) 3,630円 3,783円
3交代制(深夜) 4,325円 4,488円

2交代制の非正規職員の手当額が正規職員を上回っているのは、手当と時給と合わせ、夜勤1回あたりの給料として支払うためだと考えられます。

施設形態によっても金額は大きく異なり、2交代制の正規職員の最高額は12,900円です。一方、特別養護老人ホームの正規職員の最高額は6,800円と、6,000円以上の差があることも分かっています。

夜勤の仕事を検討する際は、施設形態による手当の違いもふまえたうえで検討してみると良いでしょう。

【参考】医療労働組合連合会「2021年介護施設夜勤実態調査」

労働基準法で定められている割増賃金

労働基準法では、22時から翌朝5時までの深夜業には、25%以上の割増賃金を支払うように定められています。つまり時給1,000円で7時間夜勤をした場合は、最低でも1,750円の割増賃金が保証されるのです。

25%の割増率はあくまでも最低ラインであり、施設によってはそれ以上の額を割り当てる場合もあるでしょう。そのため、夜勤手当のある入所施設の介護士の給料は、日中勤務が主となる通所施設や訪問介護に比べ高くなる傾向にあります。

【参考】厚生労働省「労働基準行政全般に関するQ&A 」

介護士が夜勤をするデメリット

介護士が夜勤をするデメリットには、以下の3点が挙げられます。

  • デメリット1.2交代制の6割はワンオペ夜勤。精神的ストレスを感じやすい
  • デメリット2.睡眠時間や生活リズムが不規則
  • デメリット3.救急対応が必要な場合がある

夜勤が大変、きついと言われがちなのも、これらのデメリットが関係しているからです。夜勤がある仕事への転職を希望する場合は、デメリットを踏まえて検討していきましょう。

デメリット1.2交代制の6割はワンオペ夜勤。精神的ストレスを感じやすい

2019年介護施設夜勤実態調査によると、2交代制を採用する施設の約6割で、ワンオペ勤務の体制がとられています。特に、グループホームや小規模多機能施設といった利用者数の少ない施設は、ワンオペ勤務が大半のようです。

人数が少ないとはいえ、緊急時の対応を1人でしなくてはいけないことは、スタッフの精神的なストレスになると考えられます。

デメリット2.睡眠時間や生活リズムが不規則

一般的に、夜勤は夕方に出勤し、翌日の午前中まで勤務します。そのため、睡眠時間や生活リズムが不規則になりがちです。夜勤明けは休日が設けられていても、疲れを癒すので精いっぱいというケースが多いでしょう。

生活が不規則になること、体調を崩しやすくなります。介護は体力が必要な仕事のため、日頃から体調を整えるための工夫が必要です。

デメリット3.救急対応が必要な場合がある

夜勤の時間帯は、利用者の方は寝ているものと思われがちです。しかし、実際には体調が急変したり、ベッドから転倒してしまったりと救急対応が求められる可能性が常にあります。

一方で、夜勤中は勤務者の数が日中ほど多くありません。そのため、多くの施設では、緊急連絡を受けた医師や看護師が即座に対応する「オンコール体制」がとられています。

夜勤を見込んで転職をする際は、施設のオンコール体制がきちんと機能しているかどうか見極めておきましょう。

介護士が夜勤をするメリット

介護士が夜勤をするメリットは、主に以下の4つです。

  • メリット1.割増賃金になるため収入が増える
  • メリット2.働き先の選択肢が増える
  • メリット3.平日の昼間に休める
  • メリット4.職場に人が少ないので気楽に働ける

賃金アップが望めるのは、夜勤の仕事の大きなメリットです。また、平日の昼間に休めるため、人によってはライフスタイルに合った働き方を検討できるでしょう。

メリット1.割増賃金になるため収入が増える

前述したように、夜勤の仕事には「夜勤手当」と呼ばれる割増賃金が加算されます。そのため、日勤のみより収入が増えることがメリットです。施設によっては、基本給自体が高く設定されている場合もあるでしょう。

介護士として働く人のなかには、収入アップのために夜勤のある仕事へ転職するケースもみられます。また、正社員だけでなく、パート勤務の時間給が高いことも夜勤のメリットであり大きな特徴です。

メリット2.働き先の選択肢が増える

夜勤ができると、働き先の選択肢が増えます。人出不足の介護現場では、夜勤ができる人材が求められているからです。

特に、介護施設の正社員になるには、夜勤が必須条件としてあげられます。はじめは日勤から仕事をはじめ、夜勤へとスライドするケースが一般的となるでしょう。これから介護現場で正社員として働きたい方は、ぜひ夜勤を視野にいれた勤務形態を検討してみてください。

メリット3.平日の昼間に休める

夜勤の仕事はカレンダー通りではないため、平日休みのケースが多々あります。夕方から勤務に出るため、平日の昼間の時間が空くこともあるでしょう。

空き時間を使えば、土日休みの公共施設の利用や通院などが可能です。また、レジャーやショッピングなども込み合わない日時を選択して計画できます。平日は習い事があるという人も、休日を充実させることができるでしょう。

メリット4.職場に人が少ないので気楽に働ける

日勤に比べ、夜勤は勤務者が少なくなります。そのため、自分のペースで気楽に働けることがメリットです。大人数より少人数で働く方が好きという人に向いている勤務スタイルといえます。

反面、前述したように夜勤は職員1人に対する責任が大きくなりがちです。緊急時に慌てないためにも、日頃からマニュアルなどに目を通しておく必要があります。

後悔しない!夜勤で働く介護施設の選び方

夜勤で働く介護施設を選ぶときは、働く頻度や回数について調べておくことが大切です。入職後に公開しないためにも、夜勤手当に関する給与面もしっかり確認しておきましょう。

また、夜勤は体力が必要な仕事です。休憩時間はあるか、休憩室は設けられているかなど、労働環境に関する項目も確認しておくことをおすすめします。

夜勤で働く頻度や回数はどれくらいか

夜勤の回数には明確な制限はありません。そのため、1カ月あたりの夜勤の回数は、施設によって異なります。

収入アップのために夜勤をしたいというときは、回数の多い施設がおすすめです。反面、無理なシフトを組んでいる施設では体調を崩す心配もあります。施設を選ぶ際は、入職後の働き方をイメージしながら夜勤の回数を見極めていきましょう。

夜勤手当はあるか、いくらもらえるか

収入アップのメリットを得るためには、夜勤手当について確認しておくことが大切です。夜勤手当の金額は各施設で異なります。あらかじめ手当を見越し、基本給が高く設定されていることもあるでしょう。

どんなにやりがいのある仕事でも、給与に不満があると続けるのが難しくなってしまいます。介護士としてキャリアを重ねるためにも、手当に関する項目はしっかり把握しておきましょう。

休憩時間や残業時間を確保しているか

利用者の方を軸に動く介護職は、決まった時間に休憩がとれないこともあります。ただし、他の職種と同様に休憩時間はもちろん必要です。休憩時間が設定されていない場合は、労働基準法に違反していることになります。

大切なのは、施設内で休憩時間が取れないことが当たり前になっていないかという点です。中には人出不足が原因で、夜勤明けの残業が求められるケースもあるため注意してください。

休憩室や仮眠室があるかどうか

夜勤がしんどいといわれる理由のひとつに、休憩がゆっくりとれないことが挙げられます。施設内に休憩室や仮眠室がなく、フロアや詰所などで休まなくてはいけない場合も同様です。

後悔しない施設を選ぶためには、休憩室や仮眠室の有無を確認しておきましょう。利用者の方の命を預かる仕事だからこそ、職員が快適に働ける労働環境は重要です。

夜勤ができそうな人は「夜勤専従」も検討してみよう

介護には、夜勤の時間帯のみ勤務する夜勤専従という働き方があります。夜勤専従は、前述したような夜勤手当のほか、ライフスタイルに応じたメリットが得られる仕事です。

施設によっては、夜勤専従を正規職員として求人募集する場合もあります。ここでは、夜勤専従の働き方とメリットについて見ていきましょう。

夜勤専従とは「夜勤を専門とする介護職」

夜勤専従は、夜勤を専門とする介護職です。人手不足の介護現場では、夜間の仕事を支える心強いスタッフだといえます。介護未経験者が夜勤専従を希望する場合は、日勤で仕事を覚え、利用者さんとの関係を作ったうえで夜勤へと移るのが一般的です。

介護経験者にとっては、夜勤専従は転職のひとつの選択肢にもなり得ます。日勤で培った経験やスキルを活かし、入居者さんの夜間の生活をサポートしていくことができるでしょう。

時給が高く、ダブルワークも可能

前述したように、夜勤は手当が付くのが大きなメリットです。日中と同じ時間働いても、得られる給料が高くなります。昼間の空き時間を活用すれば、ダブルワークも可能です。

学業や趣味を重視し対場合は、時間を有効活用しながら収入を得られます。夜間も働ける環境であれば、転職を考える際も可能性の幅がぐんと広がるでしょう。

夜勤専従で働くメリット・デメリット

夜勤専従で働くメリットは、日勤よりも高い給料が得られることです。夜勤手当があるため、より効率よく高収入が得られます。生活リズムが一定になり日中は時間が空くことから、プライベートに使える時間も多くなるでしょう。

一方で、昼夜逆転の生活になることはデメリットにもなり得ます。体調を崩さないよう、日頃から健康管理が必要です。

介護の夜勤はライフスタイルに応じて選ぼう

介護における夜勤は、夜間帯の高齢者の安心と安全を守る仕事です。入浴介助やレクリエーションはないものの、スタッフは少なく臨機応変な対応が求められます。夜勤手当が付き日中の時間が有効に使える点は、夜勤の大きなメリットです。夜勤の仕事内容やメリットを理解し、自分のライフスタイルにあった職場を選んでいきましょう。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長
2023年 10月 常務取締役 兼 事業本部長 兼 事業推進部 部長