お役立ちコラム

日常生活を安心して過ごすためには、災害が起こったときの備えを充実させておくことが大切です。

万が一の事態が発生したときに適切な備えができていなければ、介護生活に切れ目を生じさせてしまい、安楽な生活が脅かされてしまう危険性があります。

介護を受けながら災害にも対応できるように、今回は介護で必要な災害時の備えや、災害時に発生しやすい問題点について、詳しく説明します。

日本は自然災害が多い国

 

世界的にみても、日本は自然災害が多い国だとされています。

大地震・津波といった自然災害以外にも、近年の異常気象による豪雨や土砂崩れといった自然災害も頻繁に起こっており、安全だと思われている地域においても、災害時への備えを充実させる重要性が高まっています。

超高齢社会を迎える日本では、介護における災害時への備えが特に重要です。

介護現場での備えをおろそかにしていると、被害が大きくなってしまいかねません。災害が起こる前に適切に準備しておくことが大切になります。

高齢者が災害時に直面する問題

高齢者が災害時に側面する問題は、大きく分けて以下の4つがあります。

  • 1.必要な情報が手に入りにくい
  • 2.自力での避難が難しい
  • 3.危機意識が低くなりやすい
  • 4.避難生活に適応しづらい

災害が発生した時に高齢者がどのような問題を抱えるのかを理解しておくことで、何を準備しておけばよいのかを考えられるようになります。

また、正しい備えができていれば、万が一の事態が起こっても冷静に対応しやすいので、災害が発生したときの状況をなるべく具体的にイメージしておきましょう。

ここからは、高齢者が災害時に直面する問題について、詳しく説明します。

問題1.必要な情報が手に入りにくい

1つ目の問題は、必要な情報が手に入りにくいこと。

もし災害が発生してしまったら、タイムリーかつ正確な情報をいかに手に入れるかが大切です。

情報を手に入れる手段として、新聞やテレビ、ラジオやインターネットなどがありますが、災害の種類によっては情報の入手方法が限られてしまうケースもあります。

普段情報収集している方法が利用できなくなると、情報が遮断されてしまう高齢者もいて、強い不安や心配を抱えて暮らすことを余儀なくされる場合も多いです。

家族や親戚、地域とのつながりによって適切な情報を入手できる環境が整っていれば安心ですが、場合によっては他者との関係性が希薄な高齢者もいます。

災害が発生すると、高齢者は情報面において不利になりやすいということを知っておけば、日常的な情報収集方法から見直すことにつなげられるでしょう。

問題2.自力での避難が難しい

2つ目の問題は、自力では避難が難しいこと。

介護が必要な高齢者の中には、自力で移動することが難しい人も多いです。そのような人が災害に巻き込まれると、避難が遅れてしまうというリスクが高くなります。

また、自力で避難できる能力を持っているとしても、長距離移動できなかったり避難中に転んでしまいやすいという人も多いです。

災害時に逃げ遅れてしまうと、命にかかわる事態も想定されるため、適切に避難できるような状態を整えておくことが大切。

自治体によっては、災害が発生したときに安否を確認して必要時に避難を手伝ってくれる仕組みを整備しているところもあります。

あなたが住んでいる自治体が、災害時の要支援者に対してどのような配慮をしているのかをいちど確認しておくと安心です。

問題3.危機意識が低くなりやすい

3つ目の問題は、危機意識が低くなりやすいこと。

今まで災害を経験したことのない高齢者は、「自分なら大丈夫」「そこまで大した事態にならないだろう」と考えてしまいがちです。

そのような考え方を持っている人は、避難行動を遅らせてしまい身の安全を守りにくくなります。

災害による被害を最小限に抑えるためには、早めに対処できるようにしておくことが重要です。

ハザードマップの確認や避難経路のチェックなど、日頃から防災に関する意識を高めておくことが、危機意識を持つことにつながります。

問題4.避難生活に適応しづらい

4つ目の問題は、避難生活に適応しづらいこと。

災害の種類や程度によっては、住み慣れている場所を離れ、避難所等で生活しなければならないケースもあります。

いつもと違った環境に囲まれた生活を強いられることによって、高齢者は強いストレスを抱えやすいのです。

このような状況が慢性化してしまうと、不穏や認知症の悪化、避難所生活での不適応行動を助長させてしまう危険性が高くなります。

災害時のメンタルヘルスケアについて指針を定めている自治体もあるので、災害時にどのようなケアが受けられるのかを事前に確認しておくと良いでしょう。

介護で必要な災害時への備えとは?

介護生活を送る中で災害が発生した時に、適切に対処できるようにしておくためには、しっかりと備えをしておくことが大切です。

介護で必要な災害時への備えとして代表的なものには、以下の6つがあります。

  • 1.安全な避難方法を知っておく
  • 2.必要物品の備蓄量を確認する
  • 3.家具をしっかり固定する
  • 4.施設の耐震性能を確認しておく
  • 5.緊急時の連絡先を把握しておく
  • 6.防災訓練に参加する

災害が発生した時のことを考えてどのような備えが必要なのかを知っておけば、いざというときに冷静に対処できるようになるでしょう。

ここからは、介護で必要な災害時の備えについて、詳しく説明します。

備え1.安全な避難方法を知っておく

1つ目の備えは、安全な避難方法をあらかじめ知っておくこと。

災害が起こったときにどこに避難すれば良いかをきちんと把握しておけば、災害が発生しても落ち着いて避難所まで移動することができます。

避難所までの移動経路を複数設定しておけば、万が一経路の1つが利用できなくなったとしても、もう1つの経路を通って避難所へ移動できるの安心です。

災害が発生すると車が使えなくなったり、ルートによっては土砂災害や高波で通行できない可能性もあるので、災害を想定したルートを設定しておきましょう。

また、介護施設の場合は施設内に避難経路を設けていることがほとんど。日中はもちろん、夜間や休日など職員が少ないときでも、スムーズに避難できるように確認しておくのが望ましいです。

備え2.必要物品の備蓄量を確認する

2つ目の備えは、必要物品の備蓄量を確認すること。

災害が発生すると、ライフラインが途切れることによって、必要物品が手に入りにくくなることがあります。

食料や水分など、数日間外出しなくても生活できるような備えをしておけば、一定期間の暮らしを維持できるようになります。

とろみ剤やアレルギー対応食品、経管栄養剤など、必要物品は高齢者それぞれで異なるので、どのような物品を準備しておけば良いのかをあらかじめ把握しておきましょう。

備え3.家具をしっかり固定する

3つ目の備えは、家具をしっかり固定しておくこと。

地震のような災害が発生すると、家屋や家具が倒壊してしまう危険性があります。

このことが原因で大きなケガを負ってしまう危険性が高く、場合によっては避難を遅れさせてしまうケースも考えられるので注意が必要です。

冷蔵庫や食器棚など、大きな家具から優先的に固定しておくことで、災害による体へのダメージを最小限に抑えると同時に、避難ルートを維持できるようになります。

備え4.施設の耐震性能を確認しておく

4つ目の備えは、施設の耐震性能を確認しておくこと。

地震発生時の建物倒壊を防ぐために、各施設には建築基準が設けられています。

しかし、最低限の建築基準は満たしていたとしても、どの程度の地震を想定した耐震性能を設けているかは施設ごとに異なるのです。

施設への入居を考えているのであれば、耐震性能も確認しておき、万が一のときに建物が倒壊しないような作りになっているかも把握しておきましょう。

備え5.緊急時の連絡先を把握しておく

5つ目の備えは、緊急時の連絡先を把握しておくこと。

災害はどのようなときに起こるか分かりません。そのため、自宅や施設を離れているときや避難所に生活場所を移したときのことを想定して、必要な人との連絡先を把握しておくことが大切です。

ご家族や親戚、知人の連絡先を把握していることはもちろんですが、高齢者に関してはケアマネージャーや地域包括支援センター、民生委員やかかりつけの病院の連絡先を把握しておくことが重要。

必要な連絡手段を確保していなければ、災害時に安心して介護生活を送れなくなってしまいます。継続して介護を受けるためには、とても重要な備えといえるでしょう。

自治体によっては「緊急時連絡カード」を発行しているところもあるので、災害が起こる前に手に入れておき、必要な連絡先を記入しておくのも良いでしょう。

備え6.防災訓練に参加する

6つ目の備えは、防災訓練に参加すること。

地域で防災訓練を行っているのはもちろんのこと、施設においても防災訓練が行われているところがほとんどです。

介護施設においても適切な避難方法を知っておかなければ、身の安全を守れなくなってしまう危険性があります。

災害時に施設職員がどのように行動しているのか、入居者としてどのような避難行動を取れば良いのかを知っておけば、いざというときも冷静に避難できるようになるでしょう。

災害時に必要な高齢者のケア

災害が発生すると、たとえケガをしていなかったとしても高齢者には特別なケアが必要になります。

なるべく安心・安楽に避難生活を送ってもらえるようにしておくことが、地域全体で災害を乗り越えるポイントです。

また、高齢者自身も、自分自身で不安を抱えてしまいがちですが、どのようなケアを受けられるのかを知っておけば、心の平穏を保って生活できるでしょう。

ここからは、災害時に必要な高齢者のケアについて、詳しく説明します。

ケア1.避難スペースの確保

1つ目のケアは、避難スペースを確保することです。

高齢者はトイレが近くなりがち。避難所においてもなるべく近い場所に高齢者の生活スペースを設けておくことで、高齢者が安心して生活できるようになります。

避難所では、トイレが近くなるのを防ごうと水分摂取を我慢してしまう人も多いです。

特に暑い時期には脱水症状や熱中症を発症してしまう高齢者が増えやすいので、避難所でも十分な水分を摂取できるようにしておくことが大切になります。

トイレに行くときに介助が必要であれば、事前に避難所のスタッフや周囲の人に知らせておくことで、配慮してもらいやすくなるでしょう。

ケア2.精神的なサポート

2つ目のケアは、精神的なサポートです、

災害が発生すると、日常生活を大きく変えなければならないことから、精神的な負担を強く抱えてしまう高齢者が増えてきます。

不安や悩みを長期間抱えることによって、認知機能の低下や不穏を助長してしまう危険性があるので、しっかりとした心のケアが必要なのです。

災害時の高齢者ケアは身体的なサポートが重視されがちですが、心の状態を良好に保つことも大切になります。

避難所によっては、ボランティアや保健師、臨床心理士などが精神的なサポートを行ってくれることもあるので、独りで不安を抱えないようにしましょう。

ケア3.体調変化の有無の確認

3つ目のケアは、体調変化の有無の確認です。

高齢者はちょっとした環境の変化で体調を崩してしまうことが多いです。

元気そうに見えても、実は見えないところで体調不良を起こしている可能性もあるので、きめ細かい体調チェックが重要になります。

高齢者としても、体調の変化があったときに誰に知らせれば良いかを把握し、連絡が取れるようにしておくことは大切です。

ケア4.バランスの取れた食事を提供

4つ目のケアは、バランスのとれた食事を提供すること。

災害が発生すると、普段のような食生活を続けることができなくなる可能性があります。高齢者によっては食べにくい食事形態があったり、食事療法が必要な人もいるので、なるべく食事に配慮してもらうことが望ましいです。

また食事以外にも義歯を持ってきているか、排泄状況の変化といった部分を確認しておくことも、栄養バランスを整えるために重要なポイントになります。

ケア5.口腔内の衛生管理

5つ目のケアは、口腔内の衛生管理です。

災害によっては、水の供給が不足したり口腔内の清掃不足が深刻になったりすることで、肺炎を起こしやすいと言われています。

肺炎を発症してしまうと、治療が難航したり場合によっては命にかかわる事態に発展したりする危険性があるので注意が必要です。

避難するときは、口腔ケアに関する物品が忘れがち。災害時の口腔内の衛生管理の重要性は高いので、災害時の備えとして一緒に持ち出せるようにしておきましょう。

まとめ

ここでは、災害時に高齢者が抱える問題や必要な備え、高齢者が必要とするケアについて説明しました。

普段から災害時のことを考えておくことで、いざという時にスムーズに対処でき、心身の安全を守りやすくなります。

ここで説明した内容を参考にして、災害が発生しても切れ目のない介護生活を送れるように備えておきましょう。

あなぶきメディカルケア株式会社
取締役 小夫 直孝

2011年 4月 入社 事業推進部 配属 
2012年 4月 第2エリアマネージャー(中国・九州)
2012年11月 事業推進部 次長
2015年 4月 リビング事業部 部長 兼 事業推進部 部長
2017年 10月 執行役員 兼 事業推進部 部長 兼 リビング事業部 部長
2018年 10月 取締役 兼 事業本 部長 兼 事業推進部 部長