お役立ちコラム

「老老介護」とは文字通り、高齢者が高齢者を介護することをいいます。社会の高齢化と核家族化に伴い、高齢者だけで生活する世帯が増えています。その結果老老介護の世帯も増加傾向にあるのです。

中には認知症の高齢者が、同じく認知症の高齢者をケアするというケースもあり、これを「認認介護」と呼びます。

高齢化の進行は避けられないので、老老介護が社会問題になることは間違いありません。そしてそのような状況は「共倒れ」のきっかけとなってしまいかねないのです。

共倒れにならないためにも、老老介護の予防策や老老介護になってしまった場合の対応策を紹介していきます。

増え続ける老老介護の現状

日本社会の情勢から考えて、今後間違いなく増え続けていくと考えられる老老介護。現在の状況について詳しく見ていきましょう。

厚生労働省が示す老老介護の割合

厚生労働省の2019年を対象とした「国民生活基礎調査」によれば、老老介護の割合がおよそ6割にも上ることが明らかになりました。この調査は、世帯の構成や家族の健康状況、世帯の所得などの傾向を知るために、毎年実施されるものです。

2019年は3年に1回の大規模調査タイミングで、介護に関する質問項目なども含まれていました。

これによると、主に家族による在宅介護を行なっているケースのうち、介護する方とされる方の両方が65歳を超える「老老介護」の割合が過去の最多を更新して59.7%となったのです。

しかも、その中でどちらもが75歳を超えている割合が33.1%で、こちらも過去最多となっています。老老介護が現実として確実に増えている実態が、この調査結果によって浮き彫りにされているのです。

参考:2019年 国民生活基礎調査  4 介護の状況|厚生労働省

老老介護もいずれ限界をむかえ認認介護に?

高齢者の4人に1人は、認知症もしくは認知症予備軍(軽度認知障害/MCI)であるといわれる現代。実際に前出の「2019年国民生活基礎調査」では、要介護状態になった主な原因として、認知症がもっとも多く(24.3%)、次いで脳血管疾患(19.2%)であることがわかっています。

80歳を超えると、認知症有病率は上昇します。現に、「ともに80歳を超える老々介護世帯の11組に1組は、認認介護である」という試算もされているのです。少子高齢化社会において、認認介護世帯は今後ますます増えていくといえるでしょう。

認知症は、誰もがかかり得る病気です。今は老老介護状態または予備軍で、なんとか暮らしを保つことができていても、いずれ認認介護となるリスクは非常に高いということを忘れてはいけません。

認認介護では事件になることも

老老介護は、介護をする方もされる方も高齢者なので、さまざまな問題点がつきまといます。残念ながら、介護心中や介護殺人という悲しい出来事は、老老介護であったがために起こってしまった…ということも見受けられます。

そして認認介護においては、事情がよりいっそう深刻化していきます。万が一重大な過ちを犯しても、そのこと自体を認識できないということもあり得るのです。

対策として多くのリスクに備えられる体制を作ることなどが、早急に講じられなければなりません。

老老介護の背景にある増えゆく原因

老老介護が将来に向けても増えていくであろう背景には、さまざまな原因が考えられ、その主なものが以下の4つ挙げられます。

  • 1.絡み合う社会環境の変化
  • 2.健康寿命と平均寿命のギャップ
  • 3.他人に介助される抵抗感
  • 4.経済的な要因

それぞれについて、詳しく見ていきましょう。

原因1.絡み合う社会環境の変化

社会の環境はひと昔前と比べて大きく変化してきました。核家族化、少子高齢化、女性の社会進出、晩婚化…。そういった要因が絡み合って出た結果のひとつが、老老介護が増える原因となっているのです。

子どもが遠く離れて暮らしているご家族も多いでしょう。また、女性の社会進出や不安定な経済状況を反映して、介護などの理由で仕事を辞めることが難しくなっています。

また、介護をすべき人が複数いる場合、介護の手が回らないということもあります。さらには、晩婚化によって子どもが生まれるのも遅くなり、育児と介護が同じ時期に重なってしまうなどの問題も考えられるのです。

そもそも平均寿命が延びているので、介護をするお子さん世代がすでに高齢者であるという場合もあるでしょう。

原因2.健康寿命と平均寿命のギャップ

医療が進歩し日本人の平均寿命は世界でも極めて高い水準になり、年々伸びています。一方で健康寿命とのギャップにあるといわれています。

つまり、介護の手に頼らず暮らしていける年齢(健康寿命)と平均寿命の差です。その差がそのまま要介護期間ということになります。

要介護期間を10年前後と想定してみても、介護が始まったときは50代であった子どもがやがて60代となり、気づけば老老介護になってしまった…ということは十分に考えられます。

前もって入所系介護施設などに入居する準備を進めていたとしても、介護者の余力がまだあるとなると、入所の緊急性が低いと考えられる可能性もあります。そうしている間にも、介護の状況はじわりじわりと進んでいくかもしれません。

原因3.他人に介助される抵抗感

介護される者が、他人に介助されることに対して抵抗感を持つ場合がしばしば見られます。

要介護世代には戦争を経験している人が多く、その世代は他人に助けを求めることに強い抵抗を感じる傾向があるといわれています。

「自分のことは自分でなんとかしなくては」と考えてしまっては、他人を頼ることができません。また、他人を自宅に入れることへの警戒心ゆえに、家族以外のサポートを受け入れないケースもあるようです。

また、介護には排せつや入浴などのセンシティブな場面がつきものです。そのため、どうしても第三者にお願いすることに抵抗を感じてしまう方が多いのです。

原因4.経済的な要因

金銭的な理由によって第三者のサポートを得ることが難しく、老老介護に陥りやすくなることも考えられます。

介護が必要であっても施設に入所するための経済的余裕がなければ、在宅での介護生活をおくることになるでしょう。しかし自宅介護も環境を整えるためには費用がかかり、訪問型のサービスを利用するのにも負担が生じます。

このように、プロのサポートを受けたくてもそれができず、やむなく老老介護に入っていくこともあるのです。

老老介護の深刻なリスクとは?

老老介護においては、さまざまな種類の深刻なリスクがあります。代表的なものは以下の4通りです。

  • 1.共倒れ
  • 2.閉じこもり
  • 3.お金・食事・薬の管理不能
  • 4.火元や戸締まりの用心不足

各項目について、もう少し触れておきましょう。

リスク1.共倒れ

要介護者だけでなくて介護者自身も高齢となると、どうしても体力的な負担が心配されます。介護は毎日のことなので、精神的な負担も相当かかってくるでしょう。

介護者が体調を崩したり、介護が必要な状態になったりしてしまうという、共倒れのリスクがあるということは否めません。

よくある例は、介護者が病気を患ったり腰を痛めてしまったりしたために治療や入院が必要になり、突然介護者不在になってしまうケースです。

また、精神的な負担の増大が引き金となり虐待などにつながるケースもあります。介護者と要介護者の関係性に取り返しのつかない溝が生まれるおそれもあるのです。

前述のように、老老介護で要介護者と介護者の双方が軽度から重度の認知症を発症してしまうと認認介護ということになり、共倒れのリスクはさらに高まります。

リスク2.閉じこもり

老老介護によって、介護者自体も社会との接点が少なくなることが心配されます。介護のために外出がなかなか思うようにできなくなり、社会とのつながりが希薄になってしまいがちなのです。

それだけでなく、運動量も少なくなりがちです。筋力や身体能力が衰えていき、趣味などをする余裕が体力的にも時間的にもなくなってしまい、いわゆる「閉じこもり」の状態になっていく傾向があるのです。外部からの刺激も少なくなってしまうため、悪くすれば鬱状態や認知症につながりかねません。

リスク3.お金・食事・薬の管理不能

金銭面での問題発生も想定されます。お金をおろしすぎて、肝心の自動引き落としができなくなったり、キャッシュカードの暗証番号がわからなくなって生活費をおろせなかったりすることがあります。あるいは、お金がないにもかかわらず、高額のものを購入してしまうケースも見られるのです。

健康の要である食事管理ではどうでしょうか。食材や栄養の管理ができなくなり、食べたいものばかりを用意して栄養に偏りが出ることもあるでしょう。満腹感が鈍くなって過食になったり、空腹感が鈍くなって低栄養になったりもすることも考えられます。

シニア世代ともなれば、何らかの持病を持つ方も多いのではないでしょうか?そうなると、継続的な内服が必要となってきます。薬の飲み忘れや飲みすぎによって、さらに体調を悪化させてしまうおそれもあります。場合によっては命に関わるような状態に陥ることも考えられるので、十分な対策が必要です。

リスク4.火元や戸締まりの用心不足

コンロの火をつけっぱなしにしてそのまま忘れていて、鍋を焦がしてしまった…という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

鍋を焦がすだけでなく、最悪の場合火事を起こしてしまうこともありえます。近隣の方たちを巻き込む、重大な事態にもなりかねません。

老老介護になる前にしておきたい予防策

老老介護になってしまうと、どんどん状況が厳しくなる可能性があります。そうなる前に、予防の手を打つことを意識しましょう。

おすすめできる予防策は以下の2種類です。

  • 1.生活習慣の改善
  • 2.定期的な受診

それぞれを詳しく説明しましょう。

予防策1.生活習慣の改善

まずは生活習慣の見直しをし、ADL(日常生活動作)の維持・向上を図ることが先決です。そのことが、健康寿命を延ばすことにつながります。もし介護が必要になってしまっても、介護度が低いうちに食生活の改善をしたり適度な運動(リハビリ)を取り入れたりするのがよいでしょう。

認知症になってしまうと、介護者の負担はぐんと大きくなってしまいます。認知症予防には脳トレを行うことなどもおすすめです。

地域包括支援センターや公民館などでは、介護予防教室なども開催されています。無理のない範囲でそういったイベントに参加して、おしゃべりをしたり、時には介護のプロに相談したりするのもよいでしょう。

予防策2.定期的な受診

ちょっとした症状でも、何か違和感があるときはかかりつけ医に相談しましょう。大きな病気の前兆かもしれないので、小さな変化も見逃さないことが大切です。また、定期的に病院で受診することを心がけていると、人と話す機会ができます。

かかりつけ医の大きな役割のひとつに、介護保険での「主治医意見書」の作成があります。健康状態はもちろん、患者さんの生活状態もより注意深くチェックしてくれるのが、かかりつけ医なのです。

また、定期的に通院をすることで、介護者に何らかの異変が出始めたときも比較的早めに気付いてもらうことができるでしょう。適切な対応が期待できます。

老老介護になった場合の対応策

核家族化が進み、子どもがいても同居が難しいケースも多くあります。遠く離れて暮らすご両親の老老介護や認認介護を心配されている方も多いのではないでしょうか。

電話や帰省をする頻度を増やすことで、実家の様子をこまめにチェックしてみてください。何か心配な部分が見えたら、その地域の地域包括支援センターに相談をすることをおすすめします。

自治体によっては高齢者の見守りをしてくれる「シルバー人材センター」やボランティアを活用した介護サービスを行っているところもあります。ご両親が住んでいる自治体のサービスの内容も把握しておきたいものです。

認認介護になった場合は「成年後見制度」を利用するのもひとつの方法といえます。地域包括支援センターでは成年後見制度の相談にものってくれるでしょう。

また、ご両親が住む地域の近隣の方たちも見守りをしてくれる強力なサポーターになってくれるでしょう。帰省した際には、ぜひ近隣の方たちとコミュニケーションをとるようにしましょう。

ここからは、いよいよ老老介護になった場合の対応策について、説明していきます。

  • 1.子どもや兄弟に相談する
  • 2.介護サービスを利用する
  • 3.老人ホーム・介護施設への入居

個々の対応策を掘り下げてみましょう。

対応策1.子どもや兄弟に相談する

老老介護になって何か問題が起きてしまった場合は、家族や親族は無関係でいることなどできません。いずれそうなることを想定し、今から子どもや兄弟姉妹、あるいは親族を頼ることも選択肢に入れておきましょう。

家族に介護されることに抵抗感を感じる方もいるかもしれません。しかし、老老介護による共倒れなどの、もっと深刻な状態になってから家族や親族を巻き込むほうが、彼らの生活により大きな影響を与えてしまうのです。頼れるときには素直に頼りましょう。

また、家族の中で親の介護を担っている人にしても、体力的、経済的な負担を自分ひとりで抱え込まないようにしましょう。

子供がいなかったり、遠く離れて暮らしている場合には、近くにいる兄弟姉妹や親戚にも相談してみましょう。今抱えている悩みや状況を知っておいてもらうことも大切です。兄弟や親戚の距離感なら話せることもあるのではないでしょうか。

対応策2.介護サービスを利用する

介護生活の心強いサポートとなる介護保険制度や介護サービスで、利用できるものはぜひ利用しましょう。

せっかく支援を利用できる制度があるものにも関わらず、知らないために受けられないまま、経済的・体力的・精神的な限界を超えてしまうのは、もったいない話です。

市区町村の役所の窓口で、まず要介護認定を申請して認定を受けなければなりません。まずは、地域包括支援センターに相談をしてみましょう。細かい手続きの相談にのってもらえます。

認定されれば、1~3割の自己負担で介護サービスを受けられるようになります。

介護認定の区分は7段階あります(要支援1~要介護5)。この段階によって、介護サービスが利用できる限度額が変わってくるのです。

要介護者の状態に合わせて、ケアマネジャーがケアプランを立ててくれるので安心です。

家事のお手伝いをしてくれる「訪問介護」や自宅から通う「デイサービス」などの通所系サービスはもちろん、いざというときには「ショートステイ(短期入所)」などのサービスも利用できます。

対応策3.老人ホーム・介護施設への入居

医療的ケアが必要であったり介護度が高かったりする場合には、介護者の負担はさらに大きくなってしまいます。老老介護でなくとも、介護者のほうが先に倒れてしまうおそれもあります。

在宅介護ではどうしても満足なケアができず、状態の悪化や万が一の急変への不安もあることでしょう。そのような場合は、介護施設への入所を検討してみてはいかがでしょうか。

医療的ケアが必要な場合には、施設によっては対応ができない場合もあるようです。入所対象者が快適に生活できる施設を熟考し、入所先を選択することが必要です。特に認認介護のような事情がある場合は、現状をきちんと説明するようにしましょう。

有料老人ホームへの入所は、おすすめできる選択肢のひとつです。

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まとめ

現代社会にとって避けられない老老介護および認認介護の問題について、原因や予防策、なった場合の対応策と詳しく取り上げ、共倒れにならないためにできることや考え方を紹介しました。

ひとくちに老老介護といっても、さまざまなケースがあるでしょう。そうなる前に行える対策もあり、なってからでも共倒れを避けるためにできることもあります。

将来的に老老介護が想定されるみなさんは、あらかじめそれらの情報を知っておくことが幸せなシニアライフへの近道になるのかもしれません。

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あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長